フーコーの振り子と言う装置を見たことがあるでしょうか?
普段の生活ではまずお目にかかれない代物ですね。
振り子の一種なんだろうとぼんやりと想像できるとは思いますが、実は普通の振り子に比べてもかなり大きいものです。
今回何故このフーコーの振り子について紹介するのかといいますと、この振り子は前回当ブログでも紹介した台風が左回りになる理由の記事とも関係するからです。
台風はなぜ左回り?理由を物理の知識で解説!
上の記事で紹介した物理現象とはコリオリの力です。
コリオリの力とは地球の自転が原因で起きる慣性力なのですが、実は今回紹介するフーコーの振り子の原理にも関係する話で、何と地球の自転を実験的に示した歴史的な装置なのです!
一体どういった原理で地球の自転を証明したのか、詳しく解説していきます!
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フーコーの振り子とは?
フーコーの振り子とはフランスの物理学者レオン・フーコーが発明した長い振り子です。
この振り子が作られた最大の目的と成果は地球の自転を証明したことにあります。
地球が自転しているということはフーコーの時代からある程度知れてはいたことですが、それを物理的にわかりやすく証明する術はありませんでした。
現在では人工衛星で宇宙空間から地球が自転していることがはっきりと見てわかりますが、そんな芸当ができなかった時代ですから当然です。
地球が自転していることは地球上にいる人から見てもわかるようにするにはどうしたらよいか?
フーコーがそんな悩みと疑問を解決するために考えたのが長い振り子を用いるというやり方でした。
元々太陽の動きを観測する仕事をしていた彼でしたが、カメラを回転させる振り子仕掛けの装置を見てカメラが回転しているにも関わらず振り子の振れの向きが一定だと気づいたのがきっかけです。
「回転しているのに振り子の向きが一定ということは、地球の自転の証明に使えるはずだ!」と考えたわけです。
こうして彼はまず自宅の地下室で予備実験を行い、その後でパリ天文台で大規模な公開実験に踏み切りました。
何と高い天井からつるした鉄球が時間の経過とともに回転しながら振動していたのです!
地球が自転しているので見かけ上振り子の振動方向が少しずつ回転してずれていくというのはじっくりと考えればなんとなく理解できますが、改めてその目で見るとやはり驚きます。
筆者も学生時代に通っていたキャンパスでフーコーの振り子が展示されていたのですが、やはり少しずつズレていったのは凄く印象に残っています。
人工衛星や飛行機もなかった時代ですからいかにして自転を証明するのが難しいか、当時を生きていなかったからわかりませんが、改めて発想力と知恵の凄さに驚きますwww
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コリオリの力との関係は?
コリオリの力とは地球が自転していることで働く慣性力の一種のことで、台風の回転の向きの説明にも使われます。
このコリオリの力の影響でフーコーの振り子は振動面がズレるようになっているのですが、口で説明してもややわかりにくいですね。
例えば直線状に長く離れた地点に砲弾を撃ち込むことを仮定します。
真北に向かって遠く離れた場所を狙撃するというあたかもゴルゴ13がやりそうな芸当ですが、戦争するのが当たり前の時代には他の国の軍隊に対して攻撃するためにもその軌道を正確に計算する必要がありました。
物凄く遠く離れた場所から砲弾を撃ち込むと、真北に向かって撃ったのにやや東にズレてしまいます。
戦争をしていた時代から既に知れ渡っていたことで、この砲弾の位置がずれるのもコリオリの力が働いているためです
地球が自転しているがために発生する力なのですが、これは空中を移動する物体全てにかかります。北に向かって移動する時には東向きに、南に向かって移動する時は西向きに働きます。
この力を利用して自転を証明したのがフーコーの振り子です。
振り子を一定間隔で南北に動かすと、北に動く時は東の方向にずれて南に動く時は西に向かってずれます。
これは振り子が減衰して止まるまで続くので、あたかも振り子が時計回りに円運動しているように見えるわけです。
この軌道に関しては以下のサイトでもっと詳しく載っていますのでぜひ参考にしてみてください!
国立科学博物館で学ぶ物理学 <フーコーの振り子>
北極or南極で観測するとわかりやすい
このフーコーの振り子とコリオリの力との関係性が最もわかるのが北極点で観測した時です。
北極点の上空からフーコーの振り子を垂らしたと仮定します。
宇宙空間から見ると振り子は確かに南北or東西にしか振動していません。
しかし北極点に立っている観測者からしたら時間の経過とともにあたかも円を描きながら振動しているように見えます。
観測者は地球の自転と共に動いていますが、振り子は常に一定方向なので軌道がズレるわけです。
この現象は南極点に行っても同じです、南極の方が大陸があるので観測はしやすくなるでしょう。
もちろん実際に北極か南極に行ってわざわざフーコーの振り子の実験をやろうなんていう試みはないんですけどねwww
またフーコーの振り子がちょうど一回転する時間についてもフーコー自身がその数式を示していて、
24/sinΘ(時間)
となります。ここでΘは角度、すなわち地球の緯度に当たります。
高校数学の知識を借りると北極点、もしくは南極点の緯度が90度になるので、
sin90= 1
となります。
故に北極点か南極点でフーコーの振り子はちょうど1日で1回転することになります!
フーコー自身はこの数式を厳密には証明していませんが、後の世の物理学者らによってその証明はなされました。
一体なぜこのような数式になるのか気になりますが、それについては物凄く難しく長くなるのでここでは割愛します。
まとめ
今回はフーコーの振り子の原理についてまとめました、参考になりましたら幸いです。
現在でも日本の各地にはいくつか設置してある大学がありますが、特に弘前大学の文教キャンパスに飾ってあるのが最も有名で日本最大のサイズを誇っています。
また海外に目を通すとフーコーの振り子が生まれたフランス・パリのパンテオンに設置されている物が芸術的で美しいですね、物理学に興味のある方なら一度は目にして損はないでしょう!
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