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ノーベル物理学賞を受賞した科学者アインシュタインの有名な理論といえば相対性理論ですね。

相対性理論と言っても、アインシュタインが提唱したのは一般相対性理論と特殊相対性理論の2種類です。今回解説するのは特殊相対性理論の方ですが、この特殊相対性理論では時間と空間は観測者の立場によって独自の尺度を持つようになります。

それまでのニュートン力学を覆した新理論ですが、一体どんな内容なのか、観測者の立場を分けて考えてみることにします。




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ニュートンの絶対時間と絶対空間とは?

物理学の歴史で言えば何といってもニュートンの万有引力の法則が最大のターニングポイントと言えます。

彼は地上の物体のみならず、天体運動のようなスケールの現象にも万有引力と言う全く同じ力が働いているということを証明したのです。当時のヨーロッパでは天空は神々が住み、地上には人間が住んでいるという考えが非常に強い物でしたが、ニュートンによって神々の法則は地上と共通しているということがわかりました。

 
また1687年に刊行されたニュートンの著書『プリンキピア』の中では万有引力の法則をはじめ、自然界における物体の様々な運動を支配している基本法則が記されています。

 
この著書では、天空や地上の区別なくいつでもどこでも運動法則が普遍的に成立する空間が無限に広がっているのが宇宙だという記述がされています。

これがニュートンの絶対時間と絶対空間と言う概念ですが、後にアインシュタインが相対性理論が発表されるまでの200年もの間、全ての力学的現象を説明する偉大な道具となりました。

ニュートンの万有引力の法則は学校の授業でも習うのでご存知の方も多いでしょうが、F=maという式で表される運動方程式もニュートンの偉大な発明です。
 

光速度不変でニュートン力学と矛盾?

このニュートン力学に矛盾するような事実が判明するのが、1887年に行われたマイケルソン・モーリーの実験です。

この実験ではそれまでの光を伝搬する物質として宇宙空間にはエーテルと言う未知の物質があるはずだ、という仮定の下そのエーテルを検出する目的で行われましたが、肝心のエーテルは検出されずそれどころか光速度は常に一定であるという法則を導く結果となりました。

 
この光速度不変の原理はそれまでのニュートン力学と矛盾するという結果になります。

ニュートンが発見した理論の一つに運動方程式があります。これは物体に与えた力は質量と加速度の積に等しいということを示していますが、この方程式では一定の力をかけ続ければいつかは物体は光速を越えることを意味します。
(光速度は30万km/秒、1秒間に地球を7回半回ることができる速さです。)

【ニュートンの運動方程式】

F=ma

mは物体の質量、aは物体の加速度、Fは物体にかかる力

このことからニュートンの運動方程式は適用できる範囲が、物体の速度が光速に比べて十分に小さい時のみ、日常の物理現象のみでしか適用されないことになります。




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アインシュタインの特殊相対性理論とは?

アインシュタインの相対理論の登場で物理学はさらに新たなステージに入ることになります。

特殊相対性理論の軸となっている考えは「互いに等速度で運動している系では、全く同じ物理法則が成り立つ」という相対性原理ですが、これに上で紹介した光速度不変の原理を合わせた理論になっています。

 
この特殊相対性理論の帰結として表された式がE=mc^2です。

これはエネルギーはその物体の質量mと光速度cの2乗という意味ですが、この式は物体の運動をそれまでの3次元的な観点ではなく、時間も含めた4次元運動量としてみているのがポイントです。

早い話、物体は静止していても質量と光速度の2乗の積に相当するエネルギーを持っているということになります。(この値を静止質量エネルギーと呼んでいます。質量欠損や核反応・対消滅などから質量を持つ物質はmc^2分のエネルギーを持つことが確かめられています。)

 
アインシュタインの特殊相対性理論では上の式からもわかるように、物体の質量が増えたり減ったり時間や空間が伸びたり縮んだりするという、それまでの物理学では考えられないような考えが飛び出したのです。

このように説明してもわかりにくいと思うので例を出して説明していきます。

例えば光速度に限りなく近い速度で移動する宇宙船の中に宇宙飛行士がいたとして、その宇宙船の中に光源があったとします。

この時船内にいる人Aにとってみれば、宇宙船の中の中央に光源を置いても、前後の壁に同時に届くように見えます。

特殊相対性理論と同時刻の相対性
特殊相対性理論と同時刻の相対性

しかしこの様子を宇宙船の外にいるBが見ると話は違ってきます。

光速度不変の原理を用いると、外から見ているBにとってはまず光は光源に向かってくる後ろの壁に到達した後、しばらくして光速に近い速さで逃げる前方の壁に到達する光を見ることになります。宇宙船の中にある光源の速度と宇宙船の速度が近づくほど光が前方の壁に到達する時間が長くなり、速度が一緒になると永遠に光は壁に届かないことになります。

 
このように光速度不変の原理を用いると同じ物理現象であっても、観測者の立場によって違う時間の尺度を持つことになり、これが時間の遅れという現象になります。

時間の遅れで有名なおとぎ話と言えば『浦島太郎』ですね、竜宮城に行った浦島太郎が玉手箱を開けたらおじいさんになったというのは、宇宙船に乗った宇宙飛行士が地球に帰還したら何十年と言う月日が経過しているという事例と似ています。

 
宇宙船の速度が光速に限りなく近い速度での話になるとより極端になって、例えば宇宙船内部では10年ほどしか経過していなくても、地球では1000年以上もの月日が流れることになります。映画『猿の惑星』でも主人公たちの乗った宇宙船が地球に帰還した際には既に人類が滅んでいて猿の惑星になっていたというのは有名なお話ですね。

また日常生活でもごく僅かですが確認されることがあるようで、例えば航空機に乗せた原子時計の進みがごく僅かにですが遅れることが実験で確認されています。

さらに物質の粒子を限りなく光速に近づけて実験をおこなう粒子加速器の内部では頻繁に確認されているようです。

 

まとめ

以上アインシュタインの特殊相対性理論についての解説でした、参考になりましたら幸いです。

またアインシュタインの相対性理論は宇宙の膨張論にも関係していたようです、興味がある方は以下の記事もどうぞ!

宇宙はどこまで膨張しているのか? 根拠はドップラー効果にある?

 

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