今回のテーマは学校の地理の授業で習うツンドラとタイガについてです。
地理に登場するカタカナ用語はたくさんありますが、今回紹介するこの2つの言葉ってちょっとややこしいんですよね。
恐らくですが、2つとも寒い地方の植生に関する言葉、というイメージはあると思います。
しかしいざ「違いを明確に説明せよ。」と聞かれても、戸惑いますよね。僕も高校時代に似たような問題で結構悩みました(;^_^
ツンドラとタイガってどっちが北でどっちが南にあったっけ?
混同して覚えてしまいがちだと思うので、今回は改めてツンドラとタイガの2つの違いを詳しく教えます!
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ツンドラとタイガの違い
まずは2つの違いを一言で簡潔に紹介します。
- ツンドラとは、寒帯地域で永久凍土が広がる降水量が少ない地帯のこと
- タイガとは、ロシア北部やカナダなどの「亜寒帯」に広がる針葉樹林帯
寒帯に分布するのがツンドラで、亜寒帯に分布するのがタイガとなるわけです。
地図で見た時には、ツンドラが最北にあってタイガがそれより南にあるかで見分けるようにします。
寒帯と亜寒帯とは?
ここで寒帯とか亜寒帯という用語が出てきましたが、これはケッペンの気候区分を指します。
主に北緯60度以上が「寒帯」に属し、北緯40度以上から60度未満までの地帯が「亜寒帯」に属します。日本では北海道と東北・北陸の一部が亜寒帯に属します。
因みに北半球は両方の気候区分があるのですが、南半球は「寒帯」(南極大陸だけ)だけしかありません。
それぞれの気候区分の特徴を表でまとめましたのでご覧ください。
ケッペンの区分 | 気温の条件 | 地域 | |
---|---|---|---|
寒帯 | E | 最暖月平均気温が10℃未満 | 北アメリカ大陸とユーラシア大陸北部、南極大陸 |
亜寒帯 | D | 最寒月の平均気温が-3度未満、最暖月の平均気温が10度以上 | 中国北東部、朝鮮半島、ロシア、北アメリカ、東ヨーロッパ、日本の北海道と東北など |
しかしまだまだ解説し足りない箇所が実はありますので、次の章からツンドラとタイガについて詳しく見ていきましょう!
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ツンドラについて
ツンドラとは永久凍土が広がる降水量の少ない地域のことで、寒帯地方のみに分布します。
ツンドラは英語で「tundra」となりますが、元々は「木のない平原」を意味するサーミ語を取り入れたロシア語に由来する言葉です。
ただし厳密には、ツンドラが生息するのは寒帯のツンドラ気候(ET)の方で、最も暖かい月の平均気温が0℃以上10度未満となっています。
ツンドラの分布図
具体的にどういった地域に広がっているのか、地図で見てみましょう。
色で塗られた部分がツンドラ地帯です。
ご覧のように北半球でも各大陸の最北端、ほぼ北極圏に近い部分がほとんどですが、南半球は南極大陸の一部でもツンドラ地帯があります。
地理学上では、ツンドラ地帯は低温で植物の成長可能期間が短いため、大きな樹木が成長できません。
植生としてはコケや地衣類などに限られます。
ツンドラ地帯と森林地帯の境界線は、樹木限界線と呼んでいて、この境界に近いツンドラ地帯では樹木が生えている場所もあります。
ツンドラの種類について
ツンドラは大きく分けると北極ツンドラ、南極ツンドラ、高山ツンドラの3種類があります。それぞれの特徴について解説しましょう。
北極ツンドラ
北半球の北極圏に位置するツンドラです。北極圏とは具体的にはシベリアとカナダ北部、グリーンランドの大部分となります。
基本的にツンドラといえば、これらの地域にあるツンドラを指すことが多いです。
近年では石油やウラニウムなどの資源が豊富に眠っているという理由で、これらの地域のツンドラ地帯の開発が進んでいます。
極寒の気候であるため開発されることはほとんどなかったのですが、近年の地球温暖化の影響で永久凍土が溶けつつあり、面積が縮小しているのです。
永久凍土が溶けるとその地帯では人の手が入りやすくなりますが、ここで気にかけないといけないのが温室効果ガスの存在です。
地球温暖化を促進している原因が二酸化炭素などの温室効果ガスなのですが、この温室効果ガスは世界の土壌の中で、ツンドラの永久凍土の中に大半が閉じ込められている状態です。
つまり永久凍土が溶けると、温室効果ガスの放出量がそれまで以上に増えると懸念されます。
この現象は実際にアラスカで確認されています。
仮に開発が進んで石油などを採掘すると、それによってさらなる温室効果ガスが放出されるので、二重に温暖化を促進してしまいます。
2015年に結ばれたパリ協定の国際枠組みの努力目標も、危うくなってしまいます。永久凍土の崩壊を止めないと、地球温暖化防止も危ういのです。
日本がTPPの承認を国会で決めた裏で国際社会ではパリ協定の発効が決まりました。日本は批准できずオブザーバー国としての参加にとどまるようです。今の日本のエネルギー事情からしたら原発の再稼働も難しく火力中心となるので、温室効果ガスの削減は厳しいというのが現実です。
南極ツンドラ
文字通り南極に広がるツンドラ地帯ですが、南極大陸以外にもケルゲレン諸島、サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島など亜南極圏の島々にも位置します。
南極大陸は気温が低すぎる上に乾燥しているので、植物の育成がほとんど不可能なのですが、南極半島ではコケや地衣類など合わせて100種類以上存在します
因みに南極半島には、花をつけるナンキョクコメススキとナンキョクミドリナデシコの2種類の植物が生息しています。
南極という超極寒な環境で花をつけるだなんてちょっと驚き!一度でいいから見てみたいな。
南極観測の歴史については以下の記事をどうぞ!
高山ツンドラ
高山地帯にあるツンドラですが、標高が十分高ければ緯度に関係なくどこでも分布しています。
他の地域のツンドラと比べて水はけがよいのが特徴です。
日本でも比較的緯度が高い北海道は亜寒帯なのですが、中央部に聳える標高2,000m以上の大雪山には永久凍土があります。
タイガについて
タイガとはロシア語でシベリア地方に広がる「針葉樹林」を意味する言葉です。
針葉樹とは葉っぱが針のように細長い樹木で、クリスマスツリーとして使われることでも有名ですね。
因みに英語で「針葉樹林」は「coniferous forest」となります、決して「tiger」(タイガー)ではありません(笑)
タイガの樹種は様々?
葉っぱが針のように細長いのが針葉樹で、タイガとは基本的には針葉樹林を指します。
しかし一部の地域では、カバノキ属やハコヤナギ属といった広葉樹林も分布しているようです。
さらにシベリア中央部に流れるエニセイ川の東西では森林の組成が異なっていて、西側が常緑針葉樹、東側が落葉針葉樹となっています。
タイガの分布図
最大の特徴は何と言っても、南半球に分布していないことです。
仮に試験問題などで「以下の分布図に該当する植生を答えよ。」と出題されて、南半球のどこにも色が塗られていなかったら、それはほぼタイガとなります。
また上の画像を見てもらえば、
- 南極大陸
- アフリカ大陸
- 南アメリカ大陸
- オセアニア
- 東南アジア
- 西アジア
- 南アジア
- 中央アメリカ
にはタイガは分布していないことがわかりますね。
カナダの国旗の模様とは無関係?
カナダ一帯は特にサトウカエデと呼ばれる樹木が多く生息していて、メープルリーフと呼ばれる木の葉が特徴です。
この葉っぱの模様はカナダの国旗にも使われています。ただしサトウカエデは落葉広葉樹林で、針葉樹林とは関係ありません。
カナダの国旗の意味と由来の解説です!真ん中に描かれた木の葉は何を表すのか?赤と白のラインは何を意味するのか?さらに昔のカナダの国旗はどのように変遷していったのか?詳しく解説していきます!
まとめ
以上ツンドラとタイガについての違いと、それぞれの特徴の解説でした。
短いですが今回の内容をサラッとまとめますね。
- ツンドラは永久凍土が広がる地域のことで、タイガは亜寒帯に分布する針葉樹林のこと
- ツンドラは北極圏と南極圏、高山地帯に分布、タイガは北半球のみに分布
- 温暖化の影響で永久凍土が溶けつつあるが、温室効果ガスの放出量が極端に増える恐れがある
個人的な記憶ですが、やはり地図の分布図を見て、ツンドラとタイガのどっちが正解かを問われる問題が多かった気がします。
今回の記事を受験対策に役立ててもらえれば幸いです!
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