ついに日本政府がTPPの承認案と関連法案を衆院の特別委員会で可決させました。
これをもって8日の衆議院本会議で通過し、今国会でTPPの国会承認がはかられる見込みです。
しかしその裏で国際ニュースで話題となったのがパリ協定の発効です。
このパリ協定ですが、簡単に言えば地球温暖化対策の国際的な取り決めです。第2の京都議定書ともいうべき協定と言っていいでしょう。
しかし日本政府は連日の国会審議ではTPPに重点を置いておりその結果パリ協定の批准をしませんでした。民進党などの野党は、環境問題よりもTPPの方が大事なのか!と批判をしています。
このパリ協定がどれほど重要な枠組みと言えるのか、また乗り遅れてしまった日本はどう対応すべきなのか解説していきます。
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パリ協定が重要視される理由とは?
そもそもこのパリ協定がなぜこれほど重要視されているのでしょうか?
その理由はアメリカと中国、インドなど二酸化炭素の世界3大排出量を誇る国が参加していることにあります。
地球温暖化を加速させている最大の原因が二酸化炭素を始めとした温室効果ガスの増大と指摘されています。
その温室効果ガスの削減を目指し、これ以上地球の環境を悪化させないことを目的としてそれまで幾度となく国際会議で議論されてきました。そしてその温室効果ガスの削減を初めて明確に義務化させた協定が1997年に採択された京都議定書です。
ただしこの協定にアメリカと中国は参加しませんでした。
人口の多さ、経済の規模などでこの2大国家が世界で最も二酸化炭素を排出している国です、その米中が参加しない協定になんの意味があるんだ?とこれまで批判されてきました。
しかし今回のパリ協定は、なんとこの米中がともに参加、世界第3位の排出量を誇るインドも参加しています。
さらに気候変動枠組み条約に加盟する全196か国全てが参加していて、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度未満に抑える、また平均気温の上昇を1.5度未満に抑える、というのが趣旨となっています。
先進国だけが削減の義務対象となっていた京都議定書とは違い、発展途上国を含む全ての国が参加して自ら削減目標を設定して取り組む、という点が大きく異なっています。
これがパリ協定が最も重要視される大きな理由です、排出量が多いアメリカ、中国、インド、EUはもちろんですが、そこまで排出量が多くない発展途上国全ても削減義務を負うということはかなり意義が大きいと言えます。
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今後の日本の対応は?
批准しなかった日本に対して、マスコミからは、
「出遅れた、発言力が低下する!」という批判が相次いでいます。
しかし今の日本の現状を考えると致し方ないのかもしれません。ご存知のように日本では現状原子力発電所がほとんど稼働しておらず、火力発電が主体となっています。
故に二酸化炭素排出量を減らすのは難しいと言ってもいいでしょう。もちろん原発を再稼働させればそれで事足りると思いますが、今の国民世論がそれを許さないので、難しいと言えます。
かといってこのまま火力発電に頼りまくっても二酸化炭素の排出量は減らないし、ましてや火力の主要なエネルギーは石油なので、中東の政治状況に左右されていつまでも安定して供給されるという保証がないのが辛いところです。また化石燃料はいつ枯渇してもおかしくありません。
こういう状況でパリ協定を批准して、あと10,20年以内に20~30%以上も削減するのはほぼ不可能に近いです。
もし実現させるなら強制的に停電させるか、火力全部やめて原発主体にさせるか、それとも無理を承知で再生可能エネルギーに全力投資するかだとおもいます。
いずれにしろそういった政策は国民のエネルギー不足に直結しかねないので経済は不安定になることは間違いないです。
批准しなかったことで、日本はしばらくオブザーバー国家という立場でしか交渉に参加できませんが、それでも原発を容易に再稼働できない事情がある以上は安易に削減目標を定めて交渉に参加すべきでないと言えます。
原発がダメなら再生可能エネルギーにすればいいんじゃ?
という意見もあると思います。
もちろん日本の将来のことを考えたら脱原発で行くべきでしょうが、再生可能エネルギーと言えどもやはり安定感に欠けるものがあります。(太陽光なら天気、風力なら風の強さに影響されるなど)
いざという時のためのバックアップ電力を確保する必要があり、そのためには結局火力発電が一番安定するという意見もあります。太陽光のバックアップを同じ太陽光では賄えないのです。現状しばらくの内は火力発電に頼らざるを得ないというのが今の日本の辛い立場ですね。
そのためには政府が全力で再生可能エネルギーの投資に全力を注ぐか、太陽光発電を普及させるために、家庭で余った電力の売る価格を上げたりして普及させるしかないと言えます。
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