毎年日本に接近したり上陸する巨大な低気圧と言えば台風ですね。
最早台風とは切っても切り離せないような関係にあると言っても過言ではない日本ですが、台風の多い時期ってちょっと偏っていると思いませんか?
なんとなくだけど、毎年夏か秋が多いイメージだよね。この時期は休校になることが多かったよ。
逆に冬や春ってほとんど台風来ないイメージだよね。
改めて考えると具体的に「〇月が最も台風が多くなる!」と答えられるでしょうか?
そもそも年によって変わったりしますので、平均の数はやはり知っておくに越したことはありません。
ということで今回は台風が日本に接近する時期について、発生数と接近数と上陸数の上位3か月をまとめて紹介します!
また同時にどうしてその時期に多くなるのか、理由も探っていきますよ。
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台風が多い時期はいつ頃?
日本に襲来してくる台風は一年の中で、最も来やすい時期はいつ頃なのでしょうか?
簡単な答えを先に言いますと、日本は毎年7~9月頃が最も台風が来やすい時期となります。
ただしこれだと少しざっくりしすぎですね。
そもそも台風が発生しても、接近しなかったり上陸しないこともあります。
ですので台風が発生する数と日本に接近or上陸する合計3パターンに分けて、それぞれのトップ3の月を紹介します!
台風の発生数が最も多い月 |
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8月で平均5.6個、9月が4.9個、7月が3.9個 |
台風の接近数が最も多い月 |
8月で平均3.5個、9月が2.9個、7月が2.5個 |
台風の上陸数が最も多い月 |
8月で平均1.6個、9月が1.5個、10月と6月が1.2個 |
このような結果となりました。これは気象庁のホームページにある1951年から2019年までのデータを基に算出したものです。
やはり断トツだったのが8月でしたね。
これについては何となく予想通りだった人も多いのではないでしょうか?
だいたいお盆休み過ぎたあたりから徐々に台風が増え始め、接近し上陸する数も増えるといった感じです。
2,3週間に一回は日本のどこかに台風がやってくると言っても過言ではないです。
まさに台風シーズンのピークと言えるでしょう。
この時期は沖縄に稀に接近することはありますが、本州まで接近することはまずありません。
11月に上陸したことは1990年に和歌山県へ上陸して以来一度もありません。
この時期は仮に発生しても西へ進んだり、すぐに温帯低気圧に変わることがほとんどです。
また冬に関しては、台風が発生すること自体がほぼないと言っても過言ではないです。
1月と2月は日本で最も寒い時期で、台風の空白期間となります。
この約2か月後に台風が発生すると、その年の台風シーズンが到来したとも言えます。
台風の上陸は10月も注意!?
だけど上のデータを見て少し「アレっ?」と思った人もいるのではないでしょうか?
毎年8月に最も多いというのは納得できるけど、9月の方が7月よりも多いんだね。
10月にも台風が上陸することは珍しくないんだ。
一年の中で最も暑い時期は7月と8月ですね。気温の高さから8月と7月で台風の多さも1,2位となりそうですが、若干涼しくなる9月に台風が多くなります。
また興味深いのは上陸数で、8月と9月の上陸数はほぼ僅差といったところです。
さらに上陸数だけは、10月と6月が7月より多くなっています。
10月にもなると日本では紅葉が咲き始め、寒くなり始める時期です。
これはどういうことでしょうか?
台風が秋頃にも日本にやって来やすいのは、実は台風の発生する場所と日本の気圧配置が大きく関係していたんです。
ここからは台風の進路とも合わせて詳しく見ていきますね!
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なぜ秋頃に台風が来やすいのか?
台風の発生数は7月から増え始めることがわかったわけですが、実際に日本に台風が襲来してくるのはその1~2か月後、初秋が最も多くなります。
秋以降になっても台風が発生し接近しやすい理由ですが、まず日本にやってくる台風がどこで発生するかに着目してみましょう!
日本に襲来する台風の多くは南の太平洋上の海上で発生するものです。
どうしてそんなに南になるかと言うと、台風の発生には高温の海水のエネルギーが必要となるからです。
※台風が発生する仕組みやエネルギー源については以下の記事で詳しくまとめています!
毎年日本には多くの台風が上陸し大きな被害をもたらします。しかしなぜ台風ってあれほどの風速を誇るのでしょうか。台風を生み出す熱のエネルギー源を詳しく紹介していきます。調べてみると、とても身近な物理現象と大きく関係していました。
そしてこの場所で発生した台風が北上することで、日本本土に接近したり上陸するわけですが、ここで台風の進路を阻む大きな壁があります。
それが毎年7~8月に訪れる猛暑の正体である太平洋高気圧です。
この太平洋高気圧が日本の上空にあるおかげで、本来台風の進路上にある日本本土に台風が来れない訳です。
だからこの時期の台風は特に九州の西寄りを通りやすく、まさに本州を素通りする進路が多いです。
仮に上陸しても、その頃には台風の勢力自体が弱まっているのでそこまで大きな被害にはなりません。
(温帯低気圧に変わった後で上陸しても、「台風が上陸した」とはいいません。)
そして秋頃になると、この太平洋高気圧が徐々に南下していきます。
太平洋高気圧の南下で日本も徐々に涼しくなってくるのですが、それと同時に台風の進路を阻むこともできなくなります。
本州上空に太平洋高気圧がないので、台風も上陸しやすいということですね。
この時期の台風の進路を見ると、太平洋高気圧の縁を沿って、ちょうど放物線を描くようになっているパターンが多いです。
また追い風となっているのが偏西風です。
日本の上空を西から東に掛けて吹く強い風のことですが、この風に乗りやすいこともあって台風がちょうど日本付近に接近すると同時に西から東へと進路を変えて、列島を横断しやすくなります。
カレンダーで見ると、丁度8月のお盆休みを過ぎた頃から台風が来やすくなります。
そもそもの発生数自体が最も多いので、台風の襲来が一年で活発しやすい時期が「8月の下旬から9月にかけて」となります。
一見涼しくなるから良さそうに見えるけど、今度は台風が来やすくなるから、日本の秋は悩ましいよね。
さらにこの時期の日本は周囲の海水温も高くなっています。
台風が勢力を維持するには、一定以上の温度の海水が必要となります。
つまり日本付近の海水温が高いと、勢力を減退させることなくそのままの勢いで北上を続けられるのです。
本来であれば9月下旬から10月にかけては徐々に秋めいてきて、日本付近の海水温も下がっていき、台風への心配もする必要はなくなります。
だけどここ数十年で温暖化の影響のためか、残暑が長く続き、台風が北上しやすい環境が10月になっても続きやすくなっているのです。
気象庁によれば10月に日本列島に接近する台風は、近年増加傾向にあるとのことで、10月も台風への備えは万全にしておきましょう!
9月から10月にかけての台風を特に「秋台風」と呼んでいますが、過去の統計を見てみると、秋台風は大災害をもたらしやすいのです。
太平洋高気圧が南下して台風が直撃しやすいというのも理由ですが、もう一つの要因として考えられるのが秋雨前線の存在です。
秋雨前線とは、秋頃に発生する長雨をもたらす前線のことですが、9~10月は秋雨前線と台風が重なりやすい時期でもあります。
秋雨前線が停滞し雨が長時間続くだけでなく、そこに台風でさらに強い大雨をかぶせてくるわけです。
また台風がまだ南の海上にある時でも、その外側から来る湿った空気が秋雨前線と重なることでやはり大雨となります。
この時期の天気予報の画像は台風だけでなく、秋雨前線が停滞しているかどうかにも注意しないといけません。
まとめ
今回は台風が多い時期についての解説でした。それではまとめといきましょう。
- 台風が最も発生し、接近数と上陸数が多いのは8月、次いで9月
- 台風の上陸数は7月と10月はほぼ同じ
- 11月から3月にかけては台風への心配はほぼいらない
- 台風が秋に接近しやすいのは、太平洋高気圧が南下し偏西風に乗りやすいから
- 秋の台風は秋雨前線と重なることもあるので特に災害が起きやすい
繰り返すようですが、やはり台風は8月と9月の2か月間が特に要注意と言うことですね!
また近年は10月に上陸することも珍しくないので、10月も台風への備えは必須です。
台風が来るとやはり傘は役に立たないので、レインコート一着は持っていった方がいいでしょう!
※台風については他にも記事があるので、ぜひそちらもご覧ください!
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