伝説上の生き物として超有名なのが鳳凰とフェニックスですよね。
鳳凰は日本で言えば平等院鳳凰堂や金閣寺にも飾られている他、2004年から発行された一万円札の裏面にも描かれています。
対してフェニックスは多くのRPGにも重要な幻獣として登場するなど、不死鳥としてのイメージが強いですね。
しかしどちらも鳥のような姿形をしているのですが、もしかしてごっちゃになっていないでしょうか?
恥ずかしながら筆者は混同していました(;^^
もしかしたら「鳳凰とフェニックスって同じじゃないのか?」なんて勘違いしていたわけです。
他にも「朱雀」なんていう似たような言葉も出てきますよね。
ということでこれら3つの鳥の違いをハッキリさせるため、今回の記事で詳しく掘り下げてみました!
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鳳凰・朱雀・フェニックスの違いとは?
まずは簡単にですが、鳳凰とと朱雀とフェニックスの違いを一言で紹介したいと思います。
- 鳳凰とは、中国の神話に登場する伝説の鳥で、四霊の一つ
- 朱雀とは、中国の神話に登場する伝説の鳥で、四獣の一つ
- フェニックスとは、永遠の時を生きるという伝説上の不死鳥のこと
この中で鳳凰と朱雀はともに漢字2文字で、中国由来というのは共通していますね。
興味深いのはフェニックスの違いですが、何と言っても不死鳥ということが強調されます。
しかし鳳凰と朱雀には不死鳥という意味合いはありません。
もちろん伝説上の生き物ということで神格化されてはいますが、どことなく「鳳凰=フェニックス」という誤解が生まれやすいのは何故なのでしょうか?
3つの鳥についてその由来や見た目など、さらに詳しく探ってみたので、次から紹介していきます!
鳳凰について詳しく!
「鳳凰」とは、中国古代の神話に登場する伝説の霊鳥のことです。
厳密に解説しますと、麒麟・霊亀・応竜とともに四霊として崇められたおめでたい鳥という扱いです。
また鳳凰は卵を産むらしいのですが、この卵は不老長寿が得られる不思議な薬とされていました。
伝説上の生き物には伝説の力が宿るというのは、神話ならではのお約束ですね。
鳳凰の見た目は?
鳳凰の見た目としては、中国と日本で若干の差異があります。
中国では、
- 背丈が12~25尺ほど
- 頭が鶏、嘴がオウム、頸が龍、胴体の前部がオシドリで後部が麒麟、足が鶴、翼がツバメ、尾がクジャク
という外見です、ややこしすぎてどういう外見か全く想像つかないですね(;^^
これに対して日本では、
- 背丈が4-5尺ほど
- 頭と嘴が鶏、頸が蛇、胴体の前部が麒麟で後部が鹿、背中が亀、頷が燕、尾が魚
という見た目ですが、やはり日本でもややこしいですね。
日本にしろ中国にしろ文章で表現すると、どんな姿かイメージがつきませんが、わかりやすく表現するなら孔雀(クジャク)と同じような見た目をしているみたいです。
ただ中国と日本でともに共通しているのは、鳳凰を五色絢爛な色彩に設定していることです。
五色絢爛だからその見た目はとても神々しいことでしょう、後述するように豪華な建物にも権力者の象徴として飾られるのも納得ですよね。
鳳凰が見れるのはどこ?
現在の日本では平等院鳳凰堂と金閣寺の屋根の上に、鳳凰の像が飾られています。
一番身近な例としては、現在発行されている一万円札の裏面で見ることができます。
ただし2024年から新一万円札が発行されるので、その姿を身近に見れる時代が終わるのは寂しいですね。
朱雀について詳しく!
中国では同じような伝説上の鳥として、「朱雀」という鳥もあります。
厳密な定義を解釈しますと、南方を守護する神獣されており、鳳凰との違いとしては鳳凰が「四霊」の一つなのに対して、朱雀が「四神」の一つになっているという点です。
パズドラで登場する四神シリーズが特に有名ですね。「朱雀のレイラン」は可愛いです!
この朱雀というのは見た目としては完全に「鳳凰」と一致します。
実は鳳凰という鳥が登場した時には、「五行思想」という考え方がありませんでした。
「五行思想」とは簡単に言えば、火・水・木・金・土の5元素を用いた思想で、その五行に基づいて方角も定められています。
具体的には、
- 木⇒東
- 火⇒南
- 土⇒中
- 金⇒西
- 水⇒北
となっていて、「火」に対応する「南」を司る神獣のモデルとして、採用されたのが鳳凰となったわけです。
これによって、「鳳凰も朱雀も一緒で両方とも火をモチーフにした鳥」という勘違いが生まれました。
朱雀は確かに火をモチーフにしていますが、鳳凰はあくまでモデルとして使われた鳥に過ぎません。
にも拘わらず鳳凰にも「火の鳥」というイメージが強いみたいですね。
その理由は次に紹介する「フェニックス」との関係も強いかもしれません。
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フェニックスについて詳しく!
「フェニックス」は死んでも蘇ることで永遠の時を生きる伝説上の鳥のことで、英語では「phoenix」と書いて、発音は「フィーニクス」となります。
因みに「フェニックス」というのはラテン語での呼び方です。
その由来と起源を詳しく解説しますと、元々はエジプト神話に登場するベンヌという聖なる鳥が原型とされています。
このベンヌは毎夜炎へ飛び込んで死んで、毎朝その炎から生まれると当時のエジプト人が信じていました。(他にもアジアに生息するキンケイがフェニックスの起源だとする説もあります。)
この話を古代ギリシアへ持ちこんだのがヘロドトスという歴史家で、彼は著作『歴史』において、この鳥の事をフェニックスとして紹介しました。
フェニックスの見た目は?
全体としては鷲に近い見た目をしているようです。つまり鳳凰と見比べた時に、フェニックスの方がより鳥っぽく見えるということです。
因みにフェニックスの原型であるベンヌは、アオサギのような見た目です。
羽の色が金色や赤にもなっていて、かなり神々しくなっています。
またフェニックスの最大の特徴が雌雄の区別がなく、全て雄ということです。
フェニックスは死なないので卵からは孵化せず何度も蘇るからですね。
因みに手塚治虫先生の名作『火の鳥』では、不死鳥として登場しますが、その見た目は完全に鳳凰です。
この作品では「鳳凰編」というエピソードも登場するので、これが原因で「鳳凰=不死鳥=フェニックス」という誤解が生まれたのかもしれませんね。
フェニックスが使われている作品などを紹介!
今では多くのRPGでもフェニックスは登場しますね。
僕もフェニックスを初めて知ったのは、『ファイナルファンタジー』が最初でした。
5作目に召喚獣として初登場しましたが、飛竜が塔から飛び降りてフェニックスに生まれ変わるという演出は、子供の頃に見た時はあっけにとられました。
ただし竜が鳥に変わるので、厳密に言いますと「違うだろ!」と突っ込みたくなりますが(;^^
戦闘中に召喚した際には、神話になぞらえて「転生の炎」を放ち、戦闘不能の味方キャラを蘇生させるという効果を持ちます。
他にもドラゴンクエストにもやはり巨大な鳥としてラーミアが登場しますね。こちらは名前こそ違いますが、やはり不死鳥という扱いです。
さらに調べてみたら地名や作品などいろいろな所にも「フェニックス」という名称は用いられているんですよ。
- 福井県福井市にある「フェニックス通り」
- 日本大学のアメフトチームである「日本大学フェニックス」
- 福岡と宮崎の間を走る高速バス「フェニックス号」
2018年11月に公開された『機動戦士ガンダムNT』で登場したユニコーンガンダム3号機の別称は、「フェネクス」と呼ばれていますね。
これを見た時最初は「フェニックス」と同じではないか?とも思いました。
厳密に解釈しますと、これはソロモン72柱の悪魔の一角を担う邪悪な不死鳥のことで、言ってみれば“悪魔”としての「フェニックス」となります。
まとめ
今回は鳳凰と朱雀とフェニックスの違いについてまとめました。
間違っても3つとも同じ鳥ではありません。鳳凰のことを欧米では「東洋のフェニックス」と見なしていますが、あくまで便宜上喩えているだけです。
余談ですがインド神話に登場するガルーダという鳥とも全く違うので、同じく混同しないようにしましょう!
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