突然ですが皆さんにクイズを出します

2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37…

上に列挙した数字はある枠組みに分類される数字ですが、果たしてどんな数といえるでしょうか?

 
このような問題を提示されて一瞬で答えがわかった人はある程度の数学の知識があると思います。

上記に挙げた数は全て素数という自然数に分類されます。

 
素数とは簡単に言えば正の約数が1と自分自身のみである数字のことで、対義語は合成数に当たります。

さて今回なぜ素数を取り上げたのかといいますと、自然数の中でも素数はかなり特殊な部類に当てはまって昔から数多くの数学者がその存在性と法則について多くの理論を提唱してきたからです。

中でも「素数が無限に存在することの証明」は高校の数学の教科書にも載っているほど有名な問題となっています。

しかし授業で習ったことのある人が多いと思いますが今ひとつピンと来なかったり、納得いかなかった人もいると思います。

実はこの問題は歴史を辿ると紀元前3世紀頃に証明がなされていましたが、高校の授業で習うやり方とは微妙に違っているようです。

どこがどう違っているのか?また他の証明法もおまけで紹介していこうと思います、ぜひご覧ください!




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素数とは何か?

素数を改めて正式に定義しますと、

1より大きい自然数で正の約数が1と自分自身のみである数字のこと。また正の約数が2個しかない自然数

となります。

 
具体的に列挙すればわかりますが、ある程度条件的に制約されるので2桁以下の素数でも以下の25個しかありません。

2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47,53,59,61,67,71,73,79,83,89,97

 
後述するように素数は無限に存在することがわかっているので3桁、4桁、5桁になっても延々と素数は出てきます。

3桁の素数は数が多すぎて割愛しますが143個存在し、4桁の素数になると1061個と増えていきます。

また100番目の素数は541、1000番目の素数は7919となります。数学マニアになりたいなら知っておきましょう(;^^)

【素数以外は全て合成数!】

素数とは約数が1とそれ自身のみである数字なので、これ以外の数字は全て1とそれ自身以外で何らかの約数を持っている数字、即ち合成数となります。

  • 例1:9なら、1×3×3=9で3
  • 例2:20なら、1×2×2×5=20で2と4と5と10
  • 例3:35なら、1×5×7=35で5と7

 

2以外の素数は全て奇数!

これも必然的になりますが、2以外の数で偶数であった時点で2という約数を自動的に持つことになります。故に2以外の素数は全て奇数です。

 
もちろん奇数でも絶対的に素数になることはありませんが、敢えて除くとしたら1の位が5である数字です。

35,555,7695…など10進数限定でありますが、1の位が5になった時点で5の倍数になることが確定するからです。

 
よって素数である条件は1の位が1,3,7,9(2と5を除く)のいずれかである奇数だということです。

実際に上に挙げた100未満で7以上の素数は全てこうなっていますね。




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素数が無限に存在することの証明

素数は無限に存在するのか?

 
なんとなく

「自然数自体が無限に存在するから素数も無限に存在するでしょ?」

と思いがちですが、素数は1とそれ自身以外で約数を持たないという特殊な数字であるため本当に無限に存在すると断定できるのか?

と疑問符をつける数学者もいたのです。

 
その数学者の中で「幾何学の父」とも言われたユークリッドによって、実際にこの素数が無限に存在するという問題が証明されました。

ユークリッドは古代ギリシャの数学者で、後に数学史上最も重要な著作でもある『原論』を編纂し、その中で以下のような手順で証明しました。

  1. 任意に与えられた素数のリストを{a,b,c…k}と置く
  2. その最小公倍数であるPを「a×b×c・・・×k」と置く
  3. このPに1を加えた数”P+1″は、a,b,c…kのいずれでも割り切れない数となる
  4. 割り切れないということは素数でないといけないので、新しい素数Rが誕生する
  5. この素数Rを加えた新しいリストを作成して、同じ手順を繰り返しても再び新しい素数が誕生する
  6. 故に素数は無限に存在する

これがユークリッドの『原論』に示された証明法です。

気をつけないといけない点は素数の積に1を加えると新しい素数となるという誤解を抱いてしまうことです。

素数はどうやったら生成されるのか、その法則は未だに解き明かされておりません。上に紹介した方法でも素数が{2,3,5,7,11}までのリストなら素数となります。

 
しかしリストが{2,3,5,7,11,13}になると、

2×3×5×7×11×13+1=30031=59×509

となってしまうので新しい素数ということにはなりません。

 
こうなると一見上に紹介した証明法は間違っているように受け止められますが、実はそうではありません。

59と509は確かに素数ですが、この2つは最初に指定した{2,3,5,7,11,13}のリストには含まれない素数となるので、どちらにせよ新しい素数が誕生することに変わりありません。

素数の積に1を加えると新しい素数となるということにはなりませんが、基本的にはこのやり方で無限に存在することは証明できます。

もちろんリストの素数の個数が膨大な数になるとイメージしづらくなるのは仕方ないことですがwww

ただしこの証明法よりも次に紹介する背理法による証明のほうがわかりやすく、皆さんには馴染み深いものかと思います。

 

背理法による証明

背理法とは高校数学で習う証明法で有名ですね。

わかりやすく言えば「ある命題が正しいと証明したい時に、その命題が間違っていると仮定して結論を出し、その結論が仮定と矛盾していることで、命題が正しいと証明する」という方法です。

 
今回の場合は「素数が無限に存在する」ことが正しいと証明したいので、まずは素数が無限に存在しないと仮定します。

ではどういった感じになるのか以下に手順を示します。

  1. 素数の個数が有限の個数であると仮定する
  2. 全ての素数のリストを{a1,a2,a3…an}と置く
  3. その積Pを「a1×a2×a3・・・×an」と置く
  4. Pに1を加えた数”P+1″は、a1,a2,a3…anのいずれでも割り切れない数となる
  5. 割り切れないということは素数でないといけないので新しい素数Rが誕生する
  6. 新しい素数が誕生するということは、個数が有限であるという最初の仮定が間違っていることになる
  7. 故に素数は無限に存在する

これが背理法の証明となります。

 
間違ってはいけないのがユークリッドは背理法という形式では証明していないということです。

ユークリッドは素数が有限個しかないと仮定していて矛盾を導いているわけではなく、あくまで「有限個の素数リストを用意すると、そのリストにない素数を幾らでも作ることができる」と主張しているに過ぎないわけです。

 
背理法の内容は高校数学で習いますが、ユークリッドの証明法と似ているからやや混同しやすいと言えますね(-_-;)

 

おまけ:円周率を使った証明もある?

実は素数が無限に存在することは、円周率πを使っても証明することができるのをご存知でしたか?

このやり方はライプニッツの公式(円周率の値を近似的に求めた級数の式)をオイラー積の形で表すとわかります。

上の画像でπを4で割った数字は、有理数の積の形で無限に続いているのがわかります。

ここで注目すべきは分子の数字で、全て2以外の素数になっていますよね。

31/32の次は、37/36、41/40…と続いていくわけですが、仮に素数が有限個しかないと仮定したらπは有理数と言うことになります。

 
しかしそれはあり得ないですね?

なぜなら円周率πは無理数だからです、無理数は有理数ではない実数で分子・分母共に整数である分数としては表せません。

これもやはり素数が有限個しかないと仮定したら矛盾するので背理法の応用となります。

ただかなり特殊な証明だと思うので大学受験でこういった回答はしない方がいいですねwww

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

素数が無限にあることの証明は他にも探せばいくらかあるようです。

高校時代に習った背理法以外にも円周率πを用いた証明には、こんなやり方もあるんだなと個人的にかなり感心しました(^▽^)/

 
今回の記事を読んでもらえて数学についての知識をより深めてもらえれば幸いです。

数学が苦手な方は多いですが、科学の基礎を築いている理論や知識は数学だということを忘れないでください!
 
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