地球の約7割を覆う海は、その水位が場所と時間によって大きく変動する特徴があります。
同じ場所を長時間眺めていると、海水で満ち溢れたかと思えば、海水がほとんどなくなることもあるんです。
こちらの動画をご覧ください!
上の動画は広島にある厳島神社で、潮が満ちたり引いている様子です。
いわゆる満潮と干潮という現象ですが、改めてこれらがどうやって起こるのか、その仕組みをご存知でしょうか?
釣りが好きな友人は、潮の満ち引きで釣れる魚が違ってくるから結構気にしてたね。
物理の授業でも習ったけど、確か月が影響していたんだっけ?
ていうことは、月が海を引っ張っているの?
潮の満ち引きの仕組みを詳しく調べたら、実は月の存在が大きく関係していました!
また合わせて満潮と干潮がなぜ1日2回訪れるのか、そして大潮と小潮の違いも気になりますね。
今回は潮の満ち引きが起きる理由を詳しく掘り下げていきます!
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潮の満ち引きが起きる理由とは?
改めて潮の満ち引きが起きる理由ですが、それは地球のすぐ隣にある月が大きく関係しています。
一言で言いますと、
月の引力によって海が引っ張られている
ことになります。
月は地球に対して引力を及ぼしています、これは学校の理科の授業でも習うでしょう。
いわゆる「ニュートンの万有引力の法則」ですが、2つの物体が一定の距離離れていると、その物体同士は互いに引き合う力が働くのです。
当然地球も月に対して引力を及ぼしています。
この月が及ぼす引力の影響で、最も影響を受けているのが地球を覆う海です。
海はご存知液体ですね。
液体ですからその形状は自由自在に変化できます。
でもこの自由に変化できる特性が曲者で、実は月のような大きな天体が及ぼす引力で簡単に形が変えられるのです。
※厳密に言えば太陽も地球に対して引力を働かせていますが、これは大潮と小潮のお話しで関係するので、後半で取り上げます。
この引力によって潮の満ち引きが起きるわけですが、具体的にどういった感じで満潮と干潮を引き起こすのか図を用いて詳しく見ていきましょう!
満潮と干潮が起きる仕組み!
上の画像をご覧ください。
月は地球に対して引力を働かせているのですが、言い換えれば海を引力で自分の方向に引っ張っているわけです。
仮に地球を覆っている海が均一な厚さだった場合、月の引力によってその厚さは均一でなくなり、月に近い場所ほど多く引っ張られます。
具体的には月の真下(Aに該当)に位置する海は最も引っ張られやすくなるため、その部分はかなり水位が上がります。
これが満潮となる場合です。
反対に月と面している場所の左右90度の地点の海面については、高さが低くなります。
上の画像ではちょうどBとCの2か所に該当します。
なぜ干潮になるのかと言いますと、月との関係から明らかになります。
月に面して満潮になった場所は、そこに海水が集中していますよね。
その海水は当然周りから集められたものなので、左右90度に当たる部分は海水が減ることになります。
あるいは力学的に考えると、このBとCの2か所は月の引力より地球の重力の方が強くなります。
それだけ地球の中心に引っ張られやすくなるので、海面が下がるわけです。
そして月と面しているちょうど反対側の地点(上の図でD)については、反対側と同じく満潮となります。
直感的には、「BとCの2か所で海の量が減っているから、その分の海水がここに集まってきた」という考えでもある程度納得できます。
だけど正確に言いますと、反対側の地点で満潮になるのは、潮汐力が最も大きく関係しているのです。
潮汐力という難しい言葉が出てきましたが、地球が月から受ける引力によって、地球の両側に生じる外向きの力のことです。
要するに月が面している反対側は月の引力が最も小さくなり、その分海が取り残されている
⇒結果として海水面が盛り上がる
と考えても大丈夫です。
月が面している側も潮汐力が働いているから満潮と考えてもOKだけど、引力で引っ張られていると思ったほうがイメージしやすいね。
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満潮と干潮は1日2回の周期!
満潮と干潮についてはもう一つ大事な性質があります。
それは同じ地点で1日にそれぞれ2回ずつ満潮と干潮が訪れるということです。
例えば東京都だと、朝の5時に満潮が来たら、朝の10時頃には干潮となります。
そして夕方の16時30分頃に2度目の満潮が来て、夜の23時05分ごろに2度目の干潮が訪れます。
「満潮→干潮→満潮→干潮」というパターンですが、満潮と干潮のサイクルが約12時間の周期で訪れるのです。
なぜ1日2回の周期になるかと言いますと、地球が自転しているからです。
月と面している箇所は確かに満潮ですが、ずっと月の真下にあるわけではありません。
地球は1日24時間で自転していますので、単純に考えれば6時間おきに90度ずつ移動します。
このようになりますので、結果として6時間おきに満潮と干潮が交互に訪れる形になります。
釣りの時は、その場所での満潮と干潮の時間を知ることが凄く大事になってくるよ。
実際の潮の満ち引きは様々な要因でズレる?
潮の満ち引きは月の引力によってもたらされるということでしたが、実際の潮汐は月の運動と正確に一致しません。
これまではあくまで簡潔にするために、地球の表面上を一様に海が覆っていると仮定しました。
しかし実際はそんなことはなく、大陸や島が存在しますし、海底との間で海水は摩擦も生じます。
さらに水温や塩分濃度、気圧、風、地球の表面が凸凹していることも、海水の移動変化をもたらします。
これらの要因から月が真上に位置する時間帯になったからといって、すぐに満潮になるわけではありません。干潮についても同じですね。
大潮と小潮は太陽も関係?
以上で潮の満ち引きの仕組みについての大まかな説明は終わりです。
しかし月の引力だけでなく忘れてはいけないのが、太陽の存在です。
先ほども少し触れましたが、地球に引力をもたらす天体は月だけでなく太陽もあります。
その太陽ですが、月ほど大きくはありませんが、それでも月と地球との位置関係によってその力は無視できないものとなります。
ここで以下の画像をご覧ください。
上の画像は月と太陽と地球が一直線に並んだ図と、月が太陽に対して90度の位置にある図です。
引力はベクトルなので、足し算して大きくなります。
そのため2つの天体が同一直線状に並ぶと、月と太陽の引力は合わさってより強く海を引き寄せます。
これが大潮になる時です。
大潮になるのは、月の満ち欠けで言い換えますと、新月か満月になる時なのでおよそ15日の周期で訪れることになります。
では反対に月が太陽に対して90度ズレた位置にある場合はどうなるでしょうか?
月に面している地点は、相変わらず海水面は大きく盛り上がりますが、90度ズレた地点では太陽の引力を受けるため、ここでも海水面が盛り上がります。
この場合は4地点で月と太陽の引力で海が引っ張られるため、水位がそれほど広がりません。
これが小潮となる時です。
小潮になるのは、月の満ち欠けで言い換えますと、半月(上弦と下弦)になる時なので、こちらもおよそ15日の周期で訪れます。
しかしこれらの惑星は月の約100万分の1ほどの力しかないので、ほぼ無視していいでしょう。
大潮と満潮が重なると水位が急激に上がるんだ。有明海は大潮の日で干満差が2メートルを超えるんだよ!
まとめ
以上で潮の満ち引きが起きる理由と満潮と干潮、大潮と小潮の仕組みの説明を終わります。では今回の内容のまとめです。
- 潮の満ち引きは月の引力と太陽の引力が原因で起きる
- 満潮と干潮は月の引力で起きて、1日にそれぞれ2回訪れる
- 実際の潮の満ち引きは、海水温や塩分濃度、気圧など様々な要因でズレる
- 大潮と小潮は太陽の引力も重なることで起きる
- 大潮は月と太陽が一直線上に並ぶ時、小潮は月と太陽が90度に位置する時に起きる
- 大潮は満月と新月の日、小潮は半月の日に起きる
月は太陽に比べても小さいのですが、地球の海を動かすだなんて、改めて月というのは凄い天体だと思い知りますね。
お月見の日は海に近い所で眺めれば、満月だけでなく潮の満ち引きも楽しめますよ♪ただしくれぐれも近づきすぎないように!
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