雷
それは轟音と強烈な光を放ち、直撃すれば人工物も容易に破壊するほどの力を持った自然の驚異として古来より知られています。
その雷ですが、発生した時にピカッと光る様子は見れますが、その瞬間に音は聞こえずやや遅れて聞こえることが多いです。
昔から疑問に思っていたけど、どうして音が遅れて聞こえるの?
音速と光速は全然違うって物理の先生が言ってたけど、どれだけ違うんだろ?
音が稲光より遅れて聞こえてくる理由は、音が光に比べてもだいぶ遅いことが関係しています。
そして光速と音速の差がわかれば、光と音の届いた時間差で雷との距離もわかりますよ。
光速と音速の違いを解説しつつ、雷の速さについて詳しく見ていきましょう!
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雷の速さ!光と音の違いは?
「ピカッ!!(1、2、3)ゴロゴロ、ドーン!!」
雷はこのように光ってから、数秒経って「ゴロゴロゴロ」と音が聞こえるケースが多いです。
こちらの動画をご覧ください。
個人の方が撮影した動画ですが、確かに雷がピカッと光ってから数秒経って大きな音が響いているのがわかりますね。
改めてこのような時間差が生じる理由ですが、それは音が光に比べて圧倒的に遅いからです。
具体的にどのくらい速さに差があるかといいますと、
- 光速が秒速30万㎞
- 音速が秒速340m(0.34㎞)
で、光速は音速の約100万倍も大きいのです!!
100万倍というと、とんでもない差ですよね(*_*)
日常生活では音というのはほぼ一瞬で伝わるので、あまり気にしない人も多いかもしれませんが、実際のところ音というのはそれほど速くはないんです。
もちろん光に比べての話ですけど。
※光速と音速については以前も当ブログで詳しく紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください!
この世で最も速いと言われるのが光ですが、その速度を時速・秒速で換算するといくらになるのでしょうか?様々な物体の速さと比較しつつ、光速度でも遅く感じる場面や媒質によって光の速さが異なる現象についても詳しく見ていきます!
音の速さを時速や秒速で換算した時の数値が、だいたい何キロなのか考えたことはありますか。実は音速は温度によって変わりますし、液体中や固体中でも変化します。他にもマッハの定義や光速との比較も紹介しますよ!
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雷の音と光で距離を測ろう!
さて雷が発生した時に見える光と音ですが、その速さの差は約100万倍でした。
光の速さはおよそ秒速30万㎞、これは地球を1秒間で7週半するスピードです。
つまり光については発生したと同時に、一瞬で伝わるので時間差は気にしなくていいです。
問題なのは音のほうで、こちらは秒速340mとあまり速くありません。
1秒間で340mなので、単純計算で2秒で680、3秒で1,020(約1㎞) …となります。
このようにして考えていただければ、音が何秒後に聞こえたかで、雷が発生した場所からの距離がわかります。
雷が発生した地点までの距離をM、雷が光ってから音が聞こえるまでにかかった秒数をSとすれば、
M=0.34S
という関係式が成り立ちます。
0.34という数字は音速の秒速340mを㎞換算した数字です。
距離は時間と速さの掛け算(はじきの法則)から上のように導けます。(単位は[㎞]です。)
小学校の算数で習う「はじきの法則」は、距離と速さと時間を簡単に求めるために効果的な法則です。どうやったら簡単に求まるようになるのか、またその覚え方もわかりやすく紹介していきます。批判が多い理由についても考察していきますよ!
もちろん秒数を正確に測定するのは難しいので、だいたいの数字でもおよその距離がつかめます。
だいたい3秒でおよそ1㎞ですが、
- 2㎞離れていたら、約6秒後
- 3㎞離れていたら、約9秒後
・
・
・
という感じで、1㎞離れるごとに3秒のズレが生じる計算になります。
雷だけじゃなくて花火の音もやや遅れて聞こえるけど、原理は一緒なんだね。
音のない雷もある?
上で紹介した「M=0.34S」という式で、雷までの距離はわかります。
しかし雷鳴がやっと聞こえる距離は、およそ10㎞~15㎞という事実もあります。
つまり「雷が聞こえる距離には限界がある」ということです!
ですので、仮に自分の住んでいる場所が雷から数十km以上も離れていたら、稲光は見えますが音はほぼ聞こえないんですね。
雷の光は見えたけど音が鳴らないのは、単純に距離が離れすぎていることが原因で起きます。
あるいは音だけ聞こえなくなるのは、他にも以下のような原因が考えられます。
- 雷の音が伝わる途中で風が吹いてかき消された
- 高い建物によって音が遮られた
- 雲の間や内側だけで起きる雲放電だった。
音が伝わるということは空気が振動して伝わります。
ですので、雷が起きた方角で強い風が起きていたりすると、その空気が流されて音が伝わりなくなります。
同じ理由で雷の音が伝わる途中で高い建物があると、それによって音の伝搬も遮られます。
また雲放電についてはアメリカアリゾナ州での観測でも詳しい調査が行われていて、雲放電からの音は落雷のような大きな音ではなく、非常に小さくて聞こえづらいことがわかっています。
雲放電は文字通り雲の内部で起きる雷なので、目視もしづらいでしょうが、夏場でよく起こる現象で知られています。
雷の音が聞こえないのは、単純に距離だけの問題じゃないんだね。
雷の音と光の正体とは?
雷が光った時に見える光は、文字通り光の速さで伝わりますが、その正体は放電現象で発生する光(稲光)なのです。
本来地球の大気というのは電気を通さない絶縁体です。
その絶縁体に放電する、すなわち電気を通すということなので、普通の電圧程度ではとても電気が通りません。
家庭用電圧が100~200ボルト程度ですが、雷はその数百万倍、すなわち数億ボルトにも達します。
電圧が大きくなればそれだけ電流を押し出す力が強くなることなので、絶縁体である空気にも電気が通るわけです。
このようにして放電された電気は、とんでもないエネルギーを持っていますので、放電の際に周囲の大気を一気に熱します。
局所的にはなんと1万℃以上という高温に達するそうで、このようにして急激に熱せられた空気が膨張する時に音が発生します。
この時に聞こえる音こそ、あの「ゴロゴロゴロ…」で、通称「雷鳴」と呼ばれています。
「ゴロゴロ」というのは空気が膨張して震えているからだよ。決して雷様のお腹が鳴っているわけじゃないからね。
雷自体の速さは遅い?
これまで紹介した雷の速さは、あくまで放電した際にピカッと光る稲光の速さと、それに伴って振動する空気から出る音の速さでした。
しかし雷自体は、その正体は電気です。
ここで知っておいてほしいのは、よく目にする稲光はその雷が発する光に過ぎないということ。
そもそも落雷というのは、地面と上空との間で電位差が大きく広がった時に発生します。
この時、まず上空の雲から細長い光で先駆放電が起き、次に主雷撃と言ってこれが地面まで届いて、大きな雷鳴と稲光を伴います。
先駆放電によってまず電気の通り道を確保し、その通り道を通るのが主雷撃です。
先駆放電は電気が通りにくい空気を通るので時間がかかるのですが、主雷撃は電気が通りやすくなった道を通るから速度が上がるわけです。
よく目にする雷というのは、この主雷撃を指すことが一般的です。
主雷撃が地面に落ちるまでの速さは、光速より少し遅くおよそ秒速10万km程度と言われています。
地面まで落ちるわずか一瞬の間に、何百ギガワットにも及ぶ巨大な電力を伴って放電します、ピカチュウですら丸焦げでしょう。
この大量の空中放電によって空気中の窒素と炭素が反応して窒素酸化物が生まれ、それが地面まで届くと植物の栄養分へとなってゆきます。
雷の別称である「稲妻」という名前は、「稲の栄養になる=稲の大切なパートナー」から付けられたんだよ。
まとめ
今回は雷の速さと雷までの距離について詳しく解説してきました。では内容を振り返りましょう!
- 雷の音の速さは光より遅く100万分の1
- 雷までの距離は雷鳴の音が光ってから何秒後に聞こえるかで計算できる
- 音のない雷は、単純に雷までの距離が離れすぎていること、雲放電であることなどが原因で音だけ聞こえなくなる
- 雷の光の正体は放電が生じた際の光、音は放電によって周囲の空気が熱せられることで生じる
- 雷が地面まで届くまでの速さは光より遅く秒速10万㎞程度
「0.34×雷鳴が聞こえるまでの秒数」
すごく単純な式なのですが、これでおおよその距離はわかります。
もしもピカッと光って、1秒も経たないうちに雷鳴が聞こえたら、ほぼ自分の上空で発生した可能性が高いので、速やかに安全な場所に避難しましょう!
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