太陽系の中で最も外側を公転する惑星といえば海王星ですね。

2006年まではこれよりさらに外側を回る惑星で9番目の冥王星があったのですが、惑星の定義から外され今では海王星が最も外側の惑星となりました。

その海王星ですが、一番外側を公転するだけに地球からもかなり離れてその実像を詳しく知っている人もいないですし、まだまだ未知の部分は多いです。
※因みにドラゴンボールに登場する「界王星」とは全く関係ありません(笑)

実際に天文学者にとっても馴染みの薄い世界で、1989年のボイジャー2号の接近を最後にどの探査機も接近していません。

これまでの研究結果から明らかになったのは、海王星には恐ろしく凄い早さの風が吹き荒れていることです。一体どれだけの風速なのか?

その他にも現時点でわかっている海王星の特徴をいくつか紹介していきます、ぜひご覧ください!




スポンサーリンク

 

海王星の風速はヤバすぎる!

海王星とは一言で言えば、太陽系の最も外側を公転する惑星です。

英語名は「Neptune(ネプチューン)」、これはローマ神話に出てくる海の神の名前に由来していますが、実はギリシャ神話のポセイドンと同一です。

ポセイドンと言えば海を支配する神でお馴染みですね、RPG系のソシャゲには必ずと言っていいほど登場します。

そのポセイドンは自身の持つトリアイナという三叉の矛で大海と大陸を自在に支配したと言われています。具体的には嵐や大津波を引き起こし、万物を粉々に砕いたり、山脈をも真っ二つに引き裂いたとか…

さすが海の神ともいうべき力を誇っていますが、海王星ではそのポセイドンの名に恥じぬ凄まじい嵐が吹き荒れていたのです。

海王星の大気構成は水素が80%、ヘリウムが19%、メタンが1.5%となっており、大気の色が若干青みがかっているのはメタンの影響です。

表面温度は平均約50K、マイナス220度という超極寒です!

水素やヘリウム、メタンが固体化するまで寒いので、海王星ではメタンの氷の雨が地上に降っています。


寒いだけでなく吹き荒れる風の勢いもすごいです。平均風速が時速1600kmを超えという猛烈な勢いなのですが、地球で発生する最大規模の台風の平均風速が時速200km(ハリケーンのカテゴリー5での風速)なので、いかに海王星の風速が凄いかがわかります。

中でも最も凄い嵐が登場したのが今から約30年前、1989年のボイジャー2号が観測した大暗斑です。

地球が2個分も入るほどの巨大な黒い楕円形の模様が、海王星の南半球の上空で発見されました。

その時観測された風速は何と最大で2400km/h

もしかしたら本当にポセイドンが暴れ出したのでしょうか(;^^)

ただ残念ながらハッブル宇宙望遠鏡が1994年に観測した際にはこの嵐は消えていたそうです。

※因みにこれまで海王星を直接観測したのはこのボイジャー2号だけです。



なぜここまで強い風が吹き荒れるのかはよくわかっていません。

ただ現時点で言えるのは、海王星の大気は

  • 赤道付近で暖かくなり
  • 太陽が真上にある中緯度で冷たくなり
  • 南極付近で再び暖まる

という特徴があることです。

すなわち中緯度で暖められた空気が膨張して、より高い高度まで上昇すると冷やされるのですが、その後南極と赤道に向かって移動すると逆に暖まるというサイクルになります。

この大気循環が海王星の猛烈な嵐のメカニズムと関係してそうですね。

木星の大赤斑よりも凄い?

海王星最大の特徴である大暗斑は風速2400kmを誇る超猛烈な嵐ですが、同じようなもので木星の大赤斑というのもあります。

大赤斑は木星を特徴づける大きな嵐で有名ですね。

南側に大きく楕円状の形をした模様が大赤斑です。これもかなりの風速を誇る嵐で有名ですが、最大風速は時速650kmほどで、大暗斑の4分の1ほどしかありません。

しかし木星といえば英語名「Jupiter」がゼウスと同一視されていますので、そのゼウスが兄のポセイドンよりも風速で劣るのは致し方ないのかなと思いますね。

その代わりゼウスにはその大きな重力で、大量の小惑星を引きずり込む特徴があります、詳しくはコチラから!
木星が隕石を防ぐ?太陽系の掃除屋の異名は伊達じゃない!




スポンサーリンク

 

天王星と特徴を比較!

海王星は天王星型惑星に分類されます。

天王星型とつくだけあって、すぐ内側を公転する天王星とはやや似通った特徴を持っています。

どれだけ似ているのか?表にしてまとめてみました!

天王星 海王星
発見方法 望遠鏡 望遠鏡
直径 5万1100km 4万9500km
質量 地球の14.5倍 地球の17倍
自転周期 17時間 16時間
表面温度 マイナス200度 マイナス220度
内部構成 岩石の核が氷で覆われ、マントルが水・アンモニア・メタンが含まれる氷からなる 岩石の核が氷で覆われ、マントルが水・アンモニア・メタンの海になっている
大気構成 水素83%、ヘリウム15%、メタン2.0%、アンモニア0.01% 水素80%、ヘリウム19%、メタン1.5%、アンモニア0.01%

比較してみましたらけっこう似ていると思いませんか?まるで兄弟星ですね。

また天王星が青緑色に見えるのも海王星と同様、やはりメタンが含まれていることに関係しています。

大きな違いと言ったら太陽からの距離と衛星の数、さらに自転軸の傾き具合ですね。

特に天王星は自転軸が横倒しになっているのが大きな特徴です。詳しくは以下の記事をご覧ください!
天王星の特徴を解説!横倒しで昼夜がない?

【海王星のその他の特徴】

海王星のその他の特徴について簡単に解説しますと、衛星や環が存在することです。

ただし衛星に関しては、離心率が大きかったり逆行している星も少なくないため、さらに外側のエッジワース・カイパーベルト天体ではないかと考えられています。


また環に関しては、ボイジャー2号の観測で5本あることが確認されました。

惑星からの距離が近い順に並べると、

  • ガレ環
  • ルヴェリエ環
  • ラッセル環
  • アラゴ環
  • アダムズ環

となります。

この内アダムズ環は海王星の最も外側にあって、5つのアーク(環の中の離散した弧の部分)があることでも知られています。


まとめ

今回は海王星の特徴について、特に風速の大きさに焦点を当てて紹介してきました。

また風速が凄いことや太陽との距離などを除けば、天王星と特徴が似ています。


海王星や天王星は地球からの距離が離れすぎていて、一見探査の価値が低いように思えます。

しかし太陽系外にある惑星の大半は、海王星や天王星と同じ巨大な氷惑星であると知られています。

そのため海王星や天王星の研究を深めることは、太陽系外惑星の理解を深めるのにも役に立ちます。


海王星は1989年のボイジャー2号以来、どの探査機も近づいていないのですが、NASAでは2030年ゴロに再び海王星に探査機を近づける探査計画(ネプチューン・オービター構想)があるようです。

ただ海王星の公転周期は165年もかかる上に、地球との距離を考えたらほぼほぼリターンがない計画とも言えるので実現できるかは不透明ですけど…


【こちらの記事もどうぞ!】

惑星直列はいつ起きる?定義や確率も合わせて解説!




スポンサーリンク