地球にとって最も身近な天体といえば月ですね。

その月は太陽からの光の反射で夜空に煌々と輝くのですが、三日月や満月といった形で満ち欠けをすることでも有名です。

これも太陽と月と地球の絶妙な位置関係によって生じる現象なのですが、満ち欠けをする月の姿は昔から多くの人々を魅了してきました。

ところが月以外にも満ち欠けをする天体があるのをご存知でしょうか?

その天体とは金星です。

金星とは地球のすぐ内側を回る惑星ですが、大きさもほぼ同じで姉妹惑星と呼ばれています。

その金星がなぜ満ち欠けをするのか?

また満ち欠けをするとしたら、その周期や姿形はどのように変化するのか?

今回は図解で金星の満ち欠け、及び金星の別称についても解説します。ぜひご覧ください!




スポンサーリンク

 

金星の満ち欠けについて解説!

金星の満ち欠けがどういった形で起こるのか?周期とともに簡単に解説していきます。

またわかりやすいように月の満ち欠けの用語(満月、新月、半月、三日月)を、そのまま金星にも代用します。

  1. 金星の満ち欠けの周期は583.92日である。
  2. 外合に位置している時は満月状になるが、地球からは見えない
  3. 外合から内合に移動する時はやや丸みを帯びた形→半月→三日月へと変化する
  4. 内合に位置する時は新月状になり、地球からは見えない
  5. 内合から外合に移動する時は三日月→半月→やや丸みを帯びた形へと変化する

外合は下の図で①の時、内合は②の時、金星が半月に見える③と④は地球と金星の間で最大離角を成します

これが金星の満ち欠けの周期、および形状の変化の流れです。

わかりやすくまとめると、

満月→半月→三日月→新月→三日月→半月→満月

の変化をし、これが583.92日(1年7か月)の周期で繰り返されます。

またそれぞれの満ち欠けの期間は

  • 満月→半月:約3か月
  • 半月→三日月→半月:約3か月
  • 半月→満月:約3か月

となります。


ただ金星の満ち欠けが月と違って面白いのは、満月の形をした金星が地球からは見れないことです。

それだけでなく、本来そこまで明るく見えそうにない三日月の時に最も金星が明るく見える特徴もあります。

これについては金星と地球との距離が深く関係していました。




スポンサーリンク

 

満月で見えず三日月で最も明るくなるのはなぜ?

改めて満ち欠けについて軽く説明しますと、太陽の光がその天体に当たって反射した部分が見えることです。

地球上で観察する人にとってはその反射した部分が

  • 半分だけの時は半月
  • 細長い弦のような形の時は三日月
  • 全部反射して円の形の時は満月
  • 全く反射しなかった時は新月

になります。


月の場合は地球との距離がほぼ一定なので、満月になった時が最も明るく新月の時が最も暗くなります。

ところが金星の場合は地球の内側を回る惑星であるから、地球との距離が大きく変動します。

具体的には、

  1. 太陽を挟んでちょうど反対側に位置する時:2億6000万km
  2. 太陽と地球の間で一直線上に並んだ時:4200万km

の2パターンで、その差は2億1800万kmあります。

①の時が上の画像でも説明した外合に位置する時ですが、この時は金星との距離が最も離れます。

また金星の位置関係上、夜には絶対に観測できません。

このため満月状の金星を見るとしたら、明け方から夕方までの時間帯に限られるのですが、距離が離れすぎているためそもそも金星の見た目の大きさが小さく、反射される太陽光も極めて少ないです。

さらに昼間は太陽の強い光に紛れるため、観測するのは実質不可能になります。


②の時は上の画像でも説明した内合に位置する時ですが、この時は金星との距離が最も近くなります。

このため金星の見た目の大きさ自体は最も大きくなるはずですが、肝心の太陽光が当たらない部分だけしか地球に向けられていないので、やはり地球から観測できません。

そこに金星があるのは間違いないのに見ることができない、まるで透明惑星ですね(;^^)

宵の明星と明けの明星とは?

金星の満月の時と新月の2パターンの見え方についてはご理解できたと思います。

これ以外だと内合から外合に移動する時と、外合から内合に移動する時の2通りがありますね。

この2通りの時に金星がどういった満ち欠けをして、明るさはどうなるのでしょうか?もう一度画像を見てみましょう。

まず内合から外合に移動する時は、金星の太陽光が当たる面が徐々に左側に移動していき、最大離角の時にちょうど半月になります。

さらに最大離角から内合に移動するまでの間、太陽光の当たる面がさらに細くなっていき、三日月の形状になっていきます。

ここで注目すべきは地球から見える方角です。

昼間の時間は太陽光が強すぎて見えづらいですが、夕方の時(上の画像で①の位置)になると徐々に太陽光が弱まり、西の空を眺めればうっすらと欠けた金星を拝めます。

この時見える金星は夕方の空に見えるので、宵の明星と呼ばれます。(“明星”とは金星の別称です。)


また明るさに関しては、半月から三日月になるにつれて地球と金星との距離が縮まります。

ということは金星の見た目の大きさが大きくなり、反射される太陽光の量も大きくなるので、明るさも増えていきます。

つまり金星の明るさは、

三日月>半月

となるわけです。


同様に外合から内合に移動する時は、金星の太陽光が当たる面が徐々に右側に移動していき、最大離角の時にちょうど半月になります。

さらに最大離角から外合に移動するまでの間、太陽光の当たる面が大きくなり、最終的に満月になって見えなくなります。

再び地球から見える方角に注目すると、今度は宵の明星とは逆になります。

今度は太陽が昇り始める明け方(上の画像で②の位置)、東の空を眺めればうっすらと欠けた金星が見え始めます。

明け方の空に見えるので、明けの明星と呼ばれます。

宵の明星と明けの明星、2つとも金星の別称として有名です。ぜひ覚えておきましょう!


※また三日月の時の金星が最も明るく見えることになりますが、この時の金星は何と真昼間でも見えます。

明るさにしてマイナス6.8等級となります。あまりにも明るいので金星の光で影ができるほどです。



まとめ

今回は金星の満ち欠けについての解説でした。改めて内容をまとめさせて頂きます。

  • 金星の満ち欠けの周期は約1年7か月、満月→半月→三日月→新月→三日月→半月→満月の繰り返し
  • 満月の時の金星は地球との距離が最も離れるため、観測できない
  • 新月の時の金星は観測できないが、地球との距離が最も近い
  • 金星が外合から内合に移動する時は、夕方の空に見えるので宵の明星となる
  • 金星が内合から外合に移動する時は、明け方の空に見えるので明けの明星となる
  • 金星は三日月の時が最大光度となり、真昼間でも見える

基本的に金星は明け方か夕方、晴れていればどっちかで見ることはできます。

今回の記事を参考にしてもらえれば、見えた時間帯と形状から次に金星がどんな姿でどう移動するかもイメージしやすいはずです。

ただこれだけ身近な天体なのに、その環境は地球とは全く違う灼熱地獄です。将来的にも人は住めそうにないのが残念ですね(;-_-)


【こちらの記事もどうぞ!】

金星のテラフォーミングは出来る?問題点も合わせて解説!

木星が隕石を防ぐ?太陽系の掃除屋の異名は伊達じゃない!




スポンサーリンク