太陽系で内側から二番目の惑星と言えばご存知金星ですね。

最接近時には太陽、月に次いで明るく見えることから一番星と呼ばれたり、明け方にしか見えないのは明けの明星、夕方にしか見えないのは宵の明星と呼ばれたりします。

様々な呼び名がある金星ですが、その環境は地球とは比べ物にならないほど過酷です。


地表の温度は平均で460℃、超温暖化が進んだ灼熱惑星となっています。

とても人が住める環境ではありませんが、金星は太陽系の中でも地球から最も近い位置を公転する星のため、何とかして人が住める環境にできないか研究している科学者も多いです。

このように地球以外の惑星を人が住める環境に変化させることをテラフォーミングと呼びますが、果たして金星は本当にテラフォーミングできるのでしょうか?

出来るとしてもどのくらいの期間がかかるのか?

諸々の問題点も合わせて考察していきますね!




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金星のテラフォーミングは可能か?

テラフォーミングとは冒頭でも紹介したように、人為的に惑星の環境を変化させて人が住める星に改造する架空の技術で、元はと言えばアメリカのSF作家であるジャック・ウィリアムスンの作品に由来する言葉です。

そのテラフォーミングに関しては実は火星が最も適した星だとされています。

その理由は現時点で火星が地球と最も環境が似ているからです。

平均温度が-43℃、1日の時間が約24時間と地球にほぼ似ていること。

また南極と北極にある極冠と地下に眠る永久凍土で大量の水と二酸化炭素が生成できるという説もあって、火星のテラフォーミング計画が強く支持されました。このネタはSF作品『トータル・リコール』でも取り上げられました。


ただし火星は地球からの距離が遠すぎる(最接近時でも約7000万km)ことと、重力が低いことがネックに挙げられます。

これに対して金星は最接近時には地球から約4200万kmで比較的行きやすく、また表面重力が地球とほぼ同じなので、やはりテラフォーミングの惑星としては有力な候補です。

しかし金星は地表の平均温度が約460度、気圧が地球の90倍、硫酸の雲が覆っているなど火星よりも恐ろしく過酷な環境です。

こんな惑星で本当にテラフォーミングすることは可能なのでしょうか?

結論から言いますと、できなくはないができたとしても1万年近くはかかる、ということになります。火星のテラフォーミングが1000年以上と言われているのに対して、金星は少なく見積もっても1万年です。

もはや人類が存続しているかどうかも怪しいですが、それでも金星のテラフォーミング案は少なからずあるようです。

ではどういっ案が提唱されているのか見ていきましょう!

光合成で解決!

この案はアメリカの天文学者であるカール・セーガンによって1961年に提唱されました。

実際に『惑星金星』という論文を提唱し注目を浴びましたが、その内容は金星の上空に微生物や藻類を繁殖させ、光合成によって二酸化炭素濃度を無理矢理下げるというものです。

金星の温暖化の最大の原因が膨大な二酸化炭素にあります。要するに植物による光合成をさせることで二酸化炭素を減らし、酸素を増やす狙いがあるわけです。

一見合理的で良さそうに見えますが、そもそも金星の上空には二酸化炭素だけではなく硫酸の雲もあってすぐに枯れてしまいます。

また金星には光合成に必要となる水自体が非常に少ないため、この案は徐々に廃れていきました。

巨大な日傘で太陽光を遮断!

この案は簡単に言えば、金星を覆うように日傘を作って太陽光を遮断しようというものです。日傘の代用としてソーラーパネルを用いることで太陽光発電も出来るから一石二鳥です。

もちろん惑星全体の気温を下げるくらいですから、相当巨大な日傘になりそうですけどね。


ただしこの案だとそもそも金星にある大量の二酸化炭素をどうやって減らすかは解決できません。

地球でも今や二酸化炭素が増えすぎて温暖化が叫ばれていますが、金星は地球とは比較にならないほどの二酸化炭素で溢れ返っています。

仮に太陽光を遮断したとしても、温暖化自体を止められるとは思えないないですね(;-_-)

金星の上空に住む!

テラフォーミングとは少し意味合いが違うかもしれませんが、金星の上空50kmで空中都市を建設して住む計画もあります。

金星の上空50kmでは、気圧と気温が地球とほぼ似ていることからこの案が提唱されました。

具体的には『フローティングシティ』と呼ばれている計画ですが、まず金星上空に予め投入したロボット型の飛行船に宇宙飛行士が住んでそこで植物を繁殖させて、少しずつテラフォーミングを行うというものです。


さながら『天空の城ラピュタ』を彷彿させる内容ですが、そもそも金星の上空をずっと飛び続けるだけのエネルギーをどう確保するか、また金星特有の硫酸の雨にどう対応するかといった懸念もあります。

また50km上空は地球と比較的環境が近いと言っても、気温は50℃前後はあるそうなので相当暑いことに変わりありません、冷房は絶対に欠かせないですね。


主に3つの案を紹介してきましたが、うーんやはりどの案も非現実的ですね(;^^)

いずれの案も現代の技術力ではほぼ実現は不可能と言っていいです。もし実現しても惑星規模の環境は簡単には変わりません。

地球だって明日いきなり平均気温が10度も変化することはあり得ません。それは金星でも同じで、人類が住める環境に変わるのはどんなに短くても最低数千年は下らないとされています。その間ずっと金星の面倒を人類が見ないといけませんから、気が遠くなりますね…




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テラフォーミング後の金星の生活は?

数千年か1万年という長い年月が必要だとされている金星のテラフォーミングですが、もし仮に成功しても金星には実は

  • 自転軸がほぼ垂直なため四季がない
  • 1日の時間が極めて長い
  • 太陽からの距離が近く、地球よりもやや気温が高い

という諸問題があります。

太陽からの距離が近いので太陽光を浴びやすいですが、これは宇宙空間に巨大なシールドを建設することで何とかカバーできそうです。ただ元々の二酸化炭素濃度が地球より遥かに大きいので、温暖化問題は避けられないでしょう。

また垂直な自転軸と1日が地球時間で243日(自転周期)もかかるのが普通の人には耐えられないでしょう。


仮に夜明けから次の夜明けまでを1日と換算しても117日はかかります。

これは地球で言うと約58日は昼で、残り58日は夜という状態がずっと続くことを意味するわけで、高緯度地方で起きる白夜及び極夜と似たような感じになるのです!

金星で3日弱経過すると地球で1年(365日)経過するので、誕生日や年齢の数え方で地球の人間と混同してややこしくなりますね(;^^)


また自転軸が垂直ということは地球で言うところの四季の変化がないことも意味します。

春夏秋冬、季節の巡りや変化は人間にとって生活がより楽しくなる要因があってなくてはならないものです。

春はお花見、夏は海水浴、秋は紅葉巡り、冬はスキー、そういった季節に関する娯楽が一切味わえないのが金星の生活になるでしょう。なんともつまらない世界です…

まとめ

今回は金星のテラフォーミングについての問題点についての解説でした、参考になりましたら幸いです!

金星のテラフォーミングは現代の科学力ではどんなに頑張っても約1万年はかかるとされています、途方もない未来の話ですね。

そもそも土台となる技術が完成していないことや、1万年も人類が地球で繁栄できるかと言われればそれ自体が不透明です。

または『スター・ウォーズ』や『宇宙戦艦ヤマト』みたいに光速移動ができる宇宙船を開発して、太陽系外への惑星へ移住するという案もありますが、やはりこれも非現実的です。
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ただ地球の環境が増え続ける人口にどこまで耐えられるかも怪しいです。

だからこそ地球外への移住計画はここ近年大きな課題となっていますが、外惑星への移住よりも『機動戦士ガンダム』のように宇宙空間に居住コロニーを建設して住む、という案の方がまだ現実的かもしれませんね。


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