ソクラテス

プラトン

アリストテレス



この3人といえば古代ギリシャの哲学者として有名で、世界史の授業でも習いますね。

しかし学校の授業で習ってもこの3人の思想や考えについて、その違いがわかり辛いところではあります。

そもそもこの3人の関係ってどんなんだっけ?

という疑問を抱いている人も少なくない筈です。

学校の授業のみならず公務員試験でも『政治学』の政治思想の中で出題される可能性も高いです。

今回はこのギリシャの3大哲学者について、その思想の違いと覚え方をわかりやすくまとめて解説していきたいと思います!




スポンサーリンク

3大哲学者の思想の違い・比較まとめ

3大哲学者として知られるソクラテス・プラトン・アリストテレスについて、生年月日や思想・概念の比較、違いを表にまとめたのでご覧ください。

3大哲学者について
ソクラテス プラトン アリストテレス
生誕年 紀元前469年 紀元前427年 紀元前384年
主な思想と概念 無知の知、アレテー(徳)、問答法 イデア、哲人王 形而上学、三段論法、アイテール
主な著書 『ソクラテスの弁明』、『国家』 『オルガノン』、『政治学』、『アテナイ人の国制』
学園 アカデメイア リュケイオン



生年月日の順番を見てもわかりますが、一番古い人物がソクラテスで新しい人物がアリストテレスになっています。(紀元前の場合は数字が大きいほど古くなります。)

師弟関係について

3大哲学者と呼ばれていますが師弟関係について述べますと、

  • プラトンはソクラテスの弟子
  • アリストテレスはプラトンの弟子

となります。

すなわち、ソクラテス>プラトン>アリストテレス、ですがテストではこの師弟関係もよく問われますよ。

またアリストテレスの教え子として有名なのがアルゲアス王朝の王で有名なアレクサンドロス大王です、これも豆知識として覚えておきましょう!

簡単な覚え方の紹介

ソクラテス・プラトン・アリストテレスの3大哲学者について表にまとめましたが、改めて簡単にまとめますと

  • ソクラテスは『無知の知』と『問答法』で知られる哲学者
  • プラトンは『イデア論』と『哲人王』で知られる哲学者
  • アリストテレスは『三段論法』、『形而上学』、『アイテール』で知られる哲学者

となりますが、この説明だとちょっとわかり辛く覚えにくいですね。

そこでテスト対策のために効果的な覚え方を筆者独自に編み出してみました!

  • ソクラテス:そっとクラクラ、ムチムチ問答無用!
  • プラトン:鉄人プラトン出でよ!
  • アリストテレス:アリス刑事とサンダーに朗報!相手Lです!

いかがですか?こんな感じで覚えてもらえれば幸いです(;^^)


ただしここまでの説明だと凄くざっくりな説明になってしまいますね。あくまで簡単なテストにしか通用しません。

そもそもこの3人の思想の内容や違い、比較などもっと詳しく知りたい!という方もいるでしょう。

また公務員試験などではもっと踏み込んだ内容まで問われる可能性もあるので、次の章でそれぞれ詳しく解説していきます!




スポンサーリンク

 

ソクラテスの思想について

汝自身を知れ」という名言でも有名なソクラテスですが、彼の思想の最大の特徴は『無知の知』にあります。

当時のギリシャは既に直接民主制を用いていて、ソフィストと呼ばれる有識者らが多くの知識と詭弁で人々をいいように先導していたのです。

その在り方に疑問を感じたのがソクラテスでした。


弁論の場で相手を論破することに長けていたソクラテスでしたが、実は彼は自分自身が何も知らない、“無知”であることを自覚していたのです。

要は自分が何かの専門知識を持っていれば、他の専門分野の人達からは有識者だと思われますが、自分がその専門分野に対して何も知識がなければ逆に自分が無知になるということです。

一見当たり前のようにも見える考えですが、これをソクラテスは「自分が知らないと自覚していれば、自分の方が知っていると思い込んでいる人よりも賢く優っている。」と結論付けたのです。

これがソクラテスの『無知の知』となります。


この無知であるという点に基づいて、「問答法」で相手を論破していったのがソクラテスのやり方でした。

ソフィストらは「普遍的な真理は存在しない。」と主張していたのですが、それに異を唱える形で反論し、言葉遊びや揚げ足取りではなくしっかりと真理を追究することの必要性を訴えました。

そして対話と議論によって相手の矛盾を導き出して、「汝自身を知れ!」と一喝していき当時のソフィストらを論破していったのです。

この「問答法」は一人で物事を考える時にも自分自身に問いかける形で自分自身の知識が深まるので、非常に意義があります。

要するに彼が言いたかったのは、

知ったかぶりはするな!己の無知を弁えろ!

ということです。


現代社会でも知ったかぶりや知っているふりをして自分は知識人のように振舞っている輩が多くいますが、自分が知らないことを素直に認めない人が多すぎる気がしますね。

何事もまず自分が無知であることを自覚した上で、相手の意見や考えをまず聞くという姿勢が大事なんだということを認識させられます。

プラトンの思想について

『ソクラテスの弁明』を執筆したこともあって、師であるソクラテスの思想を受け継いでいますが、違いはソクラテスの言う真理について具体的な答えを明示したことにあります。

その答えがイデアです。(古代ギリシャ語の動詞“idein”に由来する。)

ここでいうイデアとは認識するあらゆる事物において本質のことを意味し、現実の世界に存在するのは全てイデアのコピーに過ぎないというのがプラトンの考えです。

例えば目の前にリンゴがあったとします。

丸くて赤く芯があるのがリンゴであると自然に認識しますが、それは我々がそういう物体をリンゴであると学習したことで初めて認識できます。


もっと厳密に解釈しますと、元々我々はイデアを知ってはいました。

しかし魂が肉体に移る際にイデアを忘れてしまっただけで、現実の世界で人生を重ね学習することによって想起(思い出している)しているに過ぎない、というのがプラトンの考えとなります。


そしてイデアの中でも善のイデアこそが最重要の徳であるとプラトンは説きました。

彼の著書『国家』では、その善のイデアを認識する哲学者の王(哲人王)がリーダーになって国家を運営するのが理想であるとしました。

若干考えは違いますが、彼のいう政治的概念はアリストテレスにも受け継がれています。

アリストテレスの思想について

アリストテレスの思想については実に様々ありますが、中でも『形而上学』は特に問われるポイントです。

その理由は彼の師プラトンの『イデア論』を批判的に受け継いでいることにあります。

『イデア論』においては真理というのは現実の世界にはなくイデアの世界にあると説いたのに対し、『形而上学』では真理はむしろ現実の世界に存在すると主張したのです。

プラトンとは逆で現実に拘ったということです。


プラトンと同じくリンゴの例で解説しますと、我々人間が生まれて初めてリンゴを見た時にそれをリンゴであるとは認識できません。

プラトンによれば人から聞いたり学ぶことで初めてリンゴだと認識するようになるのですが、アリストテレスは自分で何度も見てその形状や色を無意識に知識として吸収することで初めてリンゴだと認識するようになるとしています。

このことから現実の世界に存在するあらゆる物事が形相(設計図のこと)と質料(材料のこと)で形成される、という考えに辿り着きました。

設計図と材料は共に現実の世界に存在するため、イデアではなく現実の世界に真理は存在するとしたのです。この考えは現代の学問にも通じる基礎になりました。

学校の試験においてもアリストテレスとプラトンの比較・違いはよく問われるため、この部分は特に重要視しておきたいポイントです!


他にもアリストテレスは

  • 『論理学』においては、三段論法(2つの前提から結論を導き出す論法)を体系化した。
  • 『政治学』においては、人間は政治的生物と定義し、堕落した国家はプラトンと同じ「僭主制、寡頭制、衆愚制」にあるとした。
  • 『宇宙論』においては、火・空気・水・土の四大元素の他に第5元素アイテール(エーテル)からも構成されるとした。

などの功績があります。

アリストテレスが残した自然研究の業績はまだ他にも多くあり、後世にもイスラーム哲学やスコラ学に多大な影響を与えたことから「万学の祖」とも呼ばれています。

プラトンの語る哲人王がまさに彼のような気がしますね。

まとめ

最後になりますが改めて簡潔にまとめますと、

  • ソクラテスの主な思想は『無知の知』で、人間は“知らない”と自覚する事で、初めて“知る”事ができるとした。また「問答法」で相手を論破し「汝自身を知れ」などの名言を残して、真理を追究することの必要性を訴えた。
  • プラトンの主な思想は『イデア論』で、ソクラテスが証明できなかった真理をイデアという概念で説明した。そして善のイデアを理解した哲学者の王(哲人王)こそが国家を運営するのにふさわしいとした。
  • アリストテレスの主な思想は『形而上学』で、プラトンの『イデア論』を批判的に受け継ぎ、真理は現実の世界にあるとした。また全ての学問に通じる基礎を固め「万学の祖」とも言われた。

となります。

後半から難しい内容になったかと思いますが、一応これだけ把握しておけばテスト対策はバッチリだと思います。

改めて言うのもなんですが哲学はやっぱり難しいですね。特に古代ギリシャの世界は現代社会と全く違うので、その考えや概念を完全に理解するのは本当に困難でしょう(;^^)

しかし現代社会に生きる我々にとっては人生の教訓ともいえる名言が多くあるのも事実です、勉強すれば知識が深まって尊敬されますよ♪


【こちらの記事もどうぞ!】

民主主義の歴史を解説!古代から現代までどう変わった?




スポンサーリンク