今回のテーマは民主主義の歴史についてです。
現代では日本及びアメリカなど、多くの国では選挙が行われる民主政治になっています。
今でこそ当たり前になった民主主義ではありますが、大昔の政治体制は君主が絶対的に支配していたり封建制度だったりで民主主義など影も形もありませんでした。
しかし民主主義の原点は古代ギリシャ時代からありました!
当時の民主主義は今みたいに選挙で国家の代表者を選ぶという仕組みではなく全市民が参加する正真正銘の民主政治だったそうです。
学校の授業でも習う内容ですが、改めて深く掘り下げていきたいと思います!
スポンサーリンク
民主主義の原点は古代ギリシャ!
現代の先進国の政治制度の根幹にあるのが民主主義です。
日本では行政の長である首相は国会議員の指名で選出されますが、その国会議員は国民の選挙で選出されます。
アメリカでは言わずと知れた大統領制で、4年に1度選挙が行われます。よく誤解されることですがアメリカの大統領制はあくまでその大統領に投票する選挙人に投票する間接選挙です。直接選挙で選出されるのはフランスの大統領です、これも豆知識で知っておきましょう。
その他の国でも選挙制度や議会制度は異なれど基本的に数年に1度の頻度で選挙が行われ、過半数の支持を得た候補者と政党が選出される仕組みです。
このように国民の選挙によって民意の代表者を選出するのは間接民主主義と呼ばれています。
しかし民主主義が生まれた古代ギリシャでは間接民主主義ではなく、国民全員が参加する直接民主制でした。
直接民主制とは、構成員(国民や住民)が直接的に集まって会議や議論をして意思決定を下す形態で、公平性が高い一方多くの意見を聞くために時間がかかり過ぎたり、人が単純に多すぎて物理的な制約を受けると言った問題もあります。
古代ギリシャでは各都市において民会と呼ばれた市民総会が実施されました。そこでは市民の政治的平等性が重視されたため、立法や行政における特権者は呼ばれず、将軍を除く全公職者はくじ引きで選ばれました。
ただし全市民が参加するとは言いつつも、女性や奴隷、在留外人は民会へ参加することはできなかったため完全な直接民主制というわけではありませんでした。
古代ギリシャでは歴史の授業でも習いますが多くの著名な哲学者がいます。
中でも有名なのが紀元前4世紀頃に活躍したプラトンとアリストテレスです。
プラトンは著作『国家』で、民主政治が行き過ぎると国民が自由になりすぎて政治が崩壊して僭主性になると批判しています。
プラトンの弟子であるアリストテレスは著作『政治学』で国家形態は6つに分類されると説き、最も良い多数者支配政治はポリティアと説いて、民衆と貴族の共通の利益を追求するものとしました。
しかしポリティアの体制は民衆がひたすら我欲に走るようになるとデモクラティア(民主政)に陥りやすいと解釈しました。
スポンサーリンク
中世から現代に至るまでの変遷
国民が全員参加する直接民主制は国民の人数が多いと個々の意見が深く反映されにくく、また専門的分野の知識に欠けた人達も多くいるので、不確定で質の低い情報に振り回され衆愚政治に陥りやすいといった問題点もあります。
テレビの討論番組においても、参加者が多すぎると一人一人の発言の時間が短すぎて、揉めることがありますがそれとよく似ています。
こうした問題点を解決するために誕生したのが共和制です。
共和制とは、人民の大部分が国家の統治で最高の意思決定を下せる政治体制のことで、古代ローマ共和国が原点になっており、民主・貴族・君主制の3要素がうまい具合に相互牽制された政治制度でした。
しかしローマ共和国の国土が拡大し続けた結果、共和制による統治は徐々に困難となって後に帝政へと変わりました、これがローマ帝国の誕生となります。
啓蒙思想の発達で市民革命!
中世のヨーロッパでは王権神授説により絶対王政が主流となりました。絶対王政では王が強大な権力を持って中央官僚と常備軍を強化していたため、民主主義など影も形もありませんでした。
ところが王による絶対的な権力も長くは続きません。圧政に苦しんだ市民らの不満は爆発し、王政は次々と崩壊していきます。
- イギリスでは清教徒革命によって王政が崩壊して、一時的ではありますが共和制へと移行
- アメリカでは独立戦争が起きてイギリス植民地から独立して、ブルジョワジー中心の体制が確立
- フランスではフランス革命が起きてナポレオンの活躍もあって、王政が崩壊して共和制へ移行
18~19世紀にかけて欧米の各国で自由と平等を求めて市民が立ち上がって革命が次々と起きましたが、これらの革命運動の根底にあったのが当時広まりつつあった啓蒙思想です。
イギリスのジョン・ロック、フランスのモンテスキューやルソーといった代表的な思想家は学校の社会の授業でも習うと思いますが、彼らの政治思想では人間の自由と平等が強く主張されており、王権の統制が届かないサロンやカフェと言った場所で発達し、市民の間に強く広まっていきました。
特にモンテスキューの著書『法の精神』は三権分立を唱えたことで有名ですが、絶対王政を批判して、均衡と抑制による権力分立制の基礎を築いたとも言えます。
当時の思想では自由主義と民主主義はあくまで対立する概念でした。
自由主義は人間の能力の差や競争を認めていましたが、民主主義はどちら後言えば平等の重要性を訴えていました。
アメリカやイギリスの民主主義では自由主義を、フランスの民主主義では平等主義を重視していました。
この2つの概念は対立しやすいものでしたが、それでも20世紀の半ばまではほどよく共存していたと言えます。
自由を重んじたのが資本主義、平等を重んじたのが社会主義、と言えばわかりやすいでしょう。
しかしこの2つの内で現在世界で主流なのは、言うまでもなく資本主義ですね。
資本主義の世の中で経済は発展し、豊かな人々が増えましたが貧富の格差が広がりつつあります、それを解決するために社会保障政策を広める必要がありますが、こうなりますと国民の税の負担が増えて自由が束縛される恐れが出てきます。詳しくは以下の記事をどうぞ!
大きな政府と小さな政府って何? 日本はどちらに進むべきか?
議会制民主主義から大衆民主主義へ
革命により国民が政治に参加する権利を得たフランスなど各国では、議会による政治が行われるようになりましたが、当時の欧米で発達した議会制民主主義では、女性の参政権がないことや納税金額が一定の水準を満たした国民しか投票できなかった制限選挙でした。
日本の議会政治もドイツを見習ったものでしたので、やはり国民の政治への参加は制限されたものでした。
しかし第2次世界大戦が終わって世界各国で女性の人権などが強く見直されたり、改めて政治制度の公平性がより強く求められるようになると普通選挙制度への移行が世界各国へ普及していきます。
日本の場合は戦後GHQによって占領された影響で、普通選挙に切り替わりました。
普通選挙制度では納税額や性別による差別もなく国民全員が平等に選挙に参加できますが、一方で衆愚政治に陥りやすい側面もあります。
これは古代ギリシャの直接民主政治と共通していますね。
今の世の中マスメディアやSNSによって、全国民が世論調査やアンケートなどで直接政治への意見や不満を言えるようになったのも強く影響しています。
大衆民主主義と呼ばれていますが、アメリカでトランプ大統領が誕生したのはまさにこの典型例だと言えます。国民の不満や感情をうまい具合に煽って支持を集めようとするのはポピュリズムですが、ドイツのヒトラーともやや共通しています。
しかしこれが民主主義の原則です。最終的に過半数の得票数を得られれば代表者になれるので、極端な話万人受けするような人材ならいいわけです。
大衆民主主義も度が過ぎると、こういった負の連鎖は止めようがありません。日本だと政治塾があって優良な国会議員候補を育てているようですが、本当に効果があるんでしょうかwww
自分が投票することになったらしっかりとその候補者については下調べしておきましょう!
まとめ
今回は民主主義の歴史を振り返ってきました、長くなりましたが最後までご覧いただきありがとうございます。
日本でも昨今では右傾化と呼ばれていますが、憲法改正などで国民の世論が分断する大きな転換点を迎えそうな気配です。
日本の場合は国民の投票率が低い水準で民主主義が機能しているのかと疑問視されていますが、しっかり自分の意見を反映させるためにも投票の権利をないがしろにはしてほしくないですね!
こちらの記事もどうぞ!
ナショナリズムの意味や歴史をわかりやすく解説! 愛国心との違いは?
スポンサーリンク