普段のテレビや新聞などで国会中継や内閣の仕事、裁判所について目にする機会は多いです。
また学校の授業でも国会や内閣、裁判所の仕組みなどについて学んだ人は多いでしょう。
しかし改めてみると、日本の政治制度ってやや複雑だなぁと思う点がありますよね。
中でもよくわかり辛いのが三権分立です。
三権分立とは読んで字のごとく3つの権力を分立させた制度と呼ばれていますが、現在日本の政治制度を支える大事な概念となっています。
恐らく学校の授業でもこの三権分立については学んだことはあると思いますが、改めてどういった意味なのか?
そしてなぜ権力を分立させないといけないのか、理由について深く理解していますか?
学校の授業で習ったけどよくわからない小学生や中学生に聞かれた時にも、さっと答えられるように管理人がわかりやすく解説していきます!
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三権分立の意味と理由を解説!
日本の政治制度がなぜ三権分立になっているのか?
その理由について詳しく解説する前に、まずは三権分立とは何か?その意味についてから解説していきます。
少し長くなりますがお付き合いください。
三権分立とは、国家の重要な3つの権力を分立させた制度のことです。
その3つの権力とは、
- 立法権
- 行政権
- 司法権
にあたります。
それぞれ簡単に解説しますと、
- 立法権とは法律を議会で議決し成立させる権利で、日本で言うと国会に当たる
- 行政権とは成立させた法律を執行する権利で、日本で言うと内閣に当たる
- 司法権とはある訴訟について法律に基づき人を裁くことができる権利で、日本で言うと裁判所に当たる
となります。
日本では三権分立は国会・内閣・裁判所の3つの機関を互いに独立させて、それぞれが互いを牽制し抑制しあっているという形になっています。
これをやらずに3つの機関を全て同じ人間、または機関が独占するとどうなるでしょうか?
極端な例ですが、ある総理大臣Aさんが増税をする法律案を制定しようとする時に以下のような感じになってしまうわけです。
- 「○○年後に消費税を上げる法律案を制定します。」
- 「増税した法律案を執行します。」
- 「払えないなら逮捕して裁判にかけます。」
権力を分立させておかないと、このように民意を無視して暴走しかねません。これが三権分立を採用している理由となります。
ただし今の日本でこれがうまく機能しているのかと言えば若干疑問符が湧きます、それについては後半で取り上げますね。
三権分立でもう一つ習う大事な事柄が、この概念を提唱した人物と著書の名前ですね。
三権分立を提唱したのがフランスの哲学者のモンテスキューと呼ばれています。
彼の著書の『法の精神』の中で、立法権と行政権と司法権は3つに分担させるべきだと主張されているのです。
モンテスキューはフランスの思想家ですが、彼が生きていた当時のフランスは絶対王政で多くの民衆が政治に不満を抱いていました。
まさに一人の王が権力を独裁し濫用していたのです。
これが後にフランス革命に繋がって王政が崩壊したわけですが、フランス人権宣言では三権分立の理念を明確にして後世に強く残しています。フランスでは特に左派勢力が強いですが、こうした歴史的背景があるわけです。
三権分立は現在日本のみならずアメリカやヨーロッパ諸国など多くの先進国で採用されています。民主主義の国では必要不可欠な制度と言えます。
また権力の分立に関してはモンテスキューよりも前にイギリスの思想家ロックも唱えていましたが、彼の場合はあくまで議会が最高権力であるとした点で、モンテスキューの権力分立とは異なるものでした。
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具体的にどうやって抑制しているの?
では国会・内閣・裁判所、それぞれの機関が互いにどういった感じで抑制しあっているのか?
まずは以下の図をご覧ください。
難しい言葉が並んでますが、この画像の意味をまとめますと以下のようになります。
- 国会は内閣に対して内閣総理大臣を指名or不信任を要求でき、裁判所に対して不祥事などを起こした裁判官を裁判できる
- 内閣は国会に対して召集を求めたり解散を要求でき、裁判所に対して最高裁判所の長官を指名し裁判官を任命できる
- 裁判所は国会に対して法律が憲法に違反していないかどうかを審査でき、内閣に対しては国民に対して出した命令などが憲法違反ではないか審査できる
これらは全て日本国憲法に記載されていることですが、違憲審査権とか行政裁判所とか国政調査権とか難しい言葉が多すぎてわかり辛い人も多かったでしょう。
敢えて難しい言葉を省いて説明すると上のような感じになりますが、これでもやや難しく聞こえる人もいるでしょう。
要するに互いに何か不祥事や大きく問題のある行為をした時に注意や警告を出して、それでも従わなかったら罰則を与えましょうという感じで捉えてもらったらいいと思います。
日本の三権分立は機能しているのか?
これまで三権分立の意味と理由、仕組みについて日本の政治を例に解説してきました。
しかしここで「あれっ?」て思う人もいるでしょう。
それは、内閣総理大臣の指名についてです。
日本の政治で最も偉い人と言えばご存知内閣総理大臣ですが、その内閣総理大臣は国会議員の中から指名されることになっています。
この事実は日本国憲法にも記載されていますが、この時点で権力の分立がうまくいっているのか?と疑問符を打たざるを得ません。
なぜなら国会と内閣は互いに独立して互いを抑制しないといけないのに、肝心の内閣総理大臣が国会議員の中から指名されるからです。
さらに内閣総理大臣だけではなく、その内閣を構成する大臣なども半分以上は国会議員の中から選ばれます。
今の日本の政治で例えると、最大与党の自民党の議員の中から多数が選ばれるわけです。
こうなるともはや内閣と国会は独立しているとは言えず、事実上内閣も国会をコントロールできるようなものです。
しかしここでもう一つ大事な制度として議院内閣制が出てきます。
議院内閣制とは、簡単に言えば議会と内閣が見かけ上は分立しているものの、内閣は議会の信任によって成立し、議会に対して責任を負うという制度のことです。
この議院内閣制を採用していることから、内閣総理大臣と内閣を構成する大臣は国会議員の中から選出されなければいけないことになっているわけです。
つまり日本の三権分立は議院内閣制を採用していることから事実上機能していないという見方もできちゃうのです!
このことは裁判所に対しても同じことが言えます。
裁判所で最も権威が高い機関は最高裁判所ですが、その最高裁判所の裁判官も内閣が指名することになっています。
内閣=国会議員ですから、やはりここでもほぼ機能していませんね。
本来なら独立した機関であるので、内閣が指名するなんてもっての他です。一応最終的に天皇が任命すると憲法には記載されていますが、天皇が拒否するなんていう事態はまず起こりえません。
このような実態があるために日本の政治は特に行政(要するに官僚)の権限が非常に強くなっていると言われ、海外からも批判されています。
もちろん日本の場合最終的に国会議員は選挙で選ばれるわけですから、自民党が選挙で負けますと総理大臣も変わります。
ただ逆に言えば選挙で過半数の議席を確保してしまえばそれは独裁をほぼ許してしまうことも意味します。
かつて日本の政治は官僚が幅を利かせすぎていると批判して大勝利した政党が10年程前にいましたが、結局その政党も自民党と同じような官僚政治になってしまいましたwww
まとめ
今回は三権分立を採用している理由を小学生にもわかるように解説してきました。
改めてまとめさせていただきますと、
- 三権分立の三権とは立法権、行政権、司法権の3つ
- 三権分立を採用している理由は互いの機関を監視し抑制することで、国民の権利と自由を保障するため
- 日本の政治制度は議院内閣制も採用しているため、機能しているとは言い難い
となります。
凄くざっくばらんに解説しましたが、概ねこんな感じの解説で理解できれば幸いです!
また日本の三権分立は機能していないと述べていますが、近年ではマスメディア(テレビやネット)も政治を監視する第4の権力として台頭してきています。
日本と言う国をもっとよくするためには、政治をより良いものへとする努力が必要で監視することは確かに大切ですが、それ以上に国民一人一人がもっと政治に関心を高めることも大切でしょう!
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