筆者は趣味でクラシックを聴くことが多いのですが、クラシックと言えどもいろんな名曲がありますね。

西洋音楽史を振り返ってみますと、古い時代からバロック・古典派・ロマン派というのは音楽の授業でも習いますが、その中で一番古いバロック時代の屈指の名曲とされるのが巨匠アントニオ・ヴィヴァルディの『四季』よりです。

恐らく誰もが一度は聴いたことがあるメロディーですね、特に学校の掃除の時間で流れる定番の曲でもあります。

春は春でも特に有名なメロディーが第1楽章です。その第1楽章は8行のソネット(詩のようなもの)で構成されていて、春の情景を描写しているのが特徴です。

今回はこのヴィヴァルディの春について、曲の構成や詩の意味、ヴィヴァルディが力を入れた部分などについて詳しく解説していきます、興味のある方はぜひご覧ください!




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ヴィヴァルディの四季ってどんな曲集?

アントニオ・ヴィヴァルディはバロック時代後期を代表する音楽家ですが、彼の代表曲として有名なのが今回紹介する『四季』です。

この曲集は1725年に発表された12曲からなる『和声と創意の試み』という12の曲の中の最初の4曲を指しています。

文字通り春・夏・秋・冬の4つの季節がテーマになっている曲集ですが、それぞれの季節で3つの楽章となっているので合計で12楽章あります。

また初版の楽譜の冒頭にはそれぞれ季節の情景を描いた4つのソネット(14行詩)が付いているので、曲を聴きながらそれぞれどういった描写になっているのか想像しやすくなっています。

【ヴィヴァルディについてもっと詳しく!】

イタリアのヴェネツィア出身の作曲家です、1678~1741年までの生涯で500を超える協奏曲と、52のオペラ、73のソナタなど手掛けた作品は多岐にわたります。

ヴェネツィアで活躍し、とりわけピエタ養育院のヴァイオリン教師としての活動が有名でした。聖職者でもあり、その見た目から赤毛の司祭というあだ名もありました。

彼の影響を強く受けた作曲家で有名なのが、後に”音楽の父“としてバッハです。この2人抜きにしてバロック時代の音楽は語れません。

『四季』の全体構成を簡潔に!

四季

『四季』とは春・夏・秋・冬の4つの季節をそれぞれ3つの楽章で構成した曲集ですが、それぞれの季節の内容を描写したソネットを要約しますと以下のような感じになります。

    • 第1楽章:急
    • 小鳥たちが挨拶する

    • 第2楽章:緩
    • 羊飼いがまどろむ

    • 第3楽章:急
    • ニンフと羊飼いが踊る

    • 第1楽章:急
    • 夏の暑さで人も動物も疲れ切っている

    • 第2楽章:緩
    • 雷鳴やハエの群れでざわつく

    • 第3楽章:急
    • 夏の激しい嵐が訪れる

    • 第1楽章:急
    • 村人たちが収穫を祝う

    • 第2楽章:緩
    • 穏やかな空気が人々を眠りに誘う

    • 第3楽章:急
    • 狩人たちが狩りに出かける

    • 第1楽章:急
    • 吹き付ける風に震える

    • 第2楽章:緩
    • 家の中で暖炉の前で居座る

    • 第3楽章:急
    • 氷の上を走って転ぶ、風が吹き荒れる




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春のソネットをもう少し詳しく!

春のソネット

春のソネットは14行から構成されていますが、この内第1楽章の部分で8行分のソネットが使われています。

約3分と言う長さの第1楽章ですが、実は皆さんが一番耳にしたことのあるのがこの第1楽章の部分です。

 
第1楽章のソネットの最大の特徴は、2行ずつの詩で4つに分けると、起承転結をなしているということにあります。起承転結は文章を構成するうえで基本となる型ではありますが、春の第1楽章のソネットを順番に見てみますと、まさにその通りな形だとわかります。

【『春』第1楽章のソネット】

  1. 春がやってきた
  2. 小鳥たちが陽気な歌で春に挨拶する
  3. 西風の息吹に泉は
  4. 優しく囁きながら溢れ流れる
  5. 大気を黒いマントで覆いつつ稲妻と雷鳴が選ばれて
  6. 春の訪れを告げにやってくる
  7. 嵐が静まると小鳥たちは
  8. うっとりするような歌を再び奏で始める

 
まず第1~2行の部分はで、春の訪れを喜んで小鳥たちが陽気に歌っている様子を描写しています。誰もが聴いたことのある冒頭のウキウキした楽しげなメロディの部分ですが、まさにイメージ通りの描写と言うわけです。

続く第3~4行の部分はで、泉から溢れ流れる水の流れを表しています。ここまでは典型的な春のイメージと言っていいでしょう。

そして第5~6行はとなっていて、ここから曲調が一気に変化します。おどろおどろしい雰囲気が湧いてきますが、ソネット通りに解釈しますとちょうど稲妻と雷鳴が激しく襲っているところです。

最後の第7~8行はとなっていて、嵐が過ぎ去り、再び小鳥たちが春を謳歌して歌い始めます。

 
こうしてみますと、確かに詩と音楽の内容が一致していることがはっきりわかると思います。春の訪れ、春の嵐が頭の中でイメージしやすくなるようなメロディの流れになっているとは感服しますね。

 

情景描写を支えるリトルネッロ形式とは?

ヴィヴァルディの『四季』にはある形式パターンで構成されていますが、それがリトルネッロ形式と呼ばれるパターンです。

これはわかりやすく言えば多段重ねしたサンドイッチとなります。サンドイッチはご存知パンと具が交互に積み重なっていますよね。

それを曲のパターンに当てはめたのがリトルネッロ形式となります。パンに当たる部分をリトルネッロ部(R)、具に当たる部分をエピソード部(E)となっていて、これが交互に繰り返されるのが特徴です。

 
このことを理解した上でもう一度ヴィヴァルディの春をお聴きください。

改めて聴けば、冒頭部分に流れたメロディがその後も定期的に流れているのがわかります。これがリトルネッロ部、すなわち主題メロディです。リトルネッロ部は常にオーケストラで、かつ強音のフォルテとなっているので聞き取りやすいのが特徴です。

 
一方で具材に当たるエピソード部は同じメロディが登場することはなく、常に異なるメロディとなっています。またヴィヴァルディの春では通常独奏でまかせるエピソード部もオーケストラに担当させています。

これによって泉の湧く弱音のサワサワという感じの音や、嵐の訪れ、雷鳴の轟きといった場面が誰でも簡単に聞き取りやすくなったと言えます。

ヴィヴァルディの秀才ぶり、こだわりが非常に強くにじみ出ていますね。

 

まとめ

ヴィヴァルディの代表曲『四季』より春の紹介でした。

学校の音楽の授業でも習うことになると思いますが、こうして改めて曲について解説していきますと、起承転結だったりリトルネッロ形式といった構成だったり、この曲は本当に深く考えさせられる部分が多いですね♪

因みにこのブログを書いていた時にも外では雷がゴロゴロ鳴っていました。春の嵐ならぬ梅雨の嵐ですが、頭の中ではヴィヴァルディの春が流れてきましたよ(;’∀’)

 

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