『アルプス一万尺』と言う童謡をご存知でしょうか?
小学校の音楽の授業で学んだ人もいると思いますが、実はこの歌はアメリカの独立戦争時に歌われた愛国歌が原曲となっているそうです。
その原曲とアルプス一万尺の歌詞についても紹介していきます。
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原曲はアメリカ独立戦争の歌?
アルプス一万尺はアメリカ合衆国の民謡『ヤンキードゥードゥル(Yankee Doodle)』が原曲となっています。
ヤンキードゥードゥルとは独立戦争時に兵士たちによって歌われた愛国歌で、現在ではコネチカット州の州歌に採用されています。
独立戦争とは1775年4月19日から1783年9月3日までに起きたイギリス本国とアメリカ東部沿岸地域のイギリス領の植民地との間で起きた戦争のことです。
この独立戦争の最中にアメリカは独立宣言を発して独立を果たしました。
“Yankee”とはアメリカの軍隊を指していて、”Doodle”とは「まぬけ」を意味しています。
すなわち”Yankee Doodle”で「まぬけなアメリカ軍」ということになって元々はイギリス軍がアメリカの軍隊を侮辱するために歌ったというのがこの歌の起源とされています。
しかしアメリカ軍を侮辱するつもりだったのが、現地の住民の反応が予想に反して好評だったために、独立戦争が始まるや否や歌詞を正反対の内容にした替え歌がアメリカ軍の間で愛用されて、いつの間にか独立戦争のアメリカの愛国歌として親しまれるようになります。
その中には当時の総司令官でかつ初代大統領のジョージ・ワシントンをこき下ろすような内容もあったそうです。
そのヤンキードゥードゥルの歌詞(和訳付き)と動画を下に載せておきます。
Yankee Doodle went to town,
間抜けなヤンキー達がa-riding on a pony;
子馬に乗って町へ行ったStuck a feather in his cap
帽子に羽根を一本さすだけでand called it macaroni.
イタリア仕込みの洒落男気取り[ Chorus ]
Yankee Doodle Keep it up,
ヤンキードゥードゥル その調子Yankee doodle dandy.
ヤンキードゥードゥル イカしてるねMind the music and the step.
音楽にあわせてステップ踏めればAnd with the girls be handy!
女の子たちだってイチコロだ!※Wikipediaより
日本にこの歌が伝わったのはいつ? 歌詞は?
ヤンキードゥードゥルが日本に伝わったのは、江戸時代にペリーの黒船が来航した時だと言われています。
1853年7月14日、アメリカ大統領からの親書を持った海兵隊らが久里浜に上陸した際に、音楽隊がこの民謡歌を上陸用の行進曲として演奏しました。
100年以上たった今でも愛用されていて、一部の高校では、野球の時に応援歌として使用したり、さらにイチローがオリックスに在籍していた時にも使用されていたそうです。
さて童謡「アルプス一万尺」というのはこのヤンキードゥードゥルのメロディーだけを引用して、後付けで登山に関する歌詞をつけた曲となっています。作詞者は不明だということです。
日本でこの歌が最初に紹介されたのが、1962年8月に放送されたNHKの『みんなのうた』という番組で、歌ったのは東京少年少女合唱隊です。
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アルプスは日本アルプスだった?
アルプス一万尺は29番も歌詞がありますが、長すぎるので今回は最も良く知られているであろう1番の歌詞だけ紹介します。
「アルプス一万尺 小槍の上で アルペン踊りを さぁ 踊りましょ コーラス」
コーラス部分は「ランラランラン」といった感じでスキャットします。
さて冒頭に出てくるアルプスですが、日本の童謡なのになぜアルプス?
と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
実はこのアルプスとは、ヨーロッパにあるアルプス山脈のことではなく、本州の中部地方にある、飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈の3つの山脈のことを指します。
学校の地理の授業で学習した方もいると思いますが、通称これらの山脈は”日本の屋根”とも言われていて最高峰の3193mの高さを誇る北岳を始めとして、3000m級の山々がズラリと並びます。
1万尺というのは、3030mのことで日本アルプスの高さを表しています。
そして”小槍”というのは、日本アルプスの中にある槍ヶ岳の山頂付近にある岩場のことを指します。
歌詞ではこの小槍の上でアルペン踊りを踊ろうと言っていますが、実際には槍ヶ岳というのは、ロッククライミングの技術がないと登れない山とされています。
そんな危険な山の頂上でダンスなんか踊れるわけありませんので、この歌は半ばコミックソングとしての性格が強いと言えます。
以上アルプス一万尺に関しての説明でした!
アメリカの独立戦争時に歌われた愛国歌が日本の児童たちの歌に使われるようになるとは、アメリカ人からしたらちょっと複雑な気持ちになるかもしれません。
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