日本は毎年秋の時期になると、台風が接近したり上陸したりしますね。

そのたびに公共交通機関が乱れたり、止まったりして多くの人達を悩ませます。

その台風ですが、天気予報などを見てみると、名前に「10号」とか「15号」とか番号が振られていますよね。

この番号の付け方のルールって一体なんでしょうか?


さらに海外でも台風は発生するのですが、日本とはまるで名称が違います。

特にアメリカでは台風ではなくハリケーンと呼ぶのですが、そのハリケーンの名前の付け方は日本と全然違っていたのです!


またもっと詳しく調べたら、実は台風には国際名称が付けられているのです。

今回は日本の台風の名前の付け方のルールについて、アメリカとの違いも含めて詳しく掘り下げていきます!




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日本の台風の名前の付け方は?

それではまずは日本での台風の名前の付け方について説明します。

日本の台風はニュース番組などでも天気図で見れますが、だいたい「10号」とか「15号」など、数字が付いていますね。

この数字の意味を一言で説明しますと、


その年で発生した順番


となります。


日本では台風が発生した順番で、番号を付けるので『番号方式』です。ある意味そのままですね。

その年で一番最初に発生した台風なら1号、2番目なら2号…といった感じで決まります。

少年

発生した番号順だったのか。強さとか大きさが関係してくる数字だと勘違いしてた。

毎年早ければ春先頃に台風1号が発生し、8月に発生がピークを迎え、10月に20号以上となるケースがほとんどです。

史上最速で1号が発生するタイミングは1月1日になりますが、1951年以降の観測では2019年の一回だけです。

因みに台風はしばらく経過すると勢力が衰えて熱帯低気圧に変わります。(台風の定義は、中心付近の最大風速が17.2m/s以上の熱帯低気圧のこと)

普通ならそのまま普通の熱帯低気圧として北上して去っていくのですが、稀に再び発達して台風に戻る場合もあります。

同じ台風が、熱帯低気圧から再発達してまた台風に戻っても、同じ番号のままです。


風速の強さや大きさで表現が変わる?

天気予報の台風情報では、台風○○号の前に、「大型で非常に強い」台風とか「超大型の」台風などと言われます。

これらの表現は、「台風がどのくらい強くて大きいか」を表した言葉です。

具体的には

  1. その台風の中心付近の最大風速
    • 強い:33m/s~44m/s
    • 非常に強い:45m/s~54m/s
    • 猛烈な:55m/s~
  2. その台風の強風域の半径の大きさ
    • 大型(大きい):500km~800km
    • 超大型(非常に大きい):800km~

の2つを表していることになっています。

特別な命名をされる台風とは?

日本の台風はその年で発生した順番に番号をつける方式ですが、これでは過去の台風を見た時に「何年の、どの台風かわからない」という問題も起きます。

特に大規模災害や激甚災害に指定された台風などに関しては、特別に上陸か通過した年と地点の名前を付けて呼ぶようにしています。

「気象庁命名台風」と呼んでいますが、1954年から1977年までの25年間で計8個の台風に名前が付けられています。

  • 1954年9月26日に上陸した台風15号:洞爺丸台風
  • 1958年9月27日に上陸した台風22号:狩野川台風
  • 1959年9月27日に通過した台風14号:宮古島台風
  • 1959年9月26日に上陸した台風15号:伊勢湾台風
  • 1961年9月16日に上陸した台風18号:第2室戸台風
  • 1966年9月5日に通過した台風18号:第2宮古島台風
  • 1968年9月23日に上陸した台風16号:第3宮古島台風
  • 1977年9月9日に通過した台風9号:沖永良部台風

※この内第2宮古島台風は、過去最高となる最大瞬間風速85.3m/sを観測しました。




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アメリカの命名は人名から?

アメリカでは台風のことを「ハリケーン」と呼びますが、日本と同じように名前を付けます。

厳密に言いますと、ハリケーンの定義は最大風速が33m毎秒以上に発達したもので、台風の約2倍の強さです。

アメリカで台風と同等の勢力となる熱帯低気圧は、英語でTropical Storm(トロピカルストーム)と呼びます。

金髪の若者

他にも地域によっては、タイフーンサイクロンと呼んだりするよ!

しかしその名前の付け方は日本とは全然違っていて、番号ではなく人の名前となるのです。

ここ最近の例では、2019年9月に西インド諸島のバハマに上陸し、甚大な被害をもたらしたハリケーンが“ドリアン”と呼ばれています。

また2017年9月にドミニカ国とプエルトリコを襲った、超大型ハリケーンは“マリア”と呼ばれています。


因みに日本でも終戦直後のアメリカ軍による占領下では、台風もハリケーンと同じで人の名前で呼ばれていました。

今みたいに番号形式で呼ばれるようになったのは、サンフランシスコ講和条約発効後の1953年からです。

台風からハリケーンに変わることも?

ここまで日本とアメリカの台風の名前の付け方の違いについて述べてきました。

日本では番号リスト、アメリカでは人名というルールでしたね。


しかし台風やハリケーンは人の移動と違って、空を移動します。

空を移動するということは国境などで遮られることもないので、台風やハリケーンが越境することも十分起こりえるのです。


ここで台風とハリケーンの地域の違いを一言で説明しますと、

  • 台風:北西太平洋
  • ハリケーン:大西洋と太平洋北東部と太平洋北中部

となります。

つまり北西太平洋で発達した台風が東へ移動し太平洋北東部、すなわち北アメリカ大陸まで接近するとハリケーンとなり、太平洋北東部で発達したハリケーンが西へ移動し太平洋北西部まで接近すると台風となります。

1.ハリケーンが越境する場合

ここで注意しないといけないのが、台風からハリケーンに変わる時です。

台風の定義が最大風速17.2m/s、ハリケーンの最大風速が33m/sなので、台風が越境してもそのままハリケーンになるとは限らず、その一つ手前のトロピカルストームになることが多いです。

2.台風が越境する場合

名前に関しては、ハリケーンが北西太平洋に越境するとそのまま台風となって、その台風に新しい番号が付与されます。

過去に実際に起きた例を紹介しますと、平成9年に日本に上陸した台風19号がそれに該当します。

この台風は記録に残る限り、日本に上陸した唯一のハリケーンとなっています。因みにハリケーンの名前でOliwa(オリーバ)と付けられました。

国際名称について

日本ではあまり馴染みがありませんが、実は台風には国際名称というものが定められていたのです!

2000年から東アジアと東南アジア、そしてアメリカなど14カ国によって、それまでの英語名に代わった『アジア名』を用いることが決定されました。実は国際的には広く使用されていて、日本みたいに番号では呼ばれたりしません。

その名前リストは全部で140個、14カ国なのでそれぞれの国が10ずつ名前を付けています。その内日本は以下の順番で星座の名称をもとに付けています。

  • 5番目:コイヌ(こいぬ座から)
  • 19番目:ヤギ(やぎ座から)
  • 33番目:ウサギ(うさぎ座から)
  • 47番目:カジキ(かじき座から)
  • 61番目:カンムリ(かんむり座から)
  • 75番目:クジラ(くじら座から)
  • 89番目:コグマ(こぐま座から)
  • 103番目:コンパス(コンパス座から)
  • 117番目:トカゲ(とかげ座から)
  • 131番目:ヤマネコ(やまねこ座から)

星座の名前を使用したのは、台風の影響を大きく受ける船がその昔、星座を見て航行していたことに由来しています。

言われてみれば確かに納得しますが、それにしてもコンパスだなんていう名前もあるから驚きです(;^^


日本以外の各国もいろいろな名称が付与されているのが、また興味深いところです。

ある国は少女の名前を用いたり、またある国は淡水魚の名前を付けたり、別の国は果物の名前を使ったりしています。

やはりハリケーンと同じで人の名前を参考にしている国も多いですね。

※フィリピンではアジア名よりもフィリピン独自の名称が一般的に使われています。

国際名称は変わることもある?

台風の年間の平均発生数は26個、国際名称が全部で140なので、約5年半の周期で1巡する形になります。

アジア名は繰り返し使うことを原則としていますが、大規模な災害をもたらした台風と同じ名前は今後使わないというルールがあります。


これはアメリカのハリケーンの命名にも使われているルールを、そのまま引き継いだ形になります。

あまりにも大きな影響を与えた台風は、将来にわたって規模の比較などする際に、同じ名称だと混同してしまうので、それを避けるのが目的です。

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それだったら、日本の台風と同じで名前の前に年号などを付ければいいのに。

他にも台風の名前は

  • 発音が他地域の言語の下品な言葉と同じで、誤解を生む恐れがある
  • 宗教上の問題で使用できない
  • ハリケーンの名称と一致する

などといった理由でも変更されます。



台風の国際名称の変更は、毎年台風の発生していない1~3月の台風委員会で決まります。

因みに日本が付けたアジア名はこれまでで89番目のコグマが1回、131番目のヤマネコが2回変更されています。

まとめ

今回は台風の名前のルールについての紹介でした。それでは今回の内容を改めてまとめます。

  • 日本の台風は発生した順番に番号を付与する
  • 過去に甚大な被害をもたらした台風は、気象庁によって特別に名称が付けられる
  • アメリカのハリケーンは人の名前を付与する
  • 台風が越境してハリケーンに、ハリケーンが越境して台風に変わることもある
  • 日本とアメリカなどの14か国で台風にアジア名が決められている



こうしてみると、日本の番号リスト方式はかなり特殊なんだと思わされますね。

台風やハリケーンは昔から人類の大きな悩みの種ですが、愛称をつけることで少しでも悪魔のようなイメージを払拭したかったのかもしれません。

そういえば台風ってどうして左回りの渦を巻いて北上するのか、皆さん気になりませんか?それについては以下の記事で詳しく解説していますので、興味があればぜひご覧ください!

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