オセアニアの中でオーストラリアに次ぐ経済大国と言えばニュージーランドですね。

特にスポーツではラグビーが強いことで有名です。

2019年のワールドカップでも最大の強豪国として立ちはだかりそうです、果たして優勝できるでしょうか?

そんなニュージーランドは日本人にとっては馴染みが薄く、正直どんな国だろうと疑問に思っている人は多いでしょう。

日本と共通している所で言えば島国であるということですが、政治制度も若干似ているところがあります。

ということで今回はニュージーランドの政治体制を、日本との違いも含めてわかりやすく解説していきます!




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ニュージーランドの政治体制は?

ニュージーランドの政治を一言で解説するなら、行政府の長が首相で、君主を国家元首とした立憲君主制です。

ただしこの立憲君主制ですが、ニュージーランドの場合は少し複雑です。

と言いますのも実はニュージーランドには王室がないのです!


日本では皇室があって、君主は天皇となります。

そして首相は天皇に任命される、これが日本の立憲君主制です。

ですがニュージーランドの場合、首相を任命するのは形式上は君主ですが、実質的には君主を代行する総督という人です。

正式にはニュージーランド総督と呼ばれる人ですが、この総督が国王の職務を代行する形で首相を任命します。

では肝心かなめの君主は誰なの?ということですが、これはニュージーランドの国王ではなく、なんと別の国の王です。


その国とはイギリスです。

実はニュージーランドは、イギリスを中心とした英連邦王国の一国なのです。

この英連邦王国は他にも、カナダやオーストラリアがありますが、いずれの国もかつてはイギリスの植民地支配を受けていた地域です。

ということなので、ニュージーランドの君主はイギリスの君主、すなわちエリザベス女王ということになります!

ただしいずれの国でも「君臨すれども統治せず」の原則があるので、国王の任命自体が既に形式的な行為に過ぎず、その職務は総督に委ねられていることになっています。

ニュージーランド総督の役割は?

ニュージーランド総督はイギリス国王に任命される役職で首相を任命する職務や、議会の解散権、首相の解任権も有するので事実上の国家元首となります。

とはいっても首相と内閣府が実質的な行政権を持ち、立法権も議会が有するので、総督が政治に関与することはほぼありません。

また首相を解任すると言っても、実は総督を指名するのはニュージーランドの首相となっています。自分を指名する首相を任命するだなんて、ちょっと複雑な形態ですね(;^^)

選挙制度について解説!

ニュージーランドの国会にあたる機関は代議院と呼ばれていますが、この代議院は日本と違って一院のみで構成されます。

即ちニュージーランドは一院制となります。この代議院の定数は120人で、任期は3年です。

選挙制度は小選挙区比例代表併用制で、これは日本で採用されている小選挙区比例代表並立制と同じように聞こえますが、決定的に違うのは

  • 併用制では比例代表の結果で全体の議席数を割り当てる
  • 並立制では小選挙区と比例代表で議席を別々に割り当てる

ということです。


またニュージーランドの政治の特徴として次に注目すべきは、二大政党制になっていることです。

現在政権を担っているのはジャシンダ・アーダーン首相で、ニュージーランド労働党の党首でもあります。

37歳という若さで首相になりましたが、ニュージーランドは後述するように女性政治家の台頭が珍しくありません。

その前の政権を担っていたのが、ニュージーランド国民党のビル・イングリッシュ党首で、ニュージーランドは1930年からこの2つの政党の党首がずっと入れ替わりで政権を担ってきました。

※2つの政党の思想は、労働党が左派・リベラル・反核路線で、国民党が右派・保守・親米路線となっています。政権交代の流れはオーストラリアの保守連合と労働党のパターンによく似ています。

何せ一院制で議員の任期も3年ですから、その気になれば頻繁に政権交代します。

どんなに人気がない政権でも2期6年は続くようですが、どれだけ長くても3期9年で政権は変わります。

ニュージーランドの政局の流れは?

二大政党ということでありますが、この流れには近年変化が訪れてきました。

ニュージーランドの代議院の定数は120、過半数は61なのでこれ以上の議席を確保しないと政権与党になりません。


しかし2018年現在ニュージーランドの政権を担う労働党の議席数は46で過半数に届いてません。それどころか前回の選挙では、野党第一党の国民党の56議席すら下回る形となりました。

となるとどこかの政党と連立を組まないと政権運営ができないわけです。

そこで登場したのがニュージーランド・ファースト党(NZF)です。

日本でいうところの第三極的な立場にあたります。

「○○ファースト」と聞くとトランプ大統領の「アメリカファースト」や小池知事の「都民ファースト」が思い浮かびますが、この政党は1993年と今から20年以上も前に結成されました。

つまり元祖ファーストなのです!


名前にファースト(第一)とつくだけあって、強固な保守主義を主張、移民反対やマオリ族出身者の地位向上などのポピュリズム的な政策を掲げています。

この政党が2017年に過半数が獲得できなかった労働党と連立を組むこととなったわけです。

また労働党と同じく左派よりな緑の党も合流してようやく代議院の過半数の議席に届いて、現在は労働党・NZF・緑の党の3つの党の連立政権になっています。

しかし労働党と緑の党はともかく、思想や政策が異なるNZFが絡んできて正常な政策運営ができるかは怪しい所ですね。

※この他にもニュージーランドの先住民であるマオリ族の権利の保護を主張してきたマオリ党もありましたが、2017年の選挙で議席を失いました。




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女性の政治参加率が高い!

大きなニュースと言えば、先日ニュージーランドの女性首相が産休になったことですね。

日本ではそもそも女性が総理大臣になることすら厳しいことです。

しかしこの産休は受け入れられて、その間は副首相が首相代行を務めました。多分日本だと批判されるでしょう。


またニュージーランドの歴代首相の顔ぶれを見てみると1997年に初の女性首相が誕生して、1999年にも2人目、さらに現職のアーダーン首相で3人目となります。

さらに2005年には女性が議会議長に初任命され、首席判事も女性で2006年8月までの間は三権の長と国家元首が全員女性だったのです!

女性が政権の主要ポストにこれほど就くのはなんとも異例なことですが、これはひとえにニュージーランドが1893年に世界で初めて女性参政権を実現させたことが関係しています。

1893年というと日本では明治時代で、普通選挙すら実現されていませんでした。

ニュージーランドは政治制度においては、早くから女性の権利の保護が手厚くされていたのですね。

政治家のメディア出演は多い

他にも政治家のメディア露出が比較的多めなことも特徴です。

日本では総理大臣がメディア出演することはほぼありません、普通の国会議員や閣僚ですら滅多にないです。


対してニュージーランドの政治家は堂々とメディアに出演することが多いようです、首相が朝のニュース番組に出演することは珍しくないようです。

有権者がその政治家を本当に信頼するには、日頃の言動や態度をしっかり把握することが大事です。

しかし選挙の時だけ公の前に姿を現すだけでは物足りないですよね。

少しでも信頼されるには多少批判されても堂々とメディアに出演して、政治家としてでなく一人の人間としての尺度として見られるべき、ということが何よりも大事なのではないでしょうか?

同じ島国である日本も少しは見習うべき所だと思います。

まとめ

今回はニュージーランドの政治体制について、日本との違いも含めて詳しく解説してきました。参考になりましたら幸いです!

特に女性の政治家の台頭という意味では、日本は見習うべき点が多いですね。

最近でこそ東京都知事に女性が初就任しましたが、今でも女性政治家の数は少ないですし、女性総理自体が誕生する見込みが低いです。


ただ世界に目を向ければ女性政治家は珍しくなくなってきました。

特にニュージーランドの女性首相はかなり若いですね、今後どれだけ長く政権を担えるか注目したいところですね!


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