アジアカップと言えばアジア全域の国が参加するサッカーの国際大会ですね。

過去に日本も優勝したことのある大会で、次に開催されるのは2019年です。

ワールドカップでベスト16を果たした西野ジャパンですが、次のアジアカップでどれだけの好成績を残せるか注目したいところです。


しかしアジアカップに出場する国の一覧を見てみると明らかにアジアとは関係のない国名が混じっていますね?

それがオーストラリアです。

オーストラリアは2015年大会で優勝した強豪国ですが、そもそも

なぜオーストリアがアジアカップに出場しているの?

と疑問に思っちゃいますよね

さらにFIFAワールドカップの予選もオーストラリアはアジア枠として参加しています。

学校の地理の授業でも習うことですが、オーストラリアはオセアニアという地域に所属する国なのでオセアニア枠として出場するのが理にかなっていますが、なぜサッカーの国際試合ではアジア枠になるのでしょうか?

その理由について探るとオセアニアならではのサッカー事情が大いに関係していました、詳しく解説していきます!




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オーストラリアがアジア枠になった理由は?

アジアカップは正式名称はAFCアジアカップといいまして、アジアサッカー連盟(AFC)が主催の大陸選手権大会です。

文字通りアジアの国と地域しか参加できない大会ですが、以下のページで参加国のラインナップを見てみると、立派にオーストラリアの名前が入っています。
AFCアジアカップ2019

実はオーストラリアは昔はオセアニアサッカー連盟(以下OFC)に所属していて、国際大会も2004年まではOFCネイションズカップに参加していました。

その翌年にオーストラリアはOFCを脱退し、2016年1月からFIFAの承認を受けてAFCに入会することになりました。


なぜオーストラリアがOFCを脱退することになったのか?

その理由・経緯については主に以下の2つが考えられます。

  1. オーストラリアはオセアニア枠だと他国との実力差がありすぎるから
  2. オセアニアのFIFA本大会への出場枠が0.5枠だから

それぞれ詳しく見ていきましょう!

オーストラリアはオセアニア一の実力国!

言うまでもないかもしれませんが、サッカーファンであればオーストラリアは日本とほぼ互角な実力を誇るサッカー強国と言えます。

実際アジアカップでも2015年には優勝していますし、過去に何度も日本と対戦して苦戦を強いられてきました。

また代表メンバーの中にはヨーロッパクラブに所属する選手も多くいます。


最新のオーストラリアのFIFAランキングを見てもオーストラリアは他のOFC加盟国と大差をつけているのがわかります。

  • オーストラリア:26位
  • ニュージーランド:120位
  • クック諸島:192位
  • サモア:197位
  • アメリカ領サモア:192位
  • ソロモン諸島:143位
  • タヒチ:157位
  • トンガ:206位
  • ニューカレドニア:154位
  • バヌアツ:162位
  • パプアニューギニア:166位
  • フィジー:165位

※2018年6月時点

御覧のようにオーストラリアは20位台と大健闘していますが、その次にFIFAランキングが高いのはニュージーランドの117位とかなり差が開いていますね。

それ以外の国々に至っては140位以下ばかりです。

国や地域の数も少ない上に人口もそれほど多くないので、サッカーレベルも他大陸に比べて劣っているのがランキングでも改めて顕著に表れています。

オーストラリア>>>越えられない壁>>>ニュージーランド>その他の国・地域

といった感じでしょうか(;^^)


この実力差が最も顕著に表れた試合が2002年FIFAワールドカップ・オセアニア予選で行われたオーストラリアとアメリカ領サモアとの試合です。

この試合を前にしてオーストラリアのFIFAランキングは75位、アメリカ領サモアのランキングは当時最下位の203位でしたが、前評判通りオーストラリアの圧勝という形で終わりました。


そのスコアはなんと31-0

圧勝は圧勝でも、30点以上も記録してしまう試合はさすがにひどいですね、野球でも見られないスコアですよwww

あまりにも実力差が開きすぎている故にこうした不均衡な試合は避けるべきだとして、それ以降オセアニア予選では予備予選が導入されることになりました。

※またFIFA以外の国際試合で見ると、2015年に46-0というスコアが記録されています。

この試合もバヌアツ代表とミクロネシア連邦代表で、やはりオセアニア地区でした。



実力差が大きく開いている国同士の対戦では意味がない!

という疑問視や反論がこの試合の結果大きくなりました。

アメリカ領サモア戦で13得点を挙げて国際Aマッチ1試合最多得点記録を更新したオーストラリア代表のアーチー・トンプソン選手も「こうした試合は行うべきじゃない!」と発言しています。


そして2005年、ロビー活動の甲斐もあって、オーストラリアがOFCを脱退し、より競技レベルと人口が高いAFCに加盟することに繋がったわけです。

よりレベルの高い大陸間連盟に所属してオーストラリア代表の底力を上げるという意味合いもありますが、それ以上にマーケティングや経済面でより収益面が見込めることも理由にあります。


※ただし当初は同じくOFCの強豪でもあるニュージーランドもOFCを脱退する申請を出していましたが、この2か国が両方とも脱退すると、それこそOFCのレベルがさらに低下する恐れがあったので ニュージーランドは引き続きOFCに所属することになりました。




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オセアニアのFIFA本大会への出場枠が0.5枠だから

これについてはオセアニアがFIFA本大会でかなり不遇に扱われているのが大きいでしょう。

前述したようにオセアニアは他大陸連盟と比べて競技人口も少ないことから、サッカーレベルが劣っているとみなされています。

その上に加盟している国や地域の数も少ないから、毎大会出場枠が1未満になっているのです。


ワールドカップ本大会には、6つの大陸連盟(ヨーロッパ、南米、北中米カリブ海、アフリカ、アジア)が参加しています。

レベルの高さや競技人口の多さ、サッカー人気の高さなどを考慮して各大陸ごとに出場できる国の数は割り振られており、その枠の数の多さは

ヨーロッパ>>アフリカ=南米=アジア>北中米>>オセアニア

の順番になっており、オセアニア枠が0.5と最も少なくなっています!
2018年 FIFAワールドカップ 出場国一覧

2018年のロシア大会ではOFCからは1か国も出場できていません。

現在OFCはオーストラリアが脱退したこともあり、次点で強い国はニュージーランドとなりますが、そのニュージーランドはロシア大会では出場を逃しています。


出場枠が0.5ということは1にも満たないことですが、これは要するに予選で1位突破をしても本大会に確定出場できるわけではないということです。

ではどうすれば本大会に出場できるのかといいますと、1位突破した上で、他大陸とのプレーオフを制しなければいけないのです!


これがOFCの最も大きな悩みの種です。

せっかく予選で1位突破しても、南米やヨーロッパといったやや強い国との対戦で勝ち上がらないといけないのは本当に辛いところです。

南米ではブラジルとアルゼンチン、ヨーロッパではドイツ、イングランド、フランス、スペイン、ポルトガルといった強豪国がありますが、プレーオフではこうした強豪国と激戦を経験した国々との対戦になるわけですから当然簡単には勝てません。

ニュージーランドは2010年の南アフリカ大会こそプレーオフで勝ち上がって出場できましたが、2014年にはメキシコ、2018年にはペルーとのプレーオフで敗退して出場を逃しました。

メキシコもペルーも世界全体で見たら十分強い国です。ニュージーランドはOFCでは最も強い国ですが、他地域に比べるとやはり格下扱いになるのです。


このことがオーストラリアのOFC脱退にも関係しています。

要するに今のままOFCに所属していても、結局南米やヨーロッパの国とのプレーオフに勝ち上がらないとW杯本大会に出場できないのでは明らかに不公平だ!というのが根底にあるのでしょう。

プレーオフは一発勝負なのでリーグ戦と違って実力が反映されないという意見もあります。


実はオーストラリアは1978年のアルゼンチン大会から2002年の日韓大会まで全て出場を逃しています。

その前の1974年大会ではアジア地区と合同で予選を行っていましたが、1974年にイスラエルがアジアサッカー連盟を除名されてオセアニアに組まれました。

そのためFIFAはアジアとアラブ諸国とアフリカとの対決を避けるように配慮して予選を組むようにしたので、結果としてオセアニアがアジア地区と切り離されたのです。

オーストラリアの苦難の歴史!

オセアニア地区はワールドカップへの自動出場権がない(1枠未満)ため、オーストラリアも現在のニュージーランドと同じような苦しみを味わい続けました。

  • 1986年メキシコ大会予選ではプレーオフでスコットランドに0-2で敗退
  • 1990年イタリア大会予選ではプレーオフでコロンビアに0-1で敗退
  • 1994年アメリカ大会予選ではプレーオフでアルゼンチンに1-2で敗退
  • 1998年フランス大会予選ではプレーオフでイランにアウェーゴール数で及ばず敗退
  • 2002年日韓大会予選ではプレーオフでウルグアイに1-3で敗退

やはり現在のニュージーランドと同様プレーオフで敗退し続けていたのが背景にあるんですね。

5大会連続、年月に直したら30年間近くもプレーオフで敗退していたのでオーストラリアのサッカーファンのフラストレーションは爆発寸前だったと思いますwww

オセアニアという切り離された地理的事情も関係しているので仕方のないことですが、もし日本が逆の立場だったらオーストラリアと同じ行動に出てたかもしれないですね。

念願のアジア枠へ!

そして長年のフラストレーションからようやく解放されたのが2006年からとなります。

オーストラリアサッカー連盟が熱心にロビー活動を展開したことと、先述したようにオセアニアの国々の間のサッカーレベルの格差が影響して、オーストラリアのみAFCに所属することになりました。

2006年からアジア枠になったので、2007年のアジアカップから本格的に参戦しました。2011年には日本と決勝戦で劇的な試合を展開したのが非常に印象深いですよね。

アジア枠では本大会への出場枠が4.5枠もあるので元々実力の高いオーストラリアにとってはかなり有利です、1位突破してもプレーオフはありません。

出場枠が増えたアジア枠の方がオーストラリアは実力が存分に発揮できる上に、日本や韓国、イラクと言った自国とほぼ実力が拮抗している国との対戦もあるのでレベルアップにも繋がるわけです。

その分他の西アジア諸国からは不満の声があるみたいですね、中東とオーストラリアとの仲が悪くなりすぎないように祈るばかりです(;-_-)

【2026年からオセアニアは救われる?】

2026年からはFIFA本大会の出場チーム数が48チームに増えることが決定しました。

それに伴い各大陸の出場枠も増えるので、オセアニアからは必ず最低一か国は出場できるようになりましたが、それでも各地域との実力差はかなり大きいので不遇感は否めません。

当分はニュージーランド1強が続くでしょうね。

 

まとめ

今回はサッカーオーストラリア代表がなぜアジア枠になったのか、その理由と背景を徹底解説しました。

改めてまとめてみますと、

  • オセアニアの中で強豪国であるオーストラリアは、その他のオセアニアに所属する国々とレベル差が開きすぎているので、それを是正するのが狙いである
  • 長年オセアニア枠は本大会出場枠が1未満で他大陸連盟との間で熾烈なプレーオフを制しないと出場できず不公平感が高すぎたから

ということになります。

なんだかんだ言うとオーストラリアが我儘みたいな感じにも見えますが、実力的には明らかに日本と肩を並べる国なので致し方ないと思います。

もしもオーストラリアが未だにオセアニア枠で他国と熾烈な戦いを繰り広げなかったら、それこそ何で?と逆に不満になる声も出てくるでしょう。

オーストラリアも長年サッカーの発展に苦しんだという背景があることだけは知っておきましょう!


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