木星といえば太陽系にある惑星の中でもサイズ・質量が最大として有名ですね。かの有名な作曲家ホルストの名曲でも有名です♪
あまりにも巨大であるため、接近時には地球からも容易に視認できるほどです。
その直径の大きさは地球の11倍、質量は約300倍、木星最大の嵐と言われる大赤斑には地球が2~3個も入るとされています。
それほどの巨大な惑星である木星が、実は地球にとってはなくてはならない存在とも言えます。
もし木星が存在しなければ、間違いなく地球に人類は繁栄していなかったでしょう。
その理由は木星が地球への隕石の衝突を防いでくれていることにあります。
一体これはどういうことなのでしょうか?
巨大惑星ならではの性質を用いて詳しく解説していきます!
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木星が隕石を防ぐとは?
一言で木星が隕石の衝突を防いでくれるといってもあまりピンと来ないかもしれません。
厳密に言えば、太陽系内にある小天体が木星の巨大な重力に引っ張られて吸い取られるといった表現が正しいです。
そもそも隕石というのは、宇宙空間に漂っていた大きな固体物質(小惑星など)が地球の表面に落下したものを指しますが、実は地球には毎日のように何らかの固体物質が宇宙空間から降り注いでいるのです。
その内の大半は海に落ちていたり、大気圏で燃え尽きたり、人が住んでいない場所に落ちて直接的に人類に影響するものは少ないです。
しかし数万年という長いスパンで考えると、文明が崩壊するくらいの大きさの小惑星が衝突する可能性だってあります。
最近でも2013年にロシアのチェリャビンスクに落下した巨大隕石が話題になりました、この隕石落下は多数の負傷者が出る大惨事となりました。
恐竜が絶滅したのも巨大隕石の衝突が原因だとされていますね。
現在太陽系内にはわかっているだけでも、数十万個の小惑星が漂っているとされています。
大きさ的には直径1km程度かそれ未満の物がほとんどですが、それでも超高速で地球に衝突すると1つの国が消滅するくらいの巨大なエネルギーとなるのです。
人類も恐竜と同じようにいつ小惑星が衝突して滅びるかわかったもんじゃありませんが、実は木星は地球への隕石被害を防ぐために一役買っている面があるんですよ。
イントロでも触れましたが、木星というのは直径が地球の11倍、質量は約300倍も誇ります。
また太陽系の木星を除く7つの惑星(水星・金星・地球・火星・土星・天王星・海王星)の質量を足しても、木星の質量に及ばないのです。
あまりにも質量が大きいことから、太陽系全体の重心の位置も太陽の中心からずれて、太陽半径の1.068倍の位置にあるくらいです。
その巨大な重力の影響で太陽系内を周回軌道する彗星や小惑星などの軌道を変えて、自身に引きずり込んでいるのです。
このような特性があることから木星は“太陽系の掃除屋”という異名を持っています。地球だけでなく火星や金星、水星なども木星のおかげで小惑星が衝突する確率がぐっと減るのです。
単純にサイズがデカいから衝突する確率も大きくなるだけだ、という見方もできますが(;^^)
仮に木星が無ければ地球に衝突する小惑星の数が1000倍にも増えるそうです。
つまり木星があるおかげで、地球のあちこちで隕石被害が起きることを最小限に防いでいることになります。人類がここまで繁栄できたのも木星のおかげと言えます。
因みに木星はガス惑星になっており内部には金属水素があるとされています。詳しくは以下の記事をご覧ください!
木星の大きさと内部構造はどうなってる?環もあるの?
逆効果になるという見方もある?
ただし近年の進んだコンピュータ・シミュレーションの結果によると、木星の巨大すぎる重力により軌道が変わったことで逆に地球に接近してしまう小惑星もあるようなので、一概に救世主的な存在とも言えません。
言い方変えるとアレですが、木星は神と悪魔のどっちにもとれるみたいな感じですね。
では実際にこれまで木星にどれだけの小天体が衝突してきたのか、歴史を少し振り返ってみましょう!
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木星にこれまで衝突した小天体
By Credit: NASA, ESA, and H. Hammel (Space Science Institute, Boulder, Colo.), and the Jupiter Impact Team – Cropped from Hubblesite (STScI-2009-23), パブリック・ドメイン, Link
木星の観測自体は古い時代から行われていたのですが、観測史上初めて木星に小天体の衝突を確認したのは1690年の時だそうです。
ただし実際に観測したという記録自体は残っておらず、あくまでスケッチで描かれた絵の中にその衝突した様子が描かれていただけのようです。
そのスケッチを残した天文学者はジョバンニ・カッシーニという人ですが、彼が描き残した9枚のスケッチには木星の表面に衝突痕らしき模様が描かれていました。
天文観測が今ほど頻繁に行われていなかった時代に大規模な彗星の衝突の痕跡を捉えたことはまさに奇跡とも言えます!
※因みにジョバンニ・カッシーニは木星の大赤斑の発見者でもあります。
1994年の衝突
1994年に観測されたシューメーカー・レヴィ第9彗星(略してSL9)の衝突は、木星の小惑星の衝突劇の中では最も有名です。
この時に衝突した彗星はアメリカ人の天文学者の夫婦が発見したものですが、当初はその核が棒状に見えることから銀河の一種であると勘違いされていました。
核が棒状に見えていたのは木星のロッシュ限界を突破し潮汐力によって彗星が20個近くの破片に分裂していたためです。
因みにこの時の衝突で木星表面には直径12000kmという巨大なダークスポットが形成されました。この大きさは地球が丸ごと入る規模です、恐ろしいですね(;-_-)
あまりにも巨大な彗星が地球以外の惑星に衝突したことは、当時の天文学会にとっても衝撃的でした。折しも恐竜絶滅の原因が隕石の衝突であることが判明したこともあって、地球への天体衝突の対策も真剣に議論されるようになったわけです。
2009~2010年の衝突
2009年から2010年にかけて木星への小惑星の衝突が3回ほど観測されました。
まずは2009年7月19日、オーストラリアのアマチュア天文学者アントニー・ウェスレィ氏が木星の表面に長さが8000kmもある黒い模様を発見しました。
初めは磁気嵐か木星の衛星の影ではないかと推定されましたが、調べてみると数日前に発見された小天体の衝突痕であることがわかりました。
この時に発生したエネルギーは1908年にロシアのツングースカ川上空で起きた隕石の爆発(ツングースカ大爆発)の数千倍の規模とされています!
衝突した小惑星の大きさは幅500mほどとされていますが、これは日本の惑星探査機はやぶさが着陸したイトカワとほぼ同じ大きさです。
さらにその翌年の2010年6月と8月には木星の表面で発光現象が観測されました。
この発光現象も小天体が衝突した際に生じたものとされていますが、大きさにして10m程度なので木星の大気上層部で蒸発し爆発して、木星下層部までは届きませんでした。
短期間に同じような大きさの天体が数回も衝突したことから、木星への小天体の衝突の頻度は地球よりも頻繁に起こっている可能性が示されたことになります。
まとめ
今回の記事で木星が地球にとってなくてはならない存在だと理解できたと思います。
繰り返しになりますが、木星の超巨大な重力で地球に来るはずだった隕石や小惑星の大部分が逸れて木星に衝突しているのです。
まさに木星は地球のガードマンですね!
現在太陽系外でも地球に環境が似ていて、生命の存在が指摘されている惑星もいくつかあります。
しかし地球と同じように巨大なガス惑星が同じ恒星系にないと小惑星が衝突するリスクが高まってしまいます。
これが何を意味するのかと言うと、かつて地球で繁栄していた恐竜が絶滅したみたいに、仮に太陽系外で生命が存在している惑星でも木星のような存在がないと天体の衝突で滅びる可能性は高いのです。
フェルミのパラドックスについて解説!地球外文明の数はどのくらい?
改めて地球は本当に恵まれているんだなぁと実感できますね!
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