ルシファーと言えばソーシャルゲームに精通している方でしたら何回か聞いたことがあるでしょう。

中でも人気ソシャゲの『モンスターストライク』では先日獣進化が実装されたことで再びルシファーの株価が上がっているようです、アニメでも大人気ですね!

しかしモンストにはもう一体サタンと呼ばれるキャラも登場します。

サタンと言えば悪魔大王という意味でよく知られていますね。

この2人のキャラはパズドラや他のRPGにもモンスターやボスという形で度々登場しますが、実はこの2人には意外な関係があるようです。


それは

サタンとルシファーは同一人物である

という事実です!


元を辿ればキリスト教の聖書からこう言われ始めている事実ですが、一体これは何を意味しているのか?

今回はサタンとルシファーの違い・関係性について聖書ではどう書かれているのか?

また最も強い影響を与えた文学作品についても詳しく解説していきます!




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サタンとルシファーは同一人物なのか?

冒頭でも紹介しましたが、サタンとルシファーは同一人物であると解釈されています。

ただし厳密に言うならこれはキリスト教での見解です。

キリスト教ではサタンとルシファーの2人についてこう書かれています。まずルシファーについて、Wikipediaの文章を引用させていただきます。

キリスト教の伝統においては、ルシファーは堕天使の長であり、サタン、悪魔と同一視される[3]。神学で定式化された観念においては、悪魔はサタンともルシファーとも呼ばれる単一の人格であった[註 2]。

悪魔にルシファーの名を適用したのは教父たちであった。たとえばヒエロニムスは金星を指すラテン語であったルーキフェルを、明けの明星としての輝きの喪失に悲嘆することになる、かつて大天使であった堕天使長の名とした。

この光の堕天使としてのルシファーの名がサタンの別称として普及したが、教父たちはルシファーを悪魔の固有名詞としてでなく悪魔の堕落前の状態を示す言葉として用いた[4]。

キリスト教の伝統的解釈によれば、ルシファーは元々全天使の長であったが、神と対立し、天を追放されて神の敵対者となったとされる。「ヨハネの黙示録」12章7節をその追放劇と同定する場合もある。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ルシファー#概要


では一方でサタンについてはどう解釈されているのか?こちらもWikipediaの文章を引用させていただきます。

キリスト教の伝統によるとサタンは、元々「ルシファー」という名の、神に仕える御使いであった。

彼は多くの天使を率いる十二枚の翼を持った美しい大天使長であったともいわれる。しかしある時神に敵意を示し、自分に賛同する天使達を集めて、大天使ミカエルの率いる神の軍団との戦いを開始する。

戦いは長く続くが最終的に敗北し、ルシファーと天使の三分の一は天から投げ落とされてしまう。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/サタン#キリスト教

この2つの文章を読み比べると確かに堕落したルシファーがサタンになった、ということで繋がりますね。

簡単に要約しますと、ルシファーは元々天使の中で最も偉いと言われる熾天使の中の一人だったけど、神に反逆して自らが神になろうと戦いを挑んだ挙句、敗れて天から地獄に堕ちてしまった、という認識でいいしょう。

人気スマホゲームの『パズル&ドラゴンズ』では大天使としてのルシファー(大天使ルシファー)と悪魔としてのルシファー(堕天使ルシファー)の2種類が存在します。

何で同じキャラなのに2パターンあるの?と多くの人が疑問に思っていたでしょうが、こうした学説に基づいていたということです。

ルシファーはなぜ神に逆らったのか?

なぜルシファーは神に逆らい戦いを挑んだのでしょうか?

それについては様々な説があります。よく言われているのが

  • 神に次ぐNo.2の存在あり神から最も愛されていた天使だったが、その強大すぎる力故に「自分は神よりも優れているのではないか?」と思いあがったから
  • プライドが高い故に「非力な人間をなぜ寵愛しなければいけないのか?」と人間を見下しており、その考えで神と対立したから

などという理由です、要するに高慢で嫉妬深かったから堕天使になったということです。

しかし堕落する前のルシファーは確かに神に最も近い存在で、四大天使として有名なウリエル、ミカエル、ガブリエル、ラファエルよりも力があって高位であったとされています。

モンストでは確かにルシファーだけ別格扱いになってますよねwww




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なぜルシファー=サタンとなったのか?

キリスト教では今でもルシファーとサタンは同一であるという見解がゆるぎなく存在していますが、実は言葉の意味として捉えるなら単純にルシファー=サタンと判断するのは早計です。

そもそもの言葉の原義を解説しますと、

  • サタンとは「敵対する者」、「妨げる者」を意味するヘブライ語
  • ルシファーとは「明けの明星」を意味するラテン語

ということになります。


先ほども解説しましたが、サタンがルシファーの堕落した姿だと解釈しているのはあくまでキリスト教での見解です。

ではなぜキリスト教ではこうした見解が登場したのか?

その由来を詳しく掘り下げていきますと旧約聖書と新約聖書の2つの聖書が関係していました。

旧約聖書の記述

旧約聖書とはヘブライ語で書かれたキリスト教の聖書のことですが、この中で登場する『イザヤ書』と呼ばれる預言書の中にこのように記述されています。

「黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。

引用元:旧約聖書の『イザヤ書』の14章12節

この文の中に登場する明けの明星こそルシファーを表していることになります。

ただしここでいう明けの明星とはユダヤ人の憎悪の対象であったバビロニア王のことを指しているとされていますので、このままだとただの誤訳になります。

新約聖書の記述

次に根拠となったのが新約聖書の記述です。

旧約聖書との違いはギリシア語で書かれていることで、簡単に言えばキリストの生誕後のことについてまとめられている聖書です。

この聖書に登場する『ヨハネの黙示録』と『ルカによる福音書』という2つの聖書の中の記述で、再びサタン=ルシファーという根拠が強まるのです。


まず『ヨハネの黙示録』では、天の戦いについて記述された12章7節で、「天で戦いが起き、サタンが地獄に落とされる。」という記述があります。

そして『ルカによる福音書』の10章18節では、「イエス・キリストが「私は天からサタンが落ちるのを見た。」と言った。」という記述があります。

この2つの記述は結びついていますが、両者はまさにルシファーが神との戦いに敗れて天から堕ちた、という事実に繋がりますね!


要約しますと、旧約聖書の『イザヤ書』、新約聖書の『ヨハネの黙示録』と『ルカの福音書』、これら3つの書物の解釈を繋げたことで現在でもキリスト教ではサタン=ルシファーという説が確立されたということになります。

ジョン・ミルトンの『失楽園』の影響も強い?

実はサタン=ルシファーの解釈を広めたのはとある文学作品の影響も大きいです。

その文学作品とはイギリスの詩人ジョン・ミルトンによって作られた叙事詩『失楽園』です。

『失楽園』とは旧約聖書の『創世記』の第3章の挿話ですが、内容はアダムとイヴがリンゴを食べてエデンの園を追放されるというものです。

アダムとイヴと言えば多くの人が聞いたことはあるでしょうが、この話の中ではルシファーも登場します。

ルシファーが唯一神であるヤハウェに敗れたこと、及び人間に対する嫉妬などが描かれていますが、この『失楽園』によって元々キリスト教の教父達や神学者によって固められていたルシファーの解釈がより一般的に広められた、ということになります。


ただこの作品ではルシファーはただの敗軍の将としてではなく、どちらかと言えば神に服従するよりも自由に戦って敗北することを選ぶ一種の英雄的な存在としても描かれています。

どのように解釈するかは時代や人によって変わりますが、やはりルシファーを単なる悪魔、堕天使だと決めつけるのは良くないという傾向は強いみたいですね。
 

まとめ

今回はサタンとルシファーの違いについて詳しく掘り下げていきました!

改めてまとめますと、

  • 元々熾天使だったルシファーが高慢と嫉妬故に神に反逆し戦いを挑んだが、敗れて地獄に落ちサタンになった
  • サタン=ルシファーと言う解釈は、『イザヤ書』と『ヨハネの黙示録』と『ルカの福音書』の3つの書物で確立された
  • 叙事詩『失楽園』で中世ヨーロッパ以降一般に認識されるようになった

となります。

ただしルシファーと言う言葉が聖書の中でも一回しか出てこないため、拡大解釈しすぎという見方も確かにあります。

中にはルシファーはユダヤ教の神「サマエル」だったという説や、ルシファーは四大天使の一人「ミカエル」と双子だったという説、そもそもイエス・キリストがルシファーだというかなり無理のある説もあります。

大昔の文献や逸話などで信憑性に欠ける部分など多くあるでしょうが、やはりキリスト教での見解が一番しっくりくるのではないでしょうか?


ただ多くのソシャゲではサタンとルシファーは別キャラという扱いがほとんどですね。

キリスト教の見解を重視するなら、例えばルシファーの進化形をサタンにするという設定にした方がよりいいと思えます。

大ヒットゲームに登場するモンスターの名前などは、ほとんど実際の神話に登場する神々や怪物を由来にしているものが多いですが、これらは日本人があまり予備知識もないまま勝手に生み出しているというパターンが多いです。

例えばFFに登場するベヒーモスとバハムートなんかがそうですね。
ベヒーモスとバハムートは同じ?由来を探ると意外な事実が!

ある程度神話や聖書に精通している人が制作したらこうした矛盾や無理のある設定は生まれなかったかもしれません。

キリスト教が日本でもっと普及すればこんな事態にはならなかったでしょうけど、やはりこれが日本らしいと言えますね。


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