ニュートンといえば、万有引力の法則を発見した物理学者で有名ですね。
だけど学校の物理の授業では別の用語でもニュートンについて知ります。
それが力の単位としてのニュートン(N)です。
そして同じくニュートンの運動方程式としても有名になっていますが、単位としてのニュートンはあまり聞きなれないですね。
具体的に、1ニュートンってどのくらいの力なのか説明できますか?
確か1kgの物体を持った時の力だっけ、あれ1gだったかな?
加速度とも関係があった気がするけど、どう定義するんだろ?
こんな感じでいまいち具体的なイメージが湧きづらいですね。僕自身も学校の物理の授業で習って混乱した記憶がありました。
今回は1ニュートンの定義について、徹底的にわかりやすく解説していきますよ!
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1ニュートン(N)の力ってどのくらい?
では結論からになりますが、1ニュートン(以下「N」で統一)の力のイメージをわかりやすく解説するとこうなります。
1Nとは、100gの物体を持った時に感じる力
これが1Nの力となるのですが、どうでしょう?
因みに身近なもので100gかそれに近い物体って何があるのかといいますと、
- みかん一個
- きゅうり一個
- セロリ一本
- 小さめのトマト半玉
- アスパラガス1束
- 100万円札
- デスクトップ用パソコンのマウス
などがあります。
1万円札1枚がだいたい1gだから、100万円の札束がほぼ100gだよ
これらの物を持ち上げた時に感じる力が、だいたい1Nだと思ってもらえればOKです。
ではどうしてこんな例になるのでしょうか?ここからはNの定義について詳しく見ていきます。
Nの定義をより詳しく!
力の単位であるニュートン(N)の定義を詳しく説明しますと、こうなります。
1㎏の質量のある物体に1㎨の加速度を生じさせる力
ここでいきなり加速度という言葉が出てきましたが、加速度と言いますと以下に示す運動方程式が有名ですね。
F=ma(F:力、m:質量、a:加速度)
高校物理で嫌というほど登場する運動方程式ですが、これってまさにニュートンの定義そのものを意味します。
すなわち「1㎏の質量のある物体に1㎨の加速度を生じさせる力が1Nとなる」ということは、
- 左辺のFが1、単位がN
- 右辺のmが1、単位が㎏
- 右辺のaが1、単位が㎨
なので、上の式のように計算すれば、ちゃんと「左辺=右辺」となります。
因みにこの式より、1Nの単位については以下の定義も成り立ちます。
N=kg・㎨
言い換えれば、基本単位であるNは「㎏と㎨の掛け算」となるわけです。
ニュートン自身は、ニュートンの運動方程式(別名「運動の第2法則」)「F=ma」の式を発見したに過ぎません。
発見した当初は力Fは、時間tに依存する関数という形式で、単位については何も定義されていませんでした。
すなわち単に「F」ではなく、「F(t)」という表記だったのです。
これは簡単に言えば、「速度も加速度も時間tの関数で、加速度は速度の微分だから」となるのですが、難しいのでここでは説明を省略させていただきます。
この運動方程式をもとに、「1㎏の質量のある物体に1㎨の加速度を生じさせる力が1N」であると決めたのは、20世紀になってからで、イギリスの物理学者によって提唱されました。
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1Nがどうして100gの物を持った力になるの?
さて以上が1Nの定義についての解説でしたが、ここで最初に紹介した1Nの具体的な力の例がわかりづらいと思います。
1Nの定義というのが、「100gの物を持った時の力」でしたね。
だけど正確な定義は、「1㎏の質量のある物体に1㎨の加速度を生じさせる力が1N」でした。
「全然イコールじゃないじゃないか!」
と言いたくなりますね(;’∀’)
だけどこの2つが実はほぼイコールになるんです。
ちょっとイメージがしづらいかもしれませんが、ここでもう一つの力の単位であるキログラム重(㎏f)も知る必要が出てきます。
キログラム重(㎏f)とは?
力の単位としてもう一つ有名なのが、キログラム重(㎏f)です。
別名「重量キログラム」とも言いますが、実はこの単位は工学の世界ではよく使われています。
その定義というのは実はNの定義と少し似ていますが、こうなります。
1㎏の質量のある物体にかかる重力の大きさ
Nとの違いは、加速度の部分が重力になっていることです。
実は重力は正式には「重力加速度」と言って、加速度の一種です。
しかしNとは加速度の数値が違っていて、1㎨ではなくおよそ9.81㎨と定義されます。
すなわち1㎏fとは「1kgの物体に9.81㎨の加速度を与える力」と同じ意味になります。
これは言い換えれば、「1㎏f=9.81N」という見方もできるわけです。
体重50kgの人は、490Nの力が働いているってことだね。
地球にいる全ての物体に重力はかかっているけど、これは重力加速度が常に下方向に加わっているということなんだ。
Nを㎏fで置き換えよう!
もうここでおわかりかと思いますが、1Nを㎏fの単位で置き換えてあげれば、ちょうどその分の重さを持った時に感じる力とイコールとなります。
1Nの正式な定義が、「1㎏の質量のある物体に1㎨の加速度を生じさせる力」で、これは1kgの物体を押して1㎨の加速度を生じさせる必要があります。
でもキログラム重で置き換えるなら、別に手で押すだけでなく、手で持つだけでいいのです。
なぜなら「重力」という、下に押す力が勝手に働いているから!
図で示すとこうなります。
上の画像を参考にすると、手に持つ物体は既に9.81㎨の加速度が発生しているので、その分1kgより軽くなるのは明白ですね。
ではちょうど1Nの力と同じようになるには、手に持つ物体の質量は何kgになるのでしょうか?
先ほど上で示した等式を参考にすると、その物体の質量も判明します。
すなわち「1㎏f=9.81N」なので、ここで両辺を9.81で割れば、
1(N)=1/9.81(㎏f)≒0.102(㎏f)
「1N≒0.102㎏f」であることが導けました。
0.102㎏fとはキログラム重の定義から「0.102㎏の物体を持った時に感じる力」、0.102㎏は約100gなので、ここでやっと1Nの具体的な力の大きさと結びつきましたね。
仮に1㎏の物体を持った場合は、単純計算で10Nとなります。
これも身近なもので例えてみますと、1㎏かそれに近い物体は
- 牛乳1Lの箱
- お茶1Lのペットボトル
- 1000万円札
などがあります。
つまりこれらの物体を手に持てば、だいたい10Nの力を感じることになります。
水1Lが1㎏と等しいので、ある意味では日常生活で頻繁に感じている力とも言えますね。
※水1Lの定義を詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
普段の生活で何気なく使う水ですが、1リットルあたりの重さは何kgなのか考えたことありますか。実は調べると意外な事実がわかったのです。また牛乳やガソリンなど水以外の身近なもので1リットルの重さを比較してみました!
N⇔㎏fの換算で耐荷重量を知ろう!
以上のことから、例えばいろいろなニュートン単位で記載された力の数値も㎏重で換算できます。
特に最近ではアンカー(コンクリートに固定したり取り付けたりする際に使用するねじ)や棚受け、金具などに耐荷重表記がされる物に対しては、ニュートン単位で統一されています。
例えば
- 5kN:5000Nなので0.102×5000=510㎏f
- 2MN:2.0×10⁶Nなので0.102×2×1,000,000=204,000㎏f
と言った感じにそれぞれ換算されます。
㎏f表記ならそのまま体重とか重さを計ることでわかるので、Nだといちいち換算しないといけないから面倒ですよね。
わかりやすくさくっと暗算したいなら、「1Nで0.1キログラム」なのでだいたい0.1倍した数値が、耐荷重量なんだと思っておきましょう。
※また現在アメリカなど一部の国ではキログラム表記ではなく、ヤード・ポンド法によって重量はポンドやオンスで表記されています。
1ポンドと1オンスの重さとキログラムへの換算は以下の記事をどうぞ!
ボウリングのボールの重さでも登場するポンドはどのくらいの重さでしょうか?また同じくボウリングなどで登場するオンスという単位についてもキログラムへの換算が気になる所ですね。そもそもポンドとはどのように定義されたか、由来も合わせて詳しく見ていきましょう!
まとめ
以上で力の単位「ニュートン」の定義と㎏fへの換算の解説を終わります。では内容をまとめましょう。
- 1Nとは、1㎏の質量のある物体に1㎨の加速度を生じさせる力
- 1Nは、100gの物体を手に持った時に感じる力
- 1㎏fとは、1㎏の質量のある物体にかかる重力の大きさ
- 1Nを㎏fで換算すると、「1N=0.102㎏f」
- 耐荷重量で㎏fへ換算したい時は、Nの数値を0.1倍すれば良い
ニュートンという力の単位は、理解が深まったでしょうか?
単なる運動方程式や万有引力の法則だけのイメージが強いので、ニュートンだけではどうも力という単位をイメージしづらいのも確かです。
だけど現在では耐荷重量でもニュートンが用いられています。
こればかりは国際的な決まりでそうなったので、仕方ないですが、実は天気予報の気圧の単位もミリバールからヘクトパスカルに変わった経緯があります。
圧力の単位として用いられているのはパスカルであることは学校の理科の授業でも習いますね。だけど天気予報でよく聞くのはヘクトパスカルです。2つの定義の違いは何なのか。キロパスカルが使われない理由と合わせて解説していきます。
いろいろな単位が出てきて本当にややこしいと思います。
これについては世界中には様々な言語が存在するのと同様で、共通で理解できる単位も恐らくないということなんですね。
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