数年前に公務員予備校に初めて通うことになった筆者はその勉強する科目量に驚いたものです。

その中でも驚いたのがミクロ経済マクロ経済の2つの科目です!


同じ経済学なのですが、なぜミクロとマクロの2つで分けられているのか?当時の自分は凄く疑問に思いました。

経済学の奥の深さを思い知ったわけでありますが、この2つの違いについてどれだけ詳しく把握できるかで経済の動向がより鮮明にわかると言えます。

なぜミクロとマクロに分かれているのか?

特に公務員試験対策をこれから始めようという方のためにも両者の違いについてわかりやすく解説していきます、ぜひ参考にしてください!




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ミクロ経済とは?

ミクロ経済について解説する前に、まずはミクロについて解説します。

ミクロと言うのは英語でmicroと書くのですが、これは「微視的な」という意味になります。

即ちミクロ経済とは「微視的な視点で考える経済学」というニュアンスになるわけですが、これだけでもわかり辛いですね。

もっとわかりやすく言うなら普段の生活で買い物する場面を考えてみてください。

普段買い物する時は誰もが消費者として行動するわけですが、欲しい商品があったらそれを買うためにお店にお金を出します。


ここで消費者にとっては日用品や趣味に使うサービスを購入して自分にとって効用が最大になるように動きます。

もちろんお財布事情が厳しかったり、給料日やボーナスの日が近ければ我慢して買わないという選択肢もあったりしますが、基本的には欲しい物があったら買うという単純な行動パターンで考えるのがミクロ経済の理念です。

対してお店側(生産者)は商品を売ることで多くの利益を得ないと経営できません。

お店にとってみればその商品を売る際にかかる費用(人件費や光熱費、材料費など)をいかにして減らすか、またいかにして多く売るかで赤字になるか黒字になるかが決まるわけです。

需要曲線と供給曲線

この消費者と生産者の行動を需要と供給と言う2つの指標でグラフ(上に示した需要曲線と供給曲線の2つ)として表し、価格決定や貨幣のバランスを分析していくというのはミクロ経済では最も基本的で重要な理論になります。

公務員試験対策においても一番重要で頻出分野になりますのでしっかりと抑えておきましょう!

またその他にもとある生産者によって独占された不完全競争や、代替材と補完財の違い、ゲーム理論でお馴染みのナッシュ均衡なども取り扱います。
代替財と補完財の違いとは?具体例も紹介しながら解説!

いずれも消費者や企業、市場といった経済で主体の最小単位を分析することになるので、ミクロという名前がついたということです。

やや理論的で計算問題や論理的思考が問われる捻くれた問題が多いのが特徴で、ここで躓く人が多いみたいですね。




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マクロ経済とは?

ミクロ経済のミクロは「微視的な」を意味する英語でした。

これに対してマクロとは英語でmacroと書くのですが、これは「巨視的な」という意味になります。

“小さい”に対して”大きい”なので当然視点が変わってきます。


ミクロ経済が1700年代後半のアダム・スミスの著書『国富論』から生まれたのに対して、マクロ経済の誕生は20世紀になってからです。

今まで各個人や各企業、市場の動きだけを追っていたミクロ経済学が主体でしたが、1930年代に襲った世界恐慌のせいでこのミクロ経済学だけでは経済全体の動きを捉えるのは無理だという見解が広まりました。

ミクロな視点ではなくマクロな視点で捉えることが大事となったわけです。

ここで言うマクロな視点とは国民所得や失業率、物価上昇率などといった国全体での指標のことです。

新聞やニュース番組を見ればGDPや失業率、有効求人倍率などといった指標や数値が当たり前のように飛び交いますが、世界各国全てがこの指標を参考にして経済の良し悪しを計っています。

【ケインズの理論が基本にある!】

マクロ経済学の生みの親と言われているのが経済学者で有名なケインズです。

経済学では必ずと言っていいほど登場する人物で、彼の主張は簡単に言えば「失業率を減らすには国家が積極的に財政出動するしかない!」ということです。


この主張を取り入れて成功したのがアメリカのニューディール政策だと言われています。

世界恐慌の影響でどん底にまで落ちたアメリカ経済を劇的に復活させたわけですが、そこには積極的な公共事業で政府が投資して雇用を生み出したことが大きな要因でした。

この政策の成果によりケインズ理論の重要性が改めて認識されたわけです。


今でもこの考えは生かされているようで特に自民党政権が掲げている国土強靭化政策はまさに日本版ニューディール政策と言えますね。

ケインズの主張する有効需要の考えはマクロ経済学でもよく問われるのでしっかりと抑えておきましょう!

年金の保険料の決定にも関わる?

実はマクロ経済の考えは、年金の保険料の決定にも関係していたのです!

マクロ経済では物価上昇率も大事な指標となりますが、基本的には経済が成長し続ければ物価は一定水準で上昇します。

この上昇率を考慮に入れて年金の保険料を決定しているわけで、この仕組みがマクロ経済スライドと呼ばれています。


現に昨年徴収された保険料と今年徴収された保険料の納付書を見てみると、微妙にですが上がっていることがわかります。

ただ現在の日本経済の動向を見てみると消費税が10%へ上がる可能性も出てきたので間違いなく成長は鈍化するでしょう。そうなりますとデフレが進んで保険料も下がり続けます、果たして将来の展望はいかにwww

ケインズ理論は本当に大事?

もちろんミクロ経済で言うところの個々の家庭や企業の損益といったデータを参考にしないわけではないですが、特定の企業や個人だけが景気が良くても国全体で景気が悪ければ意味がないのです。

それもこれも国際化の影響が強くなり、各国が経済の主導権を争うためにGDPを上げる重要性が増したからです。

もちろんそのこと自体は否定しませんが、GDPだけ上げることに特化しすぎて肝心の社会保障政策や防衛・防災政策が後回しになってしまっては元も子もありません。

経済への財政出動が大きくなりすぎると財政赤字が膨らむのは致し方ありません。

アメリカも1980年代に双子の赤字で悩み、日本も失われた20年などで赤字国債が増え続けています。

経済の成長も大事ですが、社会保障費など増大する予算にどう取り組んでいけばいいのか各国が悩んでいるのが現状です。そのため極力財政出動を抑えて自由競争を強め小さな政府へ舵を切るべきだと言う動きも出ているようです。
大きな政府と小さな政府って何? 日本はどちらに進むべきか?

まとめ

今回はミクロ経済とマクロ経済の違いについて解説してきました。

改めてまとめさせていただきますと、

  • ミクロ経済は消費者と生産者、市場といった最小単位から経済の動きを見る
  • マクロ経済はGDPや失業率、物価上昇率といった一国全体の指標から経済の動きを見る

となります。

両方とも公務員試験においては大事で頻出科目です。

また覚える量も多い上に若干の数学的知識も必要なので文系の人には少し厳しい面もありますね。


最後に余談ですがマクロ経済の方が景気の動向がわかりやすいとして広く受け入れられてきましたが、最近になってマクロ経済重視の傾向からミクロ経済の視点も取り入れるべきだという意見も強まりつつあります。

やはり財政出動が大きくなりすぎて採算が取れず赤字国債に悩む国が出始めたのが原因ですね。

今後はマクロとミクロの明確な線引きがなくなって、一括りの経済学としてまとまる日が来るかもしれません。




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