普段の生活や仕事の場面で、毎日のように違う人と対面するという人は少ないと思います。同じ職場でずっと働いていたら、一年おきに新人が配属されるというケースはあるかもしれませんが、それでも名前も顔も知らない人と接する機会は少ないと言えます。

しかし接客業や営業などで働いている人は顧客や取引先と対面して名刺を交換して名前を確認し合うという人も多いです。そうすると嫌でも毎日違う人と対面して、もはや顔と名前を覚えるのは大変になると思います。

日本人の名字が多い理由

そんないろんな人との出会いの中で、珍しい名字が目に付くと「変わった名字ですね。」という言葉を発してしまう人もいるでしょう。世の中にはこんな珍しい名字を持った人がいるんだなと感心してしまいます。

 
かくいう筆者もかなり珍しい名字の一人です。さすがに本名は明かせませんが、自己紹介すると必ずと言っていいほど「珍しい名字ですね。」と言われます。

しかしそもそも何で日本人はこんなに名字が多いんでしょうか、その由来や理由について今回は探ってみることにします!




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そもそも名字って何? 起源は?

日本人の名字が多い理由を解説する前に、まず日本人の名字とはどういった位置づけなのか、何が起源となっているのかを探っていきます。

名字の本来の意味とは、家族・家系の名のことです。法律上ではと呼ばれますが、歴史を辿ってみると中国から日本に入ってきた字(あざな)の一種であると言われています。

昔の貴族は自分が住んでいた土地の名前を称号としていましたが、これが後に名字として発展していきました。

 
日本国民全員が公的に名字を名乗ることが許されたのが1870年に定められた『平民苗字許可令』という法令です。ところがこの法令が定められても姓名を名乗る日本人が増えることはありませんでした、なぜでしょうか?

 
背景にあるのは日本人は古くから国民はみな天皇と同属であるという考えがあったためです。祖先を辿ると天皇家に帰着するという人がそれほど多くいたのです。そのため祖先や家柄をことさら誇示する必要もありませんでした。

さらに幕府が政権を握っていた期間が長く、名字は武士や公家などの階級にしか与えられないものだという認識も強く根付いていました。

そういった歴史が長く続いたために、いざ政府から名字を持てと言われてもピンと来ない人も多く、また識字率も低かったこともあって普及はしませんでした。

 
しかし姓名を持たない国民が多いと戸籍や土地を管理する際に不便となるので、政府は何としても全ての国民に名字を持たせる必要がありました。

そうした理由もあって1875年に『平民苗字必称義務令』を制定します。この法令では許可ではなく義務制にして、従わない者には罰則を与えることにしました、これ以降国民はみな公的に名字を持つことになります。

日本人全員に名字が与えられたことを記念して、法令が制定された2月13日は『名字の日』という記念日になっています。




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諸外国との比較

日本は確かに名字が多い国ですが、諸外国はどういった事情なのかも探っていきます。

諸外国の名字
 
まずは世界一の経済大国のアメリカです。なんでも世界1が多い国ではありますが、実は名字の多さもアメリカは世界一です、その数は150万もあります!

ここまで多い理由は何といってもアメリカは移民の国だと言うことにあります。いろいろな国からの移民が多く入ってきて国際結婚して家庭を築くので、必然的にファミリーネームの数は増えてきます。

 
一方日本に近い国である中国と韓国は非常に少ないです。中国に至っては人口が世界一の国であるにも関わらず名字の数は4000ほどだそうです、お隣の韓国も300くらいしかありません。

中国人の数は13億人で名字の数が4000、単純に考えたら30万人近くは同じ名字と言うことになります、同姓同名の数はかなり多いのですが戸籍などの管理で混乱しやすいですね。

【中国人の名字が少ない理由は?】
もともと漢民族で世界でも最も早く名字ができた民族と言われていますが、日本と違って伝統的に漢字1文字の単姓を原則としているのが特徴です。

また日本のように自分で地名などから名字を名乗ったり、分家した際に名字を変えると言う習慣もなかったので名字がそれほど増えなかったのではないかと言うのが背景として考えられます。

 
因みに日本の名字の数は約27万とされています。中国の方が人口が10倍以上と多いのに、名字に関しては中国より70倍も多いのです!

さすがに移民大国アメリカには及ばないですが、それでも日本の名字の多さは東アジアに属する国の中では異例の多さです。仮にも日本人は1億人以上いるわけですから、まだまだ自分が目にしたことがない名字の人はたくさんいますね!

 

日本で最も多い名字の”佐藤”の由来とは?

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日本は世界でも有数の名字大国ではありますが、その数ある名字の中でも一番多いのが”佐藤“の姓です。次に多いのが”鈴木”、3番目が”高橋”、人口で比べますとそれぞれ200万人、180万人、150万人いるとされてます。

この中で一番多い名字である佐藤についてですが、という漢字がありますね。現在でも斎藤、藤田、伊藤、後藤、近藤など藤という漢字が入っている名字は非常に多いですが、実はこれらの名字は歴史上のある有名人物が由来となっていると言われています。

その歴史上の人物とはご存知藤原氏です。平安時代にその栄華を極めて摂関政治を行ったことで有名な藤原氏ですが、その中でも平将門を滅ぼしたことで有名な藤原秀郷の子孫である藤原公清が佐藤姓の起源とされています。

ただしこれに関しても由来は様々あって、

  • 公清が左衛門尉となり、”左”と”藤”から佐藤に変化した
  • 当時の朝廷の職の上から2番目を”佐”といい、この”佐”を代々努めていた藤原氏も佐藤を名乗った
  • 公清が”佐渡の国司”に赴任したから

などといった説があります。
 

佐藤・鈴木・高橋の姓が爆発的に増えた理由は?

どの説に関しても藤原公清に由来していることはほぼ確実ですが、大昔の貴族由来の名字がなぜこれほど日本人で最も多い名字になったのでしょうか?

これに関してもいくつかの説が考えられますが、中でも有力な説が戦国大名との関係です。

日本は戦国時代に様々な戦国大名が互いに争っていた時期がありまして、大名が自分の領土を強い権力で支配していた時期がありました。

この支配は姓名に関しても絶対的で、家臣が主君と同じ名字を名乗ることはほとんどありませんでした。つまり大名と同じ名字は名乗れないというわけです、大名が前田と名乗っていたら前田と言う名字は使えないので同じ名字を持った一族は改姓したと言われています。

逆に考えれば大名と同じ名字を持った人の数は必然的に少なくなってきます。明智や徳川、豊臣など歴史に名を残した武将と同じ名字の人はほとんどいませんよね?そうなりますと戦国大名が名乗らなかった名字の方が人口が多くなります。

一般庶民が普通に名字を使い始めたのは明治になってからですが、その頃は武士の支配の名残もあってかやはり武家や公家と同じ名字を名乗るという行為に抵抗を感じる人もいたようです。

 
そのため歴代の戦国大名と同じ名字を名乗るのはやめておこうと考えた庶民に配慮して、役場が無難な名字の候補に挙げたのが佐藤や鈴木、高橋と言った姓だと言われています。こうした理由からたくさんの佐藤さんや鈴木さん、高橋さんが生まれたということになります。

もちろんこれはあくまでも推測に過ぎませんが、いずれにしろ明治の人にとって名字と言うのはあまり重要な意味を持っていなかったことは確かです。

 
以上日本人の名字の多さ、由来についての解説でした!まだまだ知らない名字も多くありますが、国際結婚などが増えるとさらに珍しい名字が増える可能性もあります。

ただし最近では珍しい名字よりも、キラキラネームと言う親が子供につける意味不明な名前なども話題になっています。読めない漢字だったり恥ずかしい読み方だったりで、子供が可哀そうな気がします、仮にも戸籍に登録されるのでもう少し姓名に関しては真剣に考えてもらいたいものです。

 

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