毎年日本に多く訪れる大型の低気圧といえば台風ですね。

巨大な渦を巻いていて、その圧倒的な風速と雨量で毎年日本各地に被害をもたらします。

しかしその台風には意外な事実があります。


よく言われているのが、「台風の右側は勢力が強く危険である」ということ。

僕が住んでいるのは福岡県ですが、台風が上陸した時なんか仕事がどうなるんだろうと、毎回憂鬱な気分なります。

だけど自分の住んでいる地域が、台風の円の右半分に入った時は、凄い雨量と風だと感じますけど、左半分の時はそうでもない気がします。

外国人男性

天気予報でもよく耳にするけど、改めるとどうして右側が危険なの?

少年

台風の進行方向や風向きが関係しているのかな?

自分としても天気予報のたびに凄く疑問に思っていたことで、今回改めて調べてみたら2つの半円が大きく関係していることがわかりました!

台風の意外な事実と原理について、今回はわかりやすく解説していきます。




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台風の右側がどうして危険なの?

台風は毎年日本の7~9月頃に多く訪れ、その度に天気予報で台風についての情報は流れますが、

台風の右側に位置する地域は特に注意が必要です!

という文言は、台風が訪れると天気予報で何度も耳にすると思います。


左側よりも右側の方が雨量や風速が増すからですが、改めるとどうしてこのような差が生じるのでしょうか?

これについては実は台風の構造が大きく関係していました。

凄くわかりやすく説明しますと、

  • 進行方向に対して右側は危険半円となって、雨風が強まる
  • 進行方向に対して右側は可航半円となって、雨風が弱まる

という特徴があるためです。


ここで「危険半円」と「可航半円」という2つの半円が登場します。

一体この2つの半円って何なのでしょうか?それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう!




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「危険半円」と「可航半円」って何?

台風の進行方向の右側、すなわち台風をと仮定するとその円の右側の半円が危険半円、左側の半円が可航半円と呼ばれます。

危険半円では、台風の風の強さが一段と強まり、可航半円では弱まるのですが、その理由を簡単に説明しますと、

進行方向の風向きと台風に吹き込む風向きが同じになるため

です。

上の画像を見てもらえればわかりますが、台風は北半球では半時計周りに風が中心に吹き込んで渦を形成します。

※台風がどうして半時計周りの渦になるのかについては、以下の記事で詳しく説明しています。

この時中心に吹き込む風向きは南から北へ、あるいは南東から北西へ吹き込みます。

そして台風はまさに南から北へ北上しますね。

この時台風を北上させる風の向きが、台風の中心に向かう風の向きと一致するのがわかります。

「風向きが互いに一致するから、足し算して風速が増す」

一方で左側は、

「風向きが互いに逆向きだから、引き算して風速が減る」

単純な理屈ですがこのように考えてもらってOKです。


台風が仮に時速30kmで進行していたとして、平均風速が秒速30mだったと仮定します。

天気予報ではよく台風の進行速度を時速、風速を秒速で表記しますが、秒速を時速で換算すると

時速=秒速×3,600(m)=秒速×3,6(㎞)

なので、秒速30mは時速108㎞と同じです。


よって台風の右側で吹く風速は単純計算で、時速138㎞となります。

逆に台風の左側で吹く風速は引き算となるので、時速78㎞、同じ尺度だとだいたい倍近くの差があることがわかりますね!

女性キャスター

台風自体が進むスピードはだいたい自転車(時速20km)とほぼ同じと言われているよ。

これは高校数学で習うベクトルと同じ理論です。

ベクトルでは矢印が同じ向き同士である場合、足し算してその矢印は大きくなります。

反対に逆向き同士の場合は、足し算ではなく引き算扱いになるので矢印が小さくなるわけです。

雨の勢いも強まる!

これまでは風の強さについての解説でしたが、実は雨の勢いもやはり右側が強まるのです。

その理由については簡単に説明しますと、南側にある暖かく湿った空気を取り込んでいるからです。

暖かく湿った空気を取り込んだ風が吹き込みやすい台風の右側は、より積乱雲が発達しやすいので豪雨になりやすいです。

風が強いだけでなく、雨量も強まるため、台風の右側はまさに「危険」半円となるわけです。

好青年

記憶に新しい平成30年7月豪雨も台風7号がもたらした湿った空気が、梅雨前線と重なったことで起きたんだよね。

過去にあった例を紹介!

実際に過去に上陸した台風で、その右側がいかに危険であるかを語らせていただきます。

上の画像では1961年に上陸した第二室戸台風と1966年に上陸した第二宮古島台風の進路を表しています。

この2つの台風は過去に上陸した台風の中でも、大きな傷跡を残した台風で知られています。

いずれの台風も最大瞬間風速として過去最高の80m/s以上を観測した台風なんですが、その観測地点はいずれも台風の右半分に入っていました。

  • 第二室戸台風が室戸岬(高知県室戸市)で、最大瞬間風速84.5m/s
  • 第二宮古島台風が宮古島で、最大瞬間風速85.3m/s
男性1

因みに昭和40年に上陸した台風23号でも、やはり室戸岬で最大風速69.8m/sを観測しているよ。

また1991年の台風19号では、熊本の阿蘇山で最大瞬間風速60.9m/s、広島市で58.9m/s、輪島市で57.3m/sなど、台風の右側に入った多くの地点で記録を更新しました。



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「危険半円」と「可航半円」の由来

台風の右側が危険半円、左側が可航半円と呼ばれているわけですが、改めるとどうしてこのように呼ばれているのでしょうか?

少女1

右側については雨と風が強いから「危険」というのはわかるけど、「可航」ってどういう意味?

右側が危険だから左側は「安全」とつきそうですが、単純にそうは呼ばれません。

そもそも台風自体が強い雨風を伴う大型の低気圧なので、たとえ左側であっても雨と風は強いのは変わりありませんから。

この言葉の由来ですが、実は船の航海に由来しているのです。


昔から海を航海する船乗りにとって、天気が崩れることは死活問題でした。

大荒れの時なんかは波も高くなって船酔いだけでなく、単純に船自体が沈む可能性も出てきます。

ましてや台風が接近するとなると、なおさら船など出せません。


しかし船乗りは遠方を航海することもしばしばあります。

特に台風というのはその発生源は巨大な水蒸気の熱エネルギーで、温かい海上で発生するものです。

海上で発生しやすいから、船乗りにとっては台風が発生した時に航海中だったこともあるでしょう。

今でこそ科学が発展して、台風の位置や船の位置をネットなどで知れるので、台風が発生したら速やかに港に戻ればいいのですが、昔の船乗り達にそんなものはありませんでした。

気づいた時には沖から遠く離れていて、大きく発達した台風が接近してきている、そんな事態にもなります。


もし万が一台風の中に入ってしまったら、一刻も早く台風圏内から脱出しないといけませんね。

だけどここで台風から逃れるためには、船の進行方向に気を付けないといけません。下の図を見てください。

仮に台風が船の南の海上に発生したとして、北上している場合を仮定します。

この時もし北上しようとしても、台風自体も北上しているので、よほど速く移動しない限り追い越せません。

なので南に移動するしかないわけですが、ここで船の移動の向きと風向きに注意してみてください。


上の画像からもわかりますが、右側を南に移動するのは、台風の向かい風になって船の速度が相殺され減速してしまい、台風から逃れにくい状況となります。

台風から逃れられない、だから「危険」半円なのです。


一方で左側の風は追い風になるからすぐに逃げられます。

つまり安全に航海できるから、「可航」半円になるわけです。

このような理由から、右側の円は危険半円、左側の円は可航半円と名付けられました。

金髪の若者

漁師の人にとっては台風シーズンは常に天気予報を確認しないといけないから大変だね。

まとめ

今回は台風の右側の領域が危険になる理由と、危険半円と可航半円の名称の由来についてお伝えしました。では今回の復習です。

  • 台風の右側は、台風を押す風と中心に吹き込む風の向きが一致するから風雨が強まる
  • 台風の左側は、台風を押す風と中心に吹き込む風の向きが逆になるから風雨が弱まる
  • 過去の台風でも最大瞬間風速を更新した地域は、台風の進行方向の右側に位置していた例が多い
  • 台風の右側を危険半円、左側を可航半円と呼ぶが、その名称の由来は航海から

巨大な渦を巻いて、暴風雨となる台風でもその右側と左側で勢力が大きく異なっているのは意外でしたね。

今後天気予報を見る時には、自分の住んでいる位置が台風の進行方向に対して、どこに位置するのかに注目しながら見てみましょう!




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