突然ですが、皆さんは地球の一周の距離ってどのくらいあるかご存知ですか?
こう質問されると、恐らく大半の人はパッとは答えられないとは思います。
何となく大きな数字だとは思うけど、何kmかまではわからないな。
地球が球体なのはよく知っているとは思いますが、その半径や直径、さらに周の長さなど細かい点まで把握している人は少ないでしょう。
でもここで一つ重要な事実があります。
それは「地球の周の長さは一様ではなく、どこを測るかで変わる」ということです!
「え?球体なのに周の長さが変わるってどういうこと?」
このような疑問を抱く人も多いですね。
そもそも地球って完全な球体なのでしょうか?今回は改めてその一周の長さを詳しく掘り下げていきましょう!
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地球一周の長さとは?
さて気になる地球の一周の距離についてですが、冒頭でも紹介したように、どこを基準にして測定するかで微妙に変わります。
その基準にする周は、赤道の長さと北極と南極の2点を通る長さの2つで、それぞれを基準にして測った円周は
- 40,075km(下の画像で赤い色の線)
- 40,009km(下の画像で青い色の線)
となります。
このように実は赤道の方が、約65kmほども長いことがわかりました!
これは現在の人工衛星でほぼ正確に測定した数値となっています。
65kmというのは、時速60kmで車で走行した際に1時間かかる距離とほぼ同じです。
確か数学の授業で習うけど、球の円周ってどこで測っても同じ長さじゃないの?
学校では上のように習う人も多いですね。
地球が丸い形をした球体だというのは、例えば船が水平線に沈んだり、太陽が昇ったり沈んだりすることで確認ができます。
もちろんそれは間違いではありません。
宇宙空間から見た地球の画像は、上のように見事なまでの美しい球体だと確認が取れます。
赤道の方が60kmほど長いと言っても、そもそも地球自体が大きすぎるので、上のような衛星から撮った写真では確認が難しいです。
あくまで機械が正確に測定した数値にすぎないので、「ほぼ4万kmだ。」と覚えてもらってもいいです。
キリのいい数字なのは偶然か?
しかし改めて考えると、どうして地球の一周の長さが約4万kmという、ほぼキリのいい数字になるか気になりませんか?
言われてみれば確かに。これって偶然なの?
いいえ偶然ではありません!
より正確に言いますと、「地球一周の長さを基にして1mの長さが定義された」、このように解釈できます。
一体どういうことなのでしょうか?
その根拠については、少し歴史的な知識が必要となっていきますので、次の項から詳しく見ていきますね。
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地球一周の長さは最初から決まっていた?
実は、地球一周の長さは約4万kmで、その4千万の1の長さが、長さの基本単位である1mと定めたのです!
4万㎞とはm(メートル)で換算すると40,000,000m(4千万m)ですね。それの4千万分の1が、昔の1mの定義でした。
このような歴史的経緯があったから、地球一周の長さが4万kmというのはある意味当然のことです。
長さの基本単位である1m(メートル)の定義は光の速度が基準で決まっています。ところが昔の定義も探ってみると、地球の長さも関係していることがわかりました。どのように変遷したか、1秒と光速度との関係についても詳しく解説します。
上の記事でも出ている地球一周とは、北極点と南極点を通過する大円、すなわち子午線を指します。
これの対義語が赤道ですね。赤道を横の直径とすると、子午線は縦の直径となります。
結局のところ、地球一周の長さを基にして1mが決められたようなものなので、「水の沸騰する温度は何℃なの?」と同じような質問になります。
水が氷になる温度が0℃、沸騰する温度が100℃になっているのも、これを基にして現在のセルシウス温度が定義されたからです。
古代エジプトの哲学者の測定は?
さて地球の一周の長さは約4万㎞だという事実がわかったわけですが、これは現在の発展した科学力でほぼ正確に測定された数値です。
だけど古代エジプトの哲学者でも、地球を球体とみなし周の長さを測定した人物がいます。
その人の名はエラトステネス、数学と天文学の分野で大きな業績を残しました。
彼は紀元前240年に、現在のアスワンのそばにあるエラファンティン島とアレクサンドリア(エジプト第2の都市)から、地球の全周を計算しました。
具体的な方法としては、夏至の正午の太陽高度を基にして弧の長さを求める公式より計算しています。
難しいのでここでは簡単に解説すると、
- エラファンティン島からアレクサンドリアまでの距離:925km
- 太陽の傾き:7.2度
になります。
ここで必要となる知識が、扇形の弧の長さを求める公式で、弧の長さをL、円の半径をr、中心角をx(度)とすると、
L=2πrx/360
です。
この公式を用いることで、地球の円周は46,250kmと求まりました。
代わりに用いられていた長さの単位はスタディアで、「1スタディア=185m」と換算されます。
現在の測定と比べると、約6,000kmもズレていますね。
6,000kmと言うと、東京からハワイまでの距離とほぼ一致します。まぁ測量技術がそこまで発展していない時代ですから、無理もないですね。
古代アレクサンドリアの数学者ヘロンが発明した自動ドアと自動販売機の紹介します。学校の数学の授業で習ったヘロンの公式でも知られています。
地球は回転楕円体である!
「地球一周の長さが約4万kmで、その4千万の1の長さが1mとなった!」
とのことですが、実はこの定義はあくまで子午線を基にして決められたに過ぎません。
大昔の人々はこう考えていました。
地球は球体なんだから、赤道ではなく子午線を基にして測定しても問題ないよね。
科学に精通している人からしたら、ちょっと安直な考えですよね。
赤道の長さも求めてそれとイコールなら、地球がほぼ完全な球体だと証明できるのですが、当然この考えが違っていることも、現在の発展した測量技術で否定されました。
先ほども説明しましたが、人工衛星から正確に求めた地球一周の長さは
で赤道の方がやや膨らんでいることになります。
つまり地球は完全な球ではなく、赤道方向にやや膨らんだ回転楕円体なのです!
地球が楕円体だと証明されたのは昔から?
人工衛星での測定よりも以前に、実は地球が楕円体だということは知られていました。
最初に地球が楕円体だと測定したのは、フランスのピエール・ルイ・モーペルテュイという数学者です。
彼は北極圏内のトルネ谷で測定した子午線弧長の測量結果を基に、地球は楕円体と結論づけました。
さらに現代の値に相当近い結果を得たのが、イギリスの探検家ジョージ・エベレストです。
彼はインド測量局の長官も務めた人ですが、インド地方の子午線弧長を測定し、
「地球の中心点からの距離が最も大きい地点が、エベレスト山頂(標高8,848m)ではなく、南米エクアドルのチンボラソ山頂(標高6,267m)である」
ことを発見しました。
この測定結果も、簡単な数学的な知識で理解できます。
まずエベレストとチンボラソの標高の差は約2,500m(2.5km)ですが、それでもたった2.5km、地球一周と比べると微々たるものです。
さらに地球は赤道半径が6,378km、極半径が6,357kmなので、その差は約21㎞もあります。
エベレストのヒマラヤ山脈の方が緯度が高いのですが、これは言い換えれば、「エベレストがある地点の方が、地球の中心からの距離が数kmほど短い」ことを意味します。
逆にチンボラソ山は赤道に位置するエクアドルにある山で、必然的にチンボラソ山までの方が地球の中心からの距離が数kmほど長くなります。
地球の中で緯度が0度の地点は赤道が通っています。この赤道が通っている国は一体どれだけあるのか。また赤道直下ならではの特有の現象についても、詳しくまとめてみたのでぜひご覧ください!
つまり、標高差が2.5kmほどありますが、それよりも地球の中心からの距離が離れているわけです。
赤道付近の方が中心からの距離が大きいことが、彼の測量で改めて証明されたわけですね。
この功績に敬意を表して同山を「エベレスト」と名付けたのです。
おまけ:地球一周にかかる時間
最後はおまけとなりますが、地球一周4万kmを渡るのにかかる時間を、徒歩やいろいろな乗り物で計算したのでご覧ください。
手段 | 速さ | 時間 |
---|---|---|
徒歩 | 時速4.8km | 347日 |
自転車 | 時速15km | 111日 |
車 | 時速50km | 33日 |
新幹線 | 時速300km | 133時間 |
飛行機 | 時速900km | 50時間 |
戦闘機 | 時速1,500km | 27時間 |
光 | 時速約11億km | 0.13秒 |
徒歩の場合は個人差がありますが、平均で時速4.8kmとされています。
これは、不動産会社や住宅サイトなどでよく見る「徒歩〇分」という表示が、「徒歩1分で80mの距離」という基準で決められている事に準拠しています。
この速さで歩くと地球一周は8,333時間、日数に直すと347日もかかります。
ただ現実的に1日中休みなしで歩くなんて不可能なので、せいぜい1日10時間くらいでしょう。
そう考えると日数はこれよりも約2倍以上はかかり、だいたい2年半という計算ですね。
またこれよりも速い乗り物だと自動車で約1か月、新幹線で約5日、飛行機で約2日もかかります。
どれだけのガソリンが必要になるんでしょうか(;^ω^)
だけどそれ以上に速く移動できるのが光ですね。
新幹線の「ひかり」のことではありません。
地球一周4万kmをわずか0.13秒という一瞬の間で移動できちゃうんです、インターネットで世界中の人とコミュニケーションが取れるのも、光がこれだけ速いおかげなんですね!
この世で最も速いと言われるのが光ですが、その速度を時速・秒速で換算するといくらになるのでしょうか?様々な物体の速さと比較しつつ、光速度でも遅く感じる場面や媒質によって光の速さが異なる現象についても詳しく見ていきます!
まとめ
以上で地球一周の長さについての説明は終わります。それでは改めてまとめといきましょう!
- 地球一周の距離は赤道がと子午線で異なる
- 地球は赤道方向に若干膨らんだ楕円体である
- 地球一周の距離を基に1mの長さが定義された
- 哲学者エラトステネスは弧の長さの公式で、地球一周を46,250kmと求めた
- エベレスト山頂よりもチンボラソ山頂の方が地球の中心から離れている
地球一周を徒歩で制覇しようとしたら、約347日もかかりますがいつかは達成してみたいなぁと思ったりしてます。
因みに日本人の平均歩幅は約70cm(0.7m)、1日の歩数を7,500歩とすると、1年で約1,790kmの距離を歩きます。
この計算で行くと地球一周4万㎞は、一人の人間が約23年分歩いた距離に匹敵するんです!改めて地球って巨大な星ですね。
因みに月までの距離が約38万kmだから、これだと200年以上かかる計算だね。
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