突然ですがみなさん、線路の上を走る乗り物といえば何と答えますか?

恐らく大半の人は「電車」と答えるのではないでしょうか?


しかし改めて考えてみると、電車以外にも「汽車」とか「列車」という言葉もありますよね?

特に子供の頃だと童謡の「汽車ポッポ」をよく歌ったものですが、その頃は特に電車とか汽車とかの区別を気にすることなんかありませんでした。

だけど大人になるにつれて、電車とか列車という言葉を使い始め、いつの間にか汽車とは言わなくなってきました。


駅のホームでもアナウンスでは「列車が参ります。」とは言いますが、「汽車が参ります。」とか「電車が参ります。」とは言いませんよね。

僕自身そこまで鉄道に詳しい方ではないのですが、好奇心旺盛な性格なので、やはりこれら3つの言葉の意味の違いがとことん気になったわけです。

ということで電車と汽車と列車の意味の違いを詳しく掘り下げていきます!




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電車と汽車と列車の違いとは?

まずはこれら3つの言葉の意味を、一言で簡単に解説しますと以下のようになります。

  • 電車とは、モーターを装着し架線もしくは軌道から得る電気を動力として走行する鉄道車両
  • 汽車とは、ディーゼルエンジンを動力として走行する鉄道車両
  • 列車とは、人や物を乗せて運ぶ線路上を走る車両全て

電車と汽車の違いについては簡単に言いますと、車体を動かすためのエネルギーがモーターかディーゼルエンジンかの違いとなります。

見分け方についてですが、電車は架線との間に、電気を受け取るための集電装置が備え付けられています。

この装置はパンタグラフと呼ばれていますが、下の画像のように“く”の字になっているのが特徴です。(ひし形もあります。)

駅で電車に乗り降りするとよく見かけますね、これがあるのは電車の方で汽車にはありません。

さらに線路だけでなく、路面を走る路面電車やモノレールもやはり電車に該当します。


また電車と汽車以外にもややこしい言葉として列車がありますが、これは鉄道車両の総称と思ってもらっていいです。

ただし列車の定義についてはやや複雑な一面もあって、電車と区別している区間も一部あるみたいなんです!

次からはそれぞれの鉄道車両の特徴や歴史などについて、より詳しく見ていきましょう!

電車について詳しく!

電車は、電力(電気)を外部から得て客車、貨車を引いて走る車両を言います。

電気の“電”という漢字が使われていることからも納得ですよね。

因みに日本で最初の電車は、明治28年に京都電気鉄道が琵琶湖の水力発電で得られた電気で走らせた路面電車となります。


ではこの電気のエネルギーで、どうやって走っているのでしょうか?

詳しい原理については長くなるので、敢えて簡単に解説しますが、電車は車両の床下にあるモーターを動かすことで走っています。

モーターとは日本語で「電動機」とも言いますが、電気エネルギーで回転し力学エネルギーを得る電力機器のことです。

電車の中には大きなモーターが入っていて、それが車輪を回転させて走るということになります。

では肝心かなめの電気エネルギーはどこから得るのかと言いますと、それは電車の上にある架線です。

架線というのは、言ってみれば電線と同じことです。つまり発電所から電流が流れています。

この架線から電気を得るための装置を集電装置と呼んでいて、上の画像でも紹介したような“く”の字やひし形になっていることがほとんどです。

このような集電方式のことを架空電車線方式と呼んでいます。新幹線や道路を走るトロリーバスも同じです。

架線がない電車もある?

最近では、景観を損なうという理由や建設コストの安さから、第三軌条方式という集電方式も出てきました。

これは架線やパンタグラフを全く用いないで、走行用とは別のレールを使って、そのレールを鉄道車両が擦って走ることで電気を得るという変わった方式になっています。

因みに日本では一部の地下鉄とそれに直通する路線だけに用いられていますが、欧米では地上の路線にも広く採用されているようです。

電気機関車とは違うの?

実は電車と似たような言葉として「電気機関車」というのもあるんですよ!

電気機関車とはわかりやすく言えば、電気で走る機関車となります。

では機関車とは何かと言いますと、これは客車や貨車など動力を持たない車両を動かすための鉄道車両という意味です。


「機関車トーマス」が超有名ですが、先頭の機関車に当たる部分が顔になっていて、他の車両を引っ張って動かしているということです。

実はこれまで紹介した電車というのは、各車両ごとに電気モーターがあってそれらが全て稼働することで走っているのです。

機関車とはまるで真逆な方式ですね。メリットとしては機関車に比べて加減速しやすいということですが、日本では長い間電車による長大編成の研究が進んだおかげで、世界一ともいえる新幹線の誕生に繋がりました。




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汽車について詳しく!

現在の日本では、汽車というのは主にディーゼルエンジンを動力として動く鉄道車両という意味です。

これは簡単に言えば、電動モーターで動く「電車」と区別するための通称ということです。


ただし鉄道の歴史を紐解くと、最初に誕生した鉄道車両は蒸気機関車でした。

蒸気機関車は文字通り蒸気の熱エネルギーを動力に変えて走る機関車のことです。

実は汽車の本当の由来はこの蒸気機関車から派生しました。

冒頭でも紹介した童謡の「汽車ポッポ」もやはり蒸気機関車ですよね。

この場合汽車の“汽”は、“水蒸気”や“蒸気”を意味する漢字です。改めると凄く文字通りだったんですね^^

因みに蒸気機関車のことを英語で「Steam Locomotive」と呼んで、略して「SL」となります。

日本では1872年に蒸気機関車が営業を開始しましたが、この頃は火車、岡蒸気、蒸気車などとも呼んでいました。

現在では営業用としての蒸気機関車は走っている路線はありませんが、東京ディズニーランドのアトラクションで本物の蒸気機関車が見られます♪


汽車はどこを走っている?

現在では汽車はディーゼルエンジンで動く列車ということになりますが、ではどういった場所で走っているのでしょうか?

恐らく大半の人が日常の生活で見かけるのはほぼ電車の方になります。

というより都市部を走る車両はほぼ全て電車と思ってもらってOKです。


実は電車は設備投資や費用などが莫大にかかります。これは架線を敷かなければいけないのが最大の理由ですが、そもそも地方では電車に乗る人も少ないので、積極的に路線を電化するメリットも少ないです。

では非電化路線がある代表的な都道府県と駅をご紹介します。

  • 県庁所在地の代表駅では、山口駅、徳島駅、高知駅、津駅(紀勢本線・伊勢鉄道)が非電化路線の駅
  • 島根県と鳥取県と高知県は一部を除いてほぼ非電化路線
  • 徳島県は電化路線が存在しない

何と徳島県の路線は電化された路線が一切ありません。ということは日本では、47都道府県全てで電車が走っているわけではないのですね。

因みに過去にも徳島県は電化された路線が存在しないので、歴史的にも電車が唯一走ったことがない県なのです。

こういった所でも地方との格差が見られることになりますね。

国鉄時代の名残?

これも一部の地方出身者だけになりますが、実はJR線を走る車両を「汽車」、市電(市営電車)のことを「電車」と表現する人もいます。

これは日本の鉄道の歴史に関わってきますが、地方ではJRの前身にあたる国鉄が蒸気機関車で走らせていました。

その後で中心都市では新たに電車を市電として走らせたので、こうした分け方が生まれたのです。

■汽車と電車の両方が併走する区間がある?

島根県出雲市駅の近くに、山陰本線と一畑電車が併走する区間がありますが、そこに「汽車」と「電車」の文字が点灯する警報機があります。

どちらも単線ですが、山陰本線の車両が通過する際は「汽車」、一畑電車の車両が通過する際は「電車」が点灯します。

両方の文字が見られる警報器はここだけなので、興味のある方はぜひ立ち寄ってみてください!


列車について詳しく!

最後に解説するのは列車です。

列車とは一言で言いますと、鉄道の線路を走行する鉄道車両の総称です。

つまりこれまで紹介した電車と汽車も、列車に含まれるということですね。


ただし国土交通省の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令第2条13項」の定義を用いて、もっと詳しく説明するなら、

「停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両全て」

ということになります。


この言葉だとよくわかりづらいのですが、わかりやすく言いますと駅で発車準備をしていたり、駅間を走っている編成は全て「列車」です。

「旅客列車」、「貨物列車」、「工事列車」など「列車」にはいろいろな種類があります。

これに対して車庫などに引き上げる時や、出番を待つ鉄道車両のことを列車とは言いません。

電車と列車を区別することもある?

これまでの説明を振り返ると、列車は鉄道車両の総称なので電車も列車に含まれることになりますね。

しかし首都圏や京阪神など一部のJR線では、「電車」と「列車」を区別する区間があって少しややこしくなります。

具体的な例を挙げますと、

  • JR東日本の東海道本線では、列車が走行するのが「東海道線」で、電車が走行するのが「京浜東北線」
  • 横浜駅の9・10番線は列車で、横須賀線は電車

などがあります。


もともと長距離を走る非電化区間は機関車牽引の客車列車で、電車は走っていませんでした。

電車が走るのは専ら近距離を走る大都市限定の話でしたが、それらが全て電化区間として統一された後も区別が続いています。

列車がルーツとなっている区間では「列車」と呼び、電車がルーツとなっている区間は「電車」と呼んでいるということです。


こうした呼び方の分け方はあまりにも細かく難しいので、一般人はわからなくても全く支障はありません。

しかし鉄道の本職に関わる人達や鉄道マニアの間では、両者の間では信号やシステムでの違いなどもあって、しっかり理解していないとお叱りを受けます。

改めて鉄道って奥が深いんですね。

まとめ

今回は電車と汽車と列車の違いについての紹介でした。それでは改めてまとめさせていただきます。

  • 電車はモーターを動力として動く列車で、汽車はディーゼルエンジンを動力として動く列車
  • 電車は都市部、汽車は地方に多い
  • 電車と汽車の見分け方は、架線とパンタグラフがあるかないか
  • 汽車の言葉の由来は蒸気機関車から
  • 列車は電車と汽車も含めた鉄道車両の総称、ただし一部のJR区間では電車と列車を区別する

「電車か汽車かどっちだろう?」と判断に困った時は、取りあえず列車と呼んだほうがいいということですね♪

今回の記事で一歩でも鉄道マニアの領域に踏み込んでみてはどうでしょうか(^▽^)/


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