年の暮れにあたるのが12月、師走ですね。1カ月も経てば年が変わります。
年末年始は、故郷に帰ったり、海外旅行で過ごしたりする人もいるでしょうが、どこに行っても新年へのカウントダウンはやると思います。
中でも世界で最も新年を迎えるのが早い国とされているのが、キリバスです。
世界地図で見ると日付変更線のすぐ隣に位置する多くの島で構成された国ですが、実はその昔、日付変更線を跨いでいたといいます。
つまり同じ国内なのに、日付が1日もズレてしまう事態が発生していました。
一体全体どうしてそういった事態が起きていたのか、またそもそも日付変更線とは何がきっかけで設定されたのでしょうか?
さらにそのキリバスは海面上昇によって沈没の危機も心配されています。一体どんな国なのか解説していきます。
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キリバス共和国について
キリバス共和国と太平洋上に位置するギルバート諸島、フェニックス諸島、ライン諸島の一部を領土とする国家で、世界第3位の排他的経済水域を誇ります。人口はたった10万人で、首都のタラワに最も多くの人が住んでいます。
先住民が2000年前から住んでいたようですが、1500年代の大航海時代で次々とヨーロッパ人が来島し、1892年からイギリスの保護領となります、これ以降は公用語も英語になりました。
無人島が多いことから、過去にはイギリスとアメリカの両国で核実験が多数行われた経緯もあります。因みに漢字で表記すると、「吉里巴斯」となるようです。
日付変更線の間近になった経緯について
日付変更線とは、日付の更新の矛盾を防ぐために設けられた、地球の海上の経度180度に位置する直線です。
イギリスのグリニッジ天文台を通る子午線が経度0度です。ここを基準として世界各国の標準時が決められています。
そして本初子午線のちょうど地球の裏側、つまり経度180度の経線が日付変更線に当たります。
日付変更線が設定されたのは、大航海時代マゼラン一行が世界一周を終えてスペインに帰還した際に、自分たちの日付が現地のスペインの日付とズレていることから判明しました。
マゼラン一行はスペインを出発し、西周りに世界を一周しました。
西向きにずっと航海するということは、地球の自転の向きと反対の向きを行くことになります。北極側から見たら、時計回りが西回り、半時計周りが自転の向きだからです。
西側に進むほど出発地点より日の出と日の入りの時刻が遅くなり、地球を一周した時には、丸一日分時刻が遅くなることになります。
逆に地球を東向きに進んでいけば、一日分多くなります。
以上の矛盾を解決するため日付変更線を設け、西から東へ通過する時は日付を一日進ませ、東から西へ通過する場合は日付を遅らせるようにしたのです。
キリバスは日付変更線を跨いでいた?
キリバスが独立したのが1979年のことですが、独立当初は自国の領域内で日付変更線が通過していて、同国内で日付が一日ズレていてかなり不便でした。
そもそも日付変更線が陸地を通っていたら、その陸地内で今日と昨日に分かれてしまいますから、陸地を避けるように設定されています。
しかしキリバスという国は、東西3,200kmにも伸びる島国、1979年にアメリカから独立した際、フェニックス諸島とライン諸島を獲得したのですが、これが原因で国土が日付変更線を跨ぐ形となったのです。
そして1995年に日付変更線の位置を領域の東端にずらして、その不便を解消したことで世界一早く一日を迎える国となったのです。
下の図のように日付変更線が、キリバスを避けるように東に大きく描かれているのはこのためです。
キリバスは多くの島で構成された国ですが、正確にいうと、ライン諸島の最東端に位置するカロリン島が最も早く一日を迎える場所です。
この変更された日付変更線の後で2000年と21世紀の新年を迎えるわけですが、その際にミレニアムを世界で最初に迎えることを記念して、カロリン島では年末年始に多くの外国人観光客が来て賑わいました。
島の名称もそのイベントを記念して、「ミレニアム島」と改名されました。
サモアは特殊?
実はキリバスの南に位置するサモアも、日付変更線の位置の変更に絡んだことがあります。
サモアはサモア諸島にある国ですが、その西側はサモア独立国(「西サモア」ともいう)、東側がアメリカ領サモア(「東サモア」ともいう)と分かれておりまして、2012年に西側のサモア独立国が、オーストラリアとの貿易の関係上、それまで日付変更線の東側にあったのを、西側へと移しました。
仮に日付変更線の東側のままだと、オーストラリアとは約一日もズレています。船で貿易する際は、日付変更線を跨いだほうが日数もかからないわけですが、その度に日付を変更しないといけなかったので、相当不便だったのです。
この変更が認められたのは、西サモアだけで、アメリカ領の東サモアはアメリカとの貿易の関係上日付変更線の東側のままになっています。
昔の人が勝手に定めた変更線で苦労するだなんて、はた迷惑だな
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国土の半分が水没の危機?
近年の温暖化の影響なのか、海面上昇がキリバスに深刻な影響をもたらしています。
キリバスは海抜の低い島が多いために、国土の半数以上が水没の危機にあるというのです。
2007年には同国の大統領が日本の読売新聞のインタビューで、「もはやキリバスの水没は免れない。」と明言し、全国民の他国への移住計画を発表しました。
2014年2月にはフィジーの大統領が、もしもキリバスの国土が水没したら、キリバスの全国民をフィジーに移住させる用意がある旨を正式に発表しました。
しかしキリバスの近くにある島国のツバルも、キリバスと同様水没の危機があると騒がれていますが、ツバルの水没や海面上昇は大潮や洪水被害によるものであったり、島自体が沈下しているのでないかという推測もされています。
一概に温暖化でと結論付けるのは早いかもしれません。
詳しくは以下の記事を参考にどうぞ!
キリバスが水没する原因は温暖化?国が沈む理由の嘘、本当
1月1日に世界で一番初日の出を拝みたいという方はぜひキリバスに足を運んでみてください♪
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