ナショナリズムの意味について

アメリカのトランプ大統領の誕生で世界中が保護主義に向かうのではという見方が広まっています。

またトランプ大統領は移民制限などを政策で過剰なナショナリズムを煽っているとも言われていて、そのナショナリズムに刺激された人たちが主な支持者となっているようです。


政治用語としても度々出てくる言葉のナショナリズムとは改めてどんな意味なのでしょうか?また愛国心とはどう意味が違うのか、過去の歴史なども振り返りながら解説していきます。




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ナショナリズムってどんな思想?

ナショナリズムの意味

ナショナリズムとは英語でNationalismと書き、日本語の意味では「国家主義、民族主義;愛国心」となります。

分かりやすく言えば、国民の統一・独立・発展を求める思想や運動のことです。


人種や民族が多様なアメリカでも、戦争などの際には一丸となってアメリカ国民という意識が高まるというのはナショナリズムの好例です。また日本の近隣諸国の中国や韓国などで反日感情が高まっているのも一種のナショナリズムと言えます。

愛国心(パトリオティズム)との違いは?

ナショナリズムと似たような言葉で混同しがちなのが愛国心です。しばしばナショナリズムは過剰な愛国主義や自国中心主義を表す言葉して批判的にも用いられています。

愛国心とはその名の通り「自分の国を愛する心」のことで、社会共同体としての郷土への愛情を指し示す言葉でナショナリズムとは全く違うものです。

ナショナリズム自体の意味は国民・国家を維持・発展させていこうとする政治信条のことで、確かに愛国心と似ていますが、極端に行き過ぎた自国中心的、排他的な主義・思想と言うのはエスノセントリズムと呼ばれます。


そもそもナショナリズムを否定していては国家は存続できません。現在日本は多くの国と外交していて、多くの国と貿易をしています。他国の産業の発展に日本は多大な貢献をしてきた経緯がありますが、それはいずれ自国への利益にも繋がる、すなわちリターンがあるからです。

貿易交渉などでもそれぞれの国は国益のことを優先します。国益が著しく損なわれるようでは国家の発展ができないので仕方のないことですが、それが極端な例として言えるのが、TPP離脱を表明したトランプ大統領の誕生と言えます。




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ナショナリズムの歴史

ナショナリズムの理念は大昔からありましたが、それが勃興したのがフランス革命の時です。これまでの身分制社会の構造(アンシャンレジーム)を解体するに至ったフランス革命を引き継いだナポレオンの活躍で、自由で平等な社会が理念各国に広まっていきました。

ただしナポレオンの失脚後は、ヨーロッパ各国で君主が革命の再発を恐れてウィーン体制を構築し、ナショナリズムの抑圧を図るようになります。

この時代でヨーロッパで広まったナショナリズムはあくまで国民国家の形成、自由主義と言った理念と結びつくものでしたが、20世紀初頭にかけて広がったナショナリズムは植民地支配された地域や国の民族独立運動へと発展していきます。

多くの小国がナショナリズムに駆られて独立運動を加速させていくことになり、国家同士の衝突と言う形になって、第一次世界大戦の引き金ともなりました。


このようにナショナリズムは旧来のヨーロッパ諸国で起きた自由・平等・人権などを発展させるための運動(西欧的ナショナリズム)と、植民地支配に対抗するために生まれた抵抗の倫理(非西欧的ナショナリズム)の2種類に分類されるということになります。

ナショナリズムの発展で帝国主義が崩壊!

ナショナリズムが発展して第一次世界大戦が勃発することになりましたが、この戦争中にロシアで社会主義革命が起きてロシア帝国が崩壊、さらにドイツやオーストリア、オスマン帝国などが敗戦国となります。

その後のパリ講和条約で、アメリカのウィルソン大統領が1つの政治理念として民族自決を掲げました。

多くの小国のナショナリズムに配慮した姿勢をとって、諸民族の独立を承認したことになります。


この民族自決の理念は現在の国連憲章にも引き継がれていて、1960年の国連総会で「植民地諸国、諸人民に対する独立付与に関する宣言」においても認められ、その後の植民地の独立運動がさらに加速することになります。

現在の社会では植民地支配されている国々もほぼ全て独立を果たしていますが、それでも少数民族の自治権や領土問題などが解決していない地域は世界中で多くあって、それぞれの地で紛争が絶えないのが現状です。

国際連合

まとめ

ナショナリズムの意味と歴史、さらに愛国心との違いについて解説していきました、参考になりましたら幸いです。

日本でも安倍総理大臣による憲法改正への意欲を示す動きを見せていて、徐々にですがナショナリズムの高揚が起きているようです。世界中が右傾化していると言われていますが、このままの流れが本当に続くことになるのか、健全な愛国心についてしっかりと理解が広まってほしいものです。

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