今回のテーマは半導体の構造についてです。

半導体とはご存知多くの電化製品のコンピュータを構成する部品で使われています。もはや現代生活に欠かせない部品となっていますが、大学で工学部に所属していた学生は必須科目として半導体、集積回路工学を学ぶことだと思います。

しかし半導体の細かい性質や原理、応用した部品などは非常に難しい内容です。半導体から発展したダイオードやトランジスタ回路というのは、高校までの授業で習ったオームの法則なんていう単純な計算式では解決できません。物質の電子の動きや性質、エネルギー準位など覚えることが多いです、高校の授業でも半導体について導入した方がいいんじゃないでしょうか?

レポートに悩む大学生

特に筆者が頭を悩ませたのは半導体のn型とp型の違いについてです。このn型とp型の性質の違いをよく理解できないまま講義が進んでいったので、テストの時には過去問の答えを丸暗記して無理矢理単位をとったような感じでしたね、今考えたら凄くみっともない勉強法です。

そこで今回は半導体のn型とp型の違いについて、筆者なりに簡単に図を使って解説していきます。工学部系の学生なら絶対に習う内容となるので、ぜひ参考にしてみてください!




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半導体の結晶構造とは?

電気の流れやすさは物質によって決まっていて、導体、半導体、絶縁体に分けられます。

金・銀・銅といった金属は電気を通しやすい導体の代表例で、ガラスや天然ゴム、プラスチックなどは電気を通しにくい絶縁体に分類されます。(ただし有機ELのように絶縁体の中にも電気を通すものが発見され始めています。)
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半導体とは導体にも絶縁体にも分類されず電気の流れやすさもその中間と言った所です、代表的な物質としてシリコンやゲルマニウム、鈴などがあります。

そもそもなぜ物質によって金属の流れやすさが異なるのか?

それは化学の授業でも習った自由電子の数が違うということにあります。自由電子とは主に物質において電気伝導を担う電子のことで、この自由電子が多く存在するか否かがその物質の電気の流れやすさと言うことに繋がります。

金属の場合はこの自由電子の数が非常に多く、1立方メートル当たり10の28乗個という膨大な数になっていますが、多くの半導体では金属の1000分の1~1億分の1程度しかありません。

 
では半導体ではどうして自由電子の数が少なくなるのか?

多くの半導体で用いられているのはシリコンという物質ですが、シリコンは4個の価電子を持っています。

これも学校の化学の授業で習う内容ですが、価電子と言うのは原子の一番外側にある電子のことです。これが他の元素と結合する際には4本の手をがっちりと結んだ構造になります。下の図がシリコンの純粋な結晶のモデルですが、見てわかる通り1つの原子に対して、4つの手が伸びて隙間なく並んでいるのがわかります。

シリコンの結晶モデル

このような構造になっていると結晶内を自由に動き回る自由電子が存在できず、電流を流すことができません。純粋なシリコンの結晶構造では電気がほとんど流れず絶縁体とほぼ同じという状態になってしまいますが、ごく少量の不純物を加えることで事態が大きく変わります。

この不純物には2種類ありますが、1つが電子を供給するドナーのような役割を担い、もう一つが電子を奪うアクセプターの役割を担う性質を保持していて、それぞれn型・p型半導体と呼んでいます。

n型半導体

シリコンに不純物としてリン原子を混ぜた(またはドーピング)ものをn型半導体と呼びます。

シリコンの価電子の数が4つなのに対して、リン原子は5つなので、余分な電子が1つ生まれます。リンが電子を提供、すなわちドナーしているということです。この余分な1つの電子が結晶中を移動することで、以下の図のように電流が流れるという仕組みになっているのです

n型半導体のモデル

p型半導体

シリコンにボロン原子をドーピングしたものをp型半導体と呼びます。

ドーピングされたボロン原子の価電子の数は3つなので、n型半導体とは対照的に電子が1つ足りないという事態になります。この場合は近くの原子が持っている電子を1つ奪ってシリコンと同じ電子配置となることで全体の安定を図るわけです。

ボロン原子が電子を受け取る、すなわちアクセプターの役割を担っているわけです。すると結晶中には自由電子が不足した状態の穴ができることになり、外から電界をかけてやれば、電子不足の穴(正孔)が、電子の動きと逆の向きに移動することになります。

p型半導体のモデル




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半導体ダイオードの特徴を解説

半導体で欠かせない技術の一つとしてpn接合というものがあります。これはその名の通りn型半導体とp型半導体を合わせて作ったものになりますが、特徴としてはp型からn型に向かう方向にだけ流れる電流を発生させる整流作用があることです。

なぜp型からn型にしか電流が流れないのか、それについて電圧のかけ方を2通りに分けて解説していきます。
 

順バイアスの場合

p型をプラス極に、n型をマイナス極に繋いだ状態で電圧をかけた時を順バイアスと言います。

順バイアスの場合では、p型の中の正孔はマイナス極に、n型の中の電子はプラス極に引かれてそれぞれ移動するので、下の頭のように接合部に正孔と電子が集まってきます。

pn接合の順バイアス

プラス極付近では電子がp型半導体から導線に移動するので新しい正孔が作られて、マイナス極付近では電子がn型半導体に電子が供給されます。このような感じで全体としては、pn接合を含む回路に電流が流れ続けることになります。
 

逆バイアスの場合

p型をマイナス極に、n型をプラス極に繋いだ状態で電圧をかけた時を逆バイアスと言います。

順バイアスの時とは逆の向きで電圧をかけたわけですが、この場合はさっきとは正孔と電子の動きの向きが逆になって、それぞれが電極の方向に引かれて移動していきます。

pn接合の逆バイアス

接合部付近には電気の担い手がいなくなってしまいます、要するにシリコン単結晶とほぼ同じ状態になるので絶縁体となります。

 
もしpn接合に電流の向きが周期的に変化する交流電圧を加えたら、順バイアスの時だけにしか電流が流れません。これは交流を直流に変換するということと同じなので、整流器として応用できます。

 

まとめ

半導体のn型とp型の違い、及びn型とp型を合わせたpn接合についての解説でした、参考になりましたら幸いです!

特に半導体のpn接合は太陽電池にも用いられている技術です。太陽光発電の需要は今後伸びていく可能性は高いので、半導体関係の知識を大学時代にしっかりと叩き込めればいろいろな面でお世話になることでしょう。

 

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