オリオン座

冬の星座の代表格として知られるオリオン座ですが、そのオリオン座を構成する代表的な一等星がベテルギウスという恒星です。冬の大三角形を構成する恒星としても知れて、非常に明るく観測しやすいですが、その大きさは何と太陽の1000倍と言われています。

ところがここ最近になって信じられないような噂が囁かれています。

なんとオリオン座のベテルギウスが近い内に爆発して消滅するのでは?と言われているのです。にわかには信じがたい噂ですが、なぜこのようなことが囁かれているのか、ベテルギウスがどんな恒星でなぜ爆発寸前と言われているのかを詳しく解説していきます。




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オリオン座のベテルギウスはどんな恒星?

冬の大三角形と大六角形
冬の大三角形と大六角形

ベテルギウスとは冬の星座で有名なオリオン座の一等星の一つです。おおいぬ座のシリウスとこいぬ座のプロキオンとともに冬の大三角形というアステリズムを構成しています。冬の大三角形については以前当ブログでも記事にしているのでぜひご覧ください。
冬の星座のお話 大三角形とダイヤモンド、絶好の観測スポットは?

天文学的に詳しく解説しますと、ベテルギウスは恒星の中でも赤色超巨星に分類されます。赤色超巨星とは直径が太陽の数百倍から1000倍以上のサイズで、明るさも太陽の数千倍以上を誇る恒星のことです。

ベテルギウスの直径は太陽の1000倍で、仮に太陽と同じ位置にベテルギウスがあったとしたら何と木星の近くまで達するそうです。非常に明るい恒星で観測しやすいですが、その見た目の大きさ(視神経)を正確に測ると、400km離れたところに置いた野球ボールと同程度だそうです。
 

ベテルギウスを観測するには?

観測したいというのであれば、ベテルギウスはオリオン座の恒星なので冬にしか観測できません。

方角で言えば南の空になりますが、やや赤みがかった色で輝いていて、すぐ下にオリオンの帯(ベルト)という3つの恒星が連続で並んでいるのが目印です。晴れている夜空なら肉眼でも観測はしやすいです。
 

ベテルギウスの超新星爆発が起きると言われる根拠は?

ベテルギウスを始めとした質量が大きい恒星は、その一生を終える時に大規模な爆発を起こします。

質量が大きいため密度が小さく中心核で核融合反応が加速して重い元素が次々と作られていきます。最終的には安定した鉄が生成されることで核融合反応がストップし、それ以降は重力収縮しながら温度が上がっていきます。

中心部の温度が100億度を超えると鉄の光分解という吸熱反応が起きて、中心核の圧力が急激に下がり重力崩壊を起こします。その反動によって生じた爆発が超新星爆発です。

超新星爆発を起こした恒星はそれまでよりも1億倍の明るさになって数週間、銀河全体と同じ明るさで輝くこともあるそうです。古くは2世紀頃の中国の書物でもその記録が残っていて、夜空に突如明るい星が出現して輝きだしたことから、まるで星が新しく生まれたように見えるのでこのような名前が付けられました。

 
このような超新星爆発を起こすのは太陽よりも質量が8倍以上も大きい恒星限定の現象で、質量が太陽と同程度の恒星は最終的には白色矮星という形態になります。ただし太陽が白色矮星となるのはあと50億年後だそうで、恒星の中でも寿命は長めです。

逆にサイズや質量が大きければ大きいほど寿命が短くなるのが恒星の特徴です。人間でも肥満体型を放っておくと生活習慣病になったりしますが、それとなんとなく似ていますね。

既にベテルギウスは1000万年前に主系列星の段階に入ったとされていますが、2009年の観測では15年前の測定時と比べてサイズが15%小さくなっているようです。それも加速度的に収縮しているみたいで、2010年のNASAの観測でベテルギウスが変形していることが示されました。

この観測結果が根拠となってベテルギウスの超新星爆発が間近に迫っていると言われているのです、因みに超新星爆発を起こした後ベテルギウスは中性子星となるとみられています。




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爆発する時期はいつ頃?

ベテルギウスの爆発する時期はいつ頃なのか?現在の観測結果からわかることはベテルギウスは内部からガスが流出し表面温度が不均一になっている状態にあるということです。

これは恒星が超新星爆発を起こす前兆ではないかと言われていますが確実な証拠ではないようです、それでもベテルギウスは誕生から既に1千万年以上経過していて恒星としては終末期にあります。

 
また時期に関して注意すべきなのはベテルギウスとの距離です。ベテルギウスは太陽から642光年離れた位置にある恒星です。仮に今ベテルギウスが爆発したとしてもその瞬間を我々が見ることができるのは642年後ということになります。
 

ベテルギウスが爆発した時の地球への影響は?

恒星が超新星爆発を起こすと、強烈なガンマ線が大量に放たれます。このガンマ線の威力はかなり凄いようで、爆発した恒星から半径5光年以内にある惑星に住んでいる生命体は絶滅し、25光年以内に住む生命体も半数近くが死に絶えて、50光年以内の惑星ですら壊滅的な被害は免れません。

ガンマ線は放射線の一種なので大量に降り注ぐと生命体が住める環境ではなくなります。

仮にベテルギウスが爆発したとしたら地球との距離は約642光年もあるので、ガンマ線の威力は弱まってさほど影響は出ないとされています。オゾン層が多少傷ついたりすると言われていますが、間違っても生命が絶滅するなんていう事態にはならないでしょう。

 
しかし星座の観測という点では大問題となります。ベテルギウスが超新星爆発を起こしますと、100倍以上の明るさになって今よりもさらに観測しやすくなります、極端な話昼間でも観測できるかもしれません。

ただしその明るさはそう長くは続かないそうで、急速に減光して4年後には見えなくなるであろうと言われています。仮に既に爆発しているとしたら、本当に近い将来見えなくなるかもしれません、そう考えると少し寂しいですね。

 
ベテルギウスが既に爆発しているのか、もしくは爆発するのはまだ先のことなのかわかりませんが、宇宙全体のスケールで言えばベテルギウスが爆発するのは時間の問題と言えますね。
 

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