現在大ヒット公開中のアニメ映画『君の名は。』が興行収入200億円を超えたことが話題になっています。

因みにこれまでで興行収入最大の日本の映画はスタジオジブリの『千と千尋の神隠し』で308億円ともはや金字塔のような数字となっています。

 
アカデミー賞も受賞していて海外からも人気が高いアニメで、これまでに何度も日本テレビの金曜ロードSHOWで地上波放送されていて、特に第1回目の放送となった2003年1月の放送で記録した視聴率は、何と46.9%という数字です!

この数字は過去にテレビ枠で放送された劇場映画の中ではもちろん最高の数字で、最近の紅白歌合戦並みの視聴率となっています。いかに人気が高いかわかると思いますが、なぜここまでの大ヒットになったのか解説していきます。

また前回『千と千尋の神隠し』について都市伝説やモデルとなった場所などを記事にしたのでそちらもどうぞ!

千と千尋の神隠しのモデルとなった場所は? 都市伝説や様々な考察など




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大ヒットの要因は?

興行収入は308億円、観客動員数は2300万人超えと大ヒットとなりましたが、これは日本で過去に公開された映画で1位の記録です、

(因みに2位がハリウッド映画の『タイタニック』で262億円です。)

 
何故ここまでの大ヒットになったかというと、プロデューサーの鈴木敏夫さんの提案で、前作の大ヒット映画の『もののけ姫』よりも宣伝の量を倍にしたことが要因の一つと挙げられます。

それまで嫌っていたコンビニエンスストアのローソンとも初めてタイアップして本格的なキャンペーンを展開し、全国7000の店舗で大々的に告知し、32万枚の前売り券を売り上げたことと、またジブリの宣伝チームもローラー作戦をかけて、通常であれば行かないような小さな地方の町まで訪れたこともあったそうです。

 
さらに『もののけ姫』のヒットで1400万人を超える新規顧客を開拓していたことと、その当時全国的に普及したシネマコンプレックスで、人気作品を映画館の複数スクリーンで上映できる体制が整ったことも大ヒットの要因に挙げられます。

シネマコンプレックス

 
そして主人公が子供で、宮崎駿さん自身も全体的には子供向けに作ったと語っています。それまでに大ヒットした映画も大衆向けとなっていますが、

基本的には大人が見て楽しめるような内容で、なかなか子供が素直に喜べるような映画は少なかったと言えます。前作のスタジオジブリの作品『もののけ姫』も大ヒットしましたが、どちらかといえば大人向けです。

ところがこの映画に関しては子供だけでなく、親が見ても楽しめるような非常に深いメッセージも込められていて家族みんなで楽しく見れる内容となっています。それ故家族で何度も見た人が多いのも興行収入が伸びた要因と言えるでしょう。

ただしあまりにも大ヒットしたため、他の上映作品も次々と『千と千尋』に差し替わって悪影響を及ぼした一面もあります。

 
興行収入300億円は、1年で公開される邦画の収入を全て合計した数字に匹敵するので、いかにこの映画の大ヒットが凄いかを物語っていますね。

もちろん数字だけでその映画が面白いか否かを判断するのはいかがなものかと思いますが、1年前に公開された映画『君の名は。』も興行収入200億円を突破していて、海外からも高い評価を得ているようです。

 

湯屋はジブリと一緒? 企画の原点はキャバクラ?

この物語の主な舞台となっているのが、千尋が働く湯屋という温泉旅館です。この湯屋の勤務時間は夜となっていますが、実はスタジオジブリ自体も夜の勤務が多い点が共通しています。

さらに時々外出して遠くに飛んでいく湯婆婆も劇中で描かれていますが、これはジブリで言うと鈴木プロデューサーが会議や出張などで頻繁に外出する様子を重ねているそうです。

 
また宮崎さんが過去にみたペルーの少年労働を題材にしたドキュメンタリー映画も影響していて、子供が労働する過酷な社会が存在するという悲しい事実があるということを世に知らせるため、千尋という少女が労働するストーリーを描いたとも語っています。

 
そしてこの物語の着想の源として有名になっているのが風俗業だということです。実際鈴木プロデューサーの述懐によれば、この映画の企画の原点にあるのがキャバクラで働く女性像だと語っています。

キャバクラで働く女性は客として来る男性と会話をしなければいけませんが、中には話すのが苦手だったり人見知りでうまくコミュニケーションがとれないキャバ嬢もいるのです。

千と千尋の元ネタ

 
しかしお金を稼ぐため、生活するためには避けては通れない道なので必死で会話術をマスターして明るく振舞いはじめ、元気を取り戻していく女の子も多いというのがまさに主人公の千尋と置かれた状況と被っています。

 
また劇中で千尋が神々を湯船に招いて入浴させるという案も、実際の日本で行われている伝統行事から着想を得たそうで、静岡県や長野県、愛知県の一部の地域では、「霜月祭」という神々を招いて湯を浴びさせるという神事が毎年行われているそうです。




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没になった案や設定とは?

プロデューサーの鈴木敏夫さんの話によると、当初の構想では湯婆婆を倒して、その後に黒幕である銭婆を倒すという構想になっていたそうです。

 
銭婆は物語の後半で千尋を助けてくれる安らぎ的なキャラでしたが、まさか180度もキャラ設定が異なっていたとは驚きですね。ただこの設定だとボリュームが増えて3時間以上の内容になると判断して、結局没になり、カオナシを重要なキャラとして設定して再構想することになりました。

 
またそのカオナシも当初の案ではまるで違うキャラのようです。

『千と千尋の神隠し』カオナシの初期イメージはイケメン風な佇まい!

 
上のページでカオナシの初期案が載っていますが、髪のようなものも生えています。ちょっと悪趣味かなって思うデザインですね。因みに本当の脇役だったようで、当初は”橋の上にただ立っている謎の存在”みたいな設定のようでした。

 
宮崎さんは「カオナシは不安定な存在、自分の居場所が欲しい」と語っていて、居場所がないと不安になるという人間誰しも抱く感情という見方もできるそうです。

また鈴木敏夫さんの話によると、同じくジブリに所属していた米林宏昌監督がカオナシのモデルと言われていましたが、後に本人によって後付け設定だと否定されました。

その米林宏昌監督による最新作『メアリと魔女の花』が今年の夏に公開予定です、この作品も楽しみですね。

 

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