宇宙の大きさはどのくらいなのでしょうか?
一言でこういった質問をされてもうまく答えられないでしょう。
宇宙の大きさと言うのは一様に定まっているわけではなく常に膨張し続けているみたいです。これがいわゆる膨張宇宙論というものですが、本当に宇宙は膨張しているのか、その根拠は一体何なのか?アインシュタインの相対性理論も交えて解説していきます。
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宇宙の誕生から137億年! 進化の歴史を紐解く!
宇宙は誕生してから137億年経過していると言われています。137億年と言ってもピンときませんが太陽が誕生したのが46億年前で地球もほぼ同じ時期にできたとされています。
つまり宇宙は地球の3倍以上の年齢だということです。
宇宙は137億年前にビッグバンと言う大きな爆発によって誕生したというお話は有名ですね、ビッグバン宇宙論と呼ばれる説ですが、この理論で考えられた宇宙は実際の宇宙の姿と照らしてもかなりの一致を見せています。
- 宇宙の始まり
- 10万分の1秒後
- 3分後
- 30万年後
- 10億年後
- 現在(137億年後)
ビッグバン直後全てのエネルギーが数mm大きさの中に詰め込まれた、火の玉宇宙の状態。
宇宙の膨張につれて温度が下がり、電子・陽電子・クォーク・フォトンなどの素粒子が生まれる。
素粒子が次々と結合、原子核が生まれる。
宇宙がさらに冷えて原子が生成される、自由電子がなくなり、光は直進できるので、宇宙は晴れ上がる。
重力のゆらぎによって物質が集まる場所ができ、原子銀河や銀河団が形成される。
宇宙は膨張を続け、星も生まれ続けている。
ビッグバン理論の問題点としては宇宙の全質量が閉じ込められた1点である特異点から始まったことになっていて、この密度無限大の1点が何なのか、どのようにして始まり、それ以前は何があったのかについての問題点は現在のところ回答を出せていません。
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膨張宇宙論の発端は一般相対性理論
1917年に宇宙の研究に着手し始めたアインシュタインですが、彼が計算した宇宙方程式の結果で意外なことに宇宙は自重で潰れてしまうという結論が導き出されました。
これでは静的な宇宙空間になれないので、アインシュタインは重力に打ち勝つ万有斥力というものがあれば宇宙を静的なまま保つことができると考えました。
(因みに現代の宇宙論では、この万有斥力に相当するのが暗黒エネルギーとされています。)
そして同じ年にオランダの天文学者ウィレム・ド・ジッタ―によって、物質が何もない空間と言う別の観点から研究されました。彼が得た結論は宇宙は自分自身の持つ物質によって膨張し続けるという驚くべき結論でした。
これはアインシュタインが最初に導いた結論とは真逆のものでしたが、この膨張宇宙論は1929年のハッブルの観測によって裏付けられることになります。
ハッブルが利用した方法は、銀河から放出される光のスペクトルの分析でした。ケフェウス型変光星に着目して20程の銀河の距離を測定した結果、銀河のスペクトルの赤方偏移が距離に比例して大きくなることを発見したのです。
赤方偏移とドップラー効果の関係とは?
赤方偏移とは光を発する光源が観測者に対して遠ざかっている時に、その光の波長が長い方にずれるので赤みがかって見えるという現象です。観測した銀河の色が赤みがかっているということは、赤い色の光を出しているということです。
逆に近づいてくる銀河から観測される光の色は青みがかって見えるということになります。
この現象は身近でも観測できるドップラー効果と共通しています。
ドップラー効果はパトカーや救急車のサイレンで身近に体験することができますね。近づいてくるときには高い音になりますが、遠ざかってくるときには低い音になります。
これは音の波長が近づいている時には短くなって、遠ざかる時には長くなるということを意味しています、光の波長でも同じことが言えるのです。
さらにハッブルは銀河のスペクトルの赤方偏移は距離に比例して大きくなることを発見したわけですが、これは遠くにある銀河ほどより速いスピードで遠ざかっているということを意味しています。
この銀河速度と距離の関係は後にハッブルの法則と呼ばれるようになり、この理論によって宇宙が膨張しているという説がより強力なものとなりました。
宇宙の未来はどうなる?
さてこれまでのお話しで宇宙が膨張しているということがわかったわけですが、気になるのは宇宙はこのままずっと膨張し続けるのか?それともいずれ収縮していくのか?という疑問です。
宇宙が膨張し続けるにはビッグバンの際に生み出されたプラスの運動エネルギーが、物質の質量によって生み出されるマイナスの重力エネルギーよりも大きいことが条件です。
すなわち運動エネルギーが大きい場合は宇宙は永久に膨張を続け、反対に重力エネルギーが大きい場合はいずれは収縮に転じるということです。
この2つのエネルギーが均衡する場合は打ち消し合うということなので、膨張は続けていてもいずれは膨張の速度がゼロに近づいて平坦な宇宙となります。
宇宙の未来に関しては、重力エネルギーの方が優勢なのでいずれ膨張速度を落とし収縮に転じる、という考えが昔は一般的で多くの科学者が支持していました。
ところが1998年に膨張速度を観測した研究グループが、宇宙は誕生してから70億年頃から加速膨張が始まったと発表して未来モデルを書き換えることになりました。この加速膨張の力の原動力が暗黒エネルギーと呼ばれている物ですが、暗黒エネルギーの増加が引き続き加速され続けてやがれ無限大になると、宇宙は素粒子レベルまでバラバラに引き裂かれるという仮説もあります。
このように宇宙の膨張とそれが続く範囲に関してはいろいろな説があるようで、現在の科学力では果たしてどこまで宇宙が膨張し続けるのかもわかりません。
これに関しては暗黒エネルギーの正体が何であるかを突き止める必要があると言えます。そもそも存在するのかどうかもわからないですが、ここまで来ると本当に神の領域に入りそうな勢いですね。
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