昨今は「将来の夢は公務員!」という若者が増えているそうです。
しかし公務員には大きく分けて二種類あります、地方公務員と国家公務員の2種類です。
やはり公務員と聞きますと高待遇や安定した職場環境、というイメージが付きまといます。
昨今でも省庁に勤める事務次官が退職した際に、5000万円以上の退職金が支払われたというニュースがありましたが、正直もらい過ぎな感は否めません。
もちろん大部分の人はお金というより、日本という国をもっと良くしていきたいという高い志を持っている人だと思うのですが…
地元愛が強い人であれば地方公務員を選んで地元の役場や県庁の職員に就いて安定した公務員人生を満喫するのもいいですが、本当に日本を良い国にしたい(というかさらに安定した生活を目指す)人であればやはり国家公務員ですね!
そこで今回は地方公務員と国家公務員の待遇の違い、主に年収の差について深く解説していきます。
これから公務員試験の合格を目指す方はぜひ参考にしてください!
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国家公務員と地方公務員の年収の差は?
国家公務員と地方公務員の年収の差はいくら?
と聞かれたら基本的には国家公務員の方が高い、ということになります。
細かい計算は省きますが、平成28年度の国家公務員全般の平均年収はおよそ670万円で、地方公務員全般の平均年収はおよそ590万円となっています。
※地方公務員の平均年収は、総務省が公開している「平成28年地方公務員給料実態調査結果等の概要」より算出
何となく地方よりも国家の方が偉いから国家公務員の方が高いんじゃない?
と安直なイメージを持っている人も多いですが、そのイメージ通りやはり国家公務員の年収の方が高いのです。
ただしことはそう単純な話ではありません。
なぜなら国家公務員には様々な職種があり、地方公務員はそれこそ地方によってバラつきが激しいからです。
国家公務員の職種だけ見ても、霞が関の職員や国税専門官など地方の機関で勤める人もいれば、外国で勤める大使だって含まれます。
また地方公務員だと各都道府県別で財政状況は異なりますから、やはり年収はかなり差が出て、中には国家公務員並みの年収に匹敵する自治体もあります。
では次の章からは国家公務員と地方公務員について、それぞれ詳細に解説していきます!
国家公務員の年収について解説!
まずは国家公務員の年収について解説していきます。データに関しては主に人事院が公開している「平成28年国家公務員給料等実態調査の結果」を基に算出しています。
ざっくりとですが、一般的な国家公務員の行政職の平均月額給料はおよそ33万円前後と言われています。
これだけ聞くと一見低そうに見えるかもしれません。ただ国家公務員と一言で言いましても、その職種は多岐にわたります。
そこで国家公務員試験で人気の高い以下の6つの職種に絞って、それぞれの年収を紹介していきます。
- 1府12省庁の職員
- 裁判所職員
- 国税専門官
- 労働基準監督官
- 財務専門官
- 国会職員(衆参両院)
一般的に官僚と言われる人達は1府12省庁(いわゆる霞ヶ関)に勤める職員を指します。
試験区分で「一般職」と「総合職」に分かれていますが、後者の試験を突破した東大卒や京大卒と言った超エリート集団のことです。
そんな彼らの平均年収は各省庁で中枢的な人材となるので非常に高くなります。40歳前後ですと、
850万円
です、やはり高い!
この内賞与(いわゆるボーナス)が約200万円前後(夏と冬合わせて)支給される形になります。
因みに賞与に関しては公務員の場合は『期末手当・勤勉手当』という名称で扱われています、これは地方公務員も同様です。
もちろん当記事ではこの賞与も含めた年収で比較していきます。
これだけ聞いても凄く高いですが、実は出世して役職が上がればそれ以上に増えていきます。
「国家公務員の給与(平成30年版)」(内閣官房内閣人事局)を参考にしたところ、最も位の高い事務次官クラスになると平均年収は約2400万、次に高い本府省局長で約1800万円、3番目に高い課長で約1250万円!
年齢で見ますと概ね50歳以上となりますが、基本的に公務員は年功序列制です。
ここまで出世して初めて1流企業以上の勝ち組と言えるでしょう。
マスコミで盛んに「国家公務員の給料は高い!官僚の給与をカットしろ!」と取り上げられますが、確かにちょっと高すぎますね。もちろんごく1部の人達だけなんですけど(;^^)
国家公務員で普通の行政職はそこまで高くない?
ここまで紹介した国家公務員が、通称官僚と言われる国の政治に直接的に携わるような人達でした。
国政に関与するという点で、一般的な行政職に比べても遥かに高いことが伺えます。
しかし国家公務員と言いましても、地方の出先機関で務める人も少なからずいます。国家公務員試験区分で「一般職」を合格した人は、各府省庁が管轄する地方の機関に勤めることが多いです。
基本的に国家公務員で一般の行政職と言えば、彼らのことを指す場合が多いです。
またこれ以外にも以下に紹介する職種が代表的な地方で務める国家公務員となりますが、やはり総じて官僚組より低いですね。
※全て35歳前後での平均で課長以上の級は除きます。
- 裁判所事務官:約530万円、ボーナスは120万円
- 国税専門官:約650万円、ボーナスは160万円
- 財務専門官:約650万円、ボーナスは160万円
- 労働基準監督官:約590万円、ボーナスは150万円
- 国会職員:約600万円、ボーナスは150万円
高いのは国税専門官と財務専門官、税関と税務のスペシャリストですが専門性が高い仕事なだけにやや高めに設定されています。
全体的に言えるのは上に挙げた5種類の国家公務員は、地方公務員とそれほど変わらないということです。違いは国からお給料が振り込まれるかどうかです。
また以下の職業も一般的に国家公務員ですが、あまりにも高給取りであることからこの記事では除外しますね(;^^)
- 内閣総理大臣
- 最高裁判官
- 国会の議長
- 国会議員
- 大使館に勤める大使
- 警視総監
もちろんこの中で断トツで高いのは内閣総理大臣で、その平均年収は約3000万円!!
ただこれでも東日本大震災で給与カットされるようになる前よりかは低いようです。
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地方公務員の年収について解説!
続いて地方公務員の年収について解説していきます。データに関しては主に総務省が発表している「平成28年地方公務員給料実態調査結果等の概要」を基に算出しています。
地方公務員の中でも最も我々の生活に身近なのが市役所に勤める職員でしょう。
その職員の平均月額給料は33万円前後で、所得税や社会保険料などが差し引かれるので手取りは25万円くらいになります。
一流の企業に勤めるサラリーマンよりも低いと言えます。
地方自治体の役所の職員になったからと言って勝ち組とは言えないです。ましてや初任給は手取り17万円前後くらいに落ち着くので、最初から贅沢なんかできませんよ。
ただし市役所に勤める職員もそうですが、各都道府県に県庁に勤める職員もそれに該当しますし、東京都特別区の職員も該当します。
主な地方公務員は以下に示す5種類となります。
全て35歳前後の行政職で大卒・短大卒・高卒の3つの学歴枠を全ての平均値となります。
- 県庁職員:約610万円、ボーナスは140万円
- 政令指定都市の市役所職員:約660万円、ボーナスは150万円
- 指定都市以外の市役所職員:約590万円、ボーナスは130万円
- 町村役場の職員:約530万円、ボーナスは110万円
- 東京都特別区の職員:約670万円、ボーナスは160万円
ダントツで高いのが特別区の職員ですね、他の自治体に比べても100万円以上も高いです。
公務員試験の中でも特別区は出願者が非常に多く人気のある部類です。
ただし東京の場合は物価と地価が地方に比べても高いので、それを考慮すると実質的には変わらないかもしれません。
むしろ地価があまり高くない地方の政令指定都市の市役所職員の方が、相対的に高いとも言えるでしょう。
また同じ理由で県庁職員の中でも首都東京の都庁職員の年収はやはり最も高く、同年齢代で700万円は超えています。
都庁職員なら霞ヶ関の役人にも匹敵するくらいの年収額ですね。
最も低いのが人口の少ない自治体の町村役場です。これは致し方ないですが、特別区に比べても150万円近くの差が開いています。
初任給だと手取り年収は200万弱と言ったところです、やはり地方格差はまだまだ健在ですね。
もっと詳しく都道府県別にランキング形式で知りたい方は以下のサイトをご覧ください!
地方公務員 都道府県別年収・収入ランキング
1位はもちろん東京都ですが、意外なことに三重県が3位と大健闘していますね。
基本的に愛知・大阪・福岡・広島・神奈川・静岡・千葉・埼玉といった人口が多いor政令指定都市がある都道府県がほぼ上位に来ている形です。
ただし政令指定都市がある宮城県と北海道に関しては、30位未満と苦戦しています。
行政職以外の地方公務員の年収は?
行政職以外ですと以下の3つの職が代表な地方公務員となります。
こちらも40歳前後で大卒・短大卒・高卒の3つの学歴枠を全て含めた平均値となります。
- 消防士:約730万円、ボーナスは167万円
- 警察官:約710万円、ボーナスは157万円(大卒のキャリア組は除く)
- 教職員:約675万円、ボーナスは173万円(小中学校のみ)
となります。
ご覧のように行政職に比べると、上の3つの職種の方が総じて年収は高いですね。
特に警察官と消防士の高さは目を引きます。
もちろんこれにはちゃんと理由があって、警察官や消防士や一般の職種に比べても危険な職場で従事するための特殊勤務手当や時間外勤務、休日出勤が目立つのでそういった諸々の手当てが給料に追加されるためです。
また試験では行政職と違って専門試験はないので筆記は楽ですが、体力試験があることを忘れずに!
まとめ
最後になりますが改めて年収の差についてまとめます。
- 国家公務員全体の平均年収は670万円、地方公務員全体の590万円に比べるとやや高い
- 国家公務員の中で最も高いのは1府12省庁の職員、最も低いのは裁判所事務官
- 地方公務員の中で最も高いのは東京都特別区の職員、最も低いのは町村役場職員
- 地方公務員は自治体ごとに差があり、最も大きい自治体は東京23区、政令指定都市の市役所職員は高い傾向にある
- 地方公務員の中でも消防士と警察官は高めである
- 国家公務員も地方公務員も年功序列の影響は強く、10歳違うと150万円近くの差が開く
最近の傾向では地方と国家ではあまり差が開いていないような感じですが、総合的には国家公務員の方が高めです。
ただしリーマンショック以来続いた長い不況で、公務員といえども給料カットや人員削減の大号令がかかるるくらいです。
一昔前みたいに「公務員=安定で高収入」というイメージが崩れつつあります。
公務員で本当に安定して高収入が得られるのは、それこそ官僚クラスや東京都に勤める職員、消防士や警察官くらいでしょう。
地方格差が長く叫ばれていますが、地方の場合はその自治体の財政状況で大きく左右されます。
特に人口の少ない自治体の町村役場の職員などは、中小企業と同じような状況に置かれているようです。
諸外国に比べるとまだ高いと言われていますが、それでも国や地方の財源のことを考えるとこれ以上高くなる見込みは低いと言えるでしょう。
公務員は地方や国家のために一生懸命働く人達が多いのも事実ですから、そうしたことを忘れて安易に「公務員の給与が高すぎる!」と批判するのはやめましょう。
また恵まれた待遇を期待して公務員になったのに、手取りが低すぎてガッカリするのも大人気ないです。
こうした現実がありますが、それでも尚本気で公務員を目指すのでしたら公務員専門予備校に通う必要が出てきますね。
具体的にいつ頃通い始めればいいのか、参考までに以下の記事もぜひご覧ください!
公務員予備校にはいつから通うべき?大学生の場合はどうする?
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