イギリスのEU離脱が決定するまで残り1年となりました。
思えば2016年の6月、当時のキャメロン政権下で行われた国民投票で離脱を支持する票が過半数を占めるという結果になり、イギリスのEU離脱が決定しました。
それから2年の月日が経とうとしていますが、徐々に離脱へのカウントダウンは0に近づいています。
当時の人たちは
- まだ2年あるから大丈夫!
- EUなんか事実上ドイツ帝国じゃん!
- そもそも国民の意思でしょ!
などという考えも多く楽観視していたのではないでしょうか?
改めてなぜイギリスが離脱することになったのか?その背景を語るとともに離脱後に待ち受ける厳しい現実について具体的に考察していきます。
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BREXITの背景
BREXITがなぜ決まったのか、改めてその背景・要因について触れていきますが、それについては以前当ブログでも取り上げています。
イギリスEU離脱問題を改めて考える
イギリスは様々な政策面でEUとは確執がありましたが、最大の要因が移民・難民政策です。
上の記事でも触れていますが、移民や難民が増えると国内の雇用が奪われたり社会保障費が増えるという懸念を抱いた国民が多くいたのです。
しかしこれ以外にも様々な点でEUとは確執がありました。
特にEU財政を支える拠出金の負担の大きさはその代表例で、イギリスは拠出額の割りに還元率が低すぎるということが以前から問題視されていました。
2013年度にはEUに対して170億ユーロも拠出したのに、60億ユーロしか還元されていません。
拠出金自体が寄付金のようなものなので全額還ってこなくても法的には問題はないのですが、
多額の寄付をしたのにリターンが少なすぎる!
というのはさすがに納得がいきません。
これについては昨今不安視されているスペインやポルトガル、ギリシャといった財政不安国への支援が増えたことが背景にあります。
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離脱後に待ち受ける厳しい現実とは?
2017年の初頭、メイ首相はEU単一市場からの脱却すると宣言し移民・難民問題を重点的に解決する姿勢を示しました。
しかし離脱した後にはイギリスには次々と厳しい現実が待ち構えます。
まず何といっても関税等の面で障壁があることです。
EUに加盟していればEU国同士の貿易では関税は免除されていました。当然離脱すればその権利も失いますので、国外の製品は関税で高くなりますし、自国の製品がこれまで通り売れなくなります。
また今まで多くの外資系企業がEUへの玄関先として英国に拠点を置いていましたが、EUのメリットの一つである人・物・サービスの移動の自由も崩れますので日本を始めとして多くの外資系企業の英国からの撤退も考えられます。
単一パスポート制度から外れる!
さらにイギリスの国内産業にとっても無視できないのが単一パスポート制度から外されることです。
単一パスポート制度とは例えばEU加盟国内のどこかの国で認可をもらった金融機関が域内の他の国でも業務を展開できる制度のことです。
これまではイギリス国内で認可をもらえればEU域内全ての国で業務ができたのですが、EUに加盟していない状態では当然適用されなくなるので、離脱後はEUでの免許が必要となります。
その結果イギリス国内の金融産業が国外へ流出することが懸念されます、こうなりますとEUで最もGDPの高く安定した経済情勢のドイツに企業が移ることが予想されます。外資系企業もしかりで、ますますドイツの産業立地魅力性が上向くと予想されます。
PIIGS経済も不安?
EU経済に不安を増加させる要素はイギリスのEU離脱だけではありません。
なんといっても先行きが不透明なPIIGSの経済も不安材料の一つです。
PIIGSとはEU加盟国の中でとりわけ財政状況が厳しいポルトガル、アイスランド、イタリア、ギリシャ、スペインの5か国の略称です。
こういった国々が今後どれだけ財政を持ち直せるかがEU経済復活の鍵を握りそうです。
スコットランド独立も懸念材料!
イギリスは4つの国が合わせてできた連合国家ですが、その4つの国の一つであるスコットランドの独立運動の気運が高まってきているのも懸念材料です。
スコットランド独立運動について解説! 賛成派と反対派の主張は?
早ければ2019年夏にもスコットランドの独立を問う住民投票が行われると予想されます。イギリスの離脱後になりますので、反英国派の勢力が有利になりそうな気配が高くなりそうですね。
もし本当にイギリスとスコットランドが別々の国家になったらどれだけの経済リスクになるか想像できません。リーマンショックの再来になるかもしれないですね。
まとめ
イギリスにとってEU離脱はほぼメリットがないようですが、EUからしてもGDP世界5位の国が離脱するとなればその影響は大きいでしょう。
その穴を埋めるとしたらやはりドイツになりますね。「EUはドイツ帝国だ!」と以前から揶揄されてきましたが、イギリス離脱後はますますドイツ依存が高まりそうです。
イギリスはかつての大英帝国としての誇りと意地があるかもしれませんが、そのためにはまずスコットランドとの関係を良くしたほうがいいですね。
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