今回は日本の政治の要ともいえる国会について解説していきます。ニュースで良く取り上げられる国会中継ですが、日本の国会はご存知衆議院と参議院という二院制で構成されています。
衆議院と参議院ってよく聞くけど具体的によくわからない、学校の授業で習ったけど忘れた!という人もいるでしょう。
そういう人の為にも、やはり日本の政治制度はしっかりと把握しておく必要があると考えますので、今回改めてこの衆議院と参議院の違いについてわかりやすく解説していきます。
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両院制について解説!
衆議院と参議院の違いについて解説する前にまず両院制について解説します。両院制とは二院制とも呼ばれる政治制度で、日本を始め先進国の多くではこの二院制を導入しています。
その名の通り立法府の活動の拠点である議会が二つの議院で構成される政治制度のことです。議会制度の発祥の地はイギリスとされていますが、欧米の多くの国では昔から、貴族や王族関係者で構成される上院、一般市民が選挙で選出された下院とに分かれて構成されています。
日本でも戦前では衆議院は変わらずありましたが、上院にあたる議院は参議院ではなく貴族院と呼ばれていました。文字通り貴族にあたる人(皇族、家族など)で構成されていたのです。
議会を二院にする理由とは?
両院制の意義は、上院と下院で二回の審議を行い、下院で誤った決定があった際に改める、是正するという役割が期待されています。つまり法律の制定をより慎重に議論するということです。
法律はその国に生活している人全員に影響するもので、中には人権の侵害に繋がりかねない制度もあります。そうした法案を通すわけにはいかないという強い意志の表れですが、反面審議に時間がかかって、本当に必要な法案でもなかなか成立できないジレンマに陥る恐れがあります。そこで二院だと時間がかかるということで一院だけにしている国もあります。
一院制を導入している国は? 長所・短所は?
先進国は両院制ですが、世界を見渡すと一院制の国は非常に多いです。
- 中華人民共和国
- 韓国
- 台湾
- 北朝鮮
- イスラエル
- トルコ
- スウェーデン
- アラブ首長国連邦
- ウクライナ
- インドネシア
- ベトナム
- パレスチナ
- フィンランド
- エジプト
- イラク
- アイスランド
- キューバ
- ペルー
- ポルトガル
- ギリシャ
これ以外にもいくつか一院制の国はありますが、最初から一院制の国もあれば韓国やイラク、台湾など二院制から一院制に移行した国もあります。
一院制のメリットとしては、速やかに立法ができて法律の整備や行政が遅れるという事態が少ないことや、選挙費なども節約できるということがありますが、国民が望んでいない悪法なども、その時の雰囲気に流されて一回の議決で成立してしまう可能性が極めて高い恐れがあります。
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衆議院について解説!

まずは衆議院について解説していきます。
- 議員定数:475
- 議員任期:4年
- 被選挙権:25歳以上の日本国民
- 選挙制度:小選挙区比例代表並立制
- 解散がある
- 国民の意志が反映されやすい
ご覧のような特徴です、何といっても解散があるというのが衆議院の最大の強みと言えます。解散は内閣総理大臣が決めることですが、衆議院議員全員が議員としての職を失い、改めて選挙を行って再度当選を目指します。
この解散総選挙で政権与党(すなわち内閣)が過半数の議席を再度確保できれば、国民からの支持が得られた!ということで権力はより盤石になります、故に解散は内閣総理大臣の伝家の宝刀とも言われています。
(衆議院議員の任期は4年ですが、解散が行われますと任期満了前に選挙することが多いです。これまでの傾向から見ても任期満了による選挙は、1976年の時しかありません。)
戦後の歴代総理は全て衆議院議員!
戦後の日本の歴代総理大臣は、現在の安倍総理も含めて全員衆議院議員です。
しかし日本国憲法第66条では「国会議員の中から指名される。」とだけしか書かれていません。
つまり衆議院議員でも参議院議員でもどちらでもいいのです、憲法上参議院議員が総理になっても違憲ということにはなりません。しかし衆議院は解散があったりして民意が色濃く反映される議院なので、国民主権の観点で考えれば衆議院議員が総理になるべきだ!という考えが広まり慣例化したのです。
参議院について解説!

次に参議院について解説していきます。
- 議員定数:242
- 議員任期:6年
- 被選挙権:30歳以上の日本国民
- 選挙制度:小選挙区非拘束名簿式比例代表並立制
- 解散がなく3年ごとに総議員の半数を改選
- 国民の意志が反映されにくい
参議院議員の任期は6年と長いですが、3年ごとに総議員の半数を改選する選挙を実施します。直近の参議院選挙はまさに昨年の2016年に行われましたが、この時改選されたのは2010年に当選された議員たちです。
次の参議院選挙は2年後の2019年です、この選挙では2013年に当選した参議院議員を改選します、自由党の山本太郎さんもこの時の選挙で当選しました。
非拘束名簿式って?
選挙制度は小選挙区非拘束名簿式比例代表並立制という少々わかり辛い名称になっています。
衆議院議員選挙では比例代表制で政党名しか記入できませんが、参議院選挙では非拘束名簿式という方式を用いることでその党から公認を得た候補者の名前でもその政党に投票したとみなされるのです。
参議院選挙ではよく昔から有名人(昨年の例だと、女優の高樹沙耶さんや元SPEEDの今井絵理子さんなど)が出馬することが多いですよね。なぜ有名人が出馬するかというと、非拘束名簿式が関係しています。
有名人ということは非常に名前が知られています、特にタレントであればファンの方が非常に多かったりします。このファンの多い芸能人や有名人を担ぎ出して出馬させれば、それだけその有名人のファンの支持を得られる可能性が高いわけです。
極端な話、その政党の他の候補者や政策自体はよくわからないけど、その芸能人のファンだから、もしくはその人しか知らないからという理由でその有名人の名前だけ記入する候補者も大勢いるのです。こうすることでその政党自体の得票数の上積みにつながります。
衆議院は参議院に優越する
いわゆる衆議院の優越というものです。ある特定の立法行為に対して参議院と衆議院が異なった場合は衆議院の意志が優先されるというものです。この衆議院の優越に関しては、憲法にも明記されています。
- 法律案の可決
- 予算案の可決
- 条約の承認
- 予算議論の先議権
- 内閣総理大臣の指名
- 内閣不信任案の決議
以上のような事案では衆議院の意志が反映されます。なぜこのような優越性が認められるかというと、衆議院には解散制度があって国民の意志が反映されやすいという理由があるからです。
また以下のような理由もあります。
日本の国会は衆議院と参議院という二院で構成されていますが、参議院選挙は3年に一度のペースで行われます。もしこの参議院選挙で政権与党が過半数の議席が確保できない状態になると、衆議院と参議院で過半数を占めている政党・勢力が異なってきます。このような状態をねじれ国会といいますが、もしこのような事態になれば法律案や予算を成立させる際に支障がきたします。
日本の法律は、日本国憲法第59条に両議院で可決した時に成立されると書かれています。しかし参議院で過半数が維持できていないと、成立させたい法案も野党が反対して成立できません。このような状態が長く続けば予算も成立できない、また条約も承認できず国際関係にも悪い影響が出かねません。
そこで例外的に認められたのが衆議院の優越です、参議院で否決された法案を再び衆議院で可決すれば法案が成立することになります。ただしこの場合衆議院では3分の2以上の多数が賛成するという要件が課されます。
※2 過去にもこの3分の2以上の多数で再可決した法案はいくつかありますが、その度に野党からは与党による数の暴力だという批判が相次いでいます
以上日本の国会の衆議院と参議院についてまとめました。早ければ今年中にも衆議院の解散が行われるのではないかと噂されています、これを機に政治に興味を持ってみて下さい!
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