東京都の豊洲市場への移転計画に暗雲が押し寄せています。

東京都が地下水のモニタリング調査で、国が定める基準値の最大79倍のベンゼンなどが検出されました。

 
豊洲市場とは東京都の中央卸売市場として名高い築地市場の移転先となる場所です。

しかし予てから地下水と土壌汚染が指摘されていましたが、今回の調査結果で改めて移転が困難になるのではないかと思われます。

今回検出されたベンゼンやヒ素と言った有害物質がどういった性質なのか、なぜこれほど土壌が汚染されたのか、その原因を探っていきます。




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ベンゼンとは何か?他の有害物質は?

今回検出された有害物質は、主にベンゼン、ヒ素、シアンといった物質です。

ベンゼン環

 
まずベンゼンについてですが、これは高校で化学を履修した方なら知ってると思いますが、無色透明の液体で芳香族炭化水素という有機物の一種です。

原油に含まれていて、自然界では火山の噴火でも発生したり、またタバコの主流煙や副流煙にも含まれているそうです、

化学工業においては主にプラスチック原料のスチレンや、樹脂や接着剤の原料、さらにナイロンやゴム、殺虫剤などの製造に用いられています。

このように化学産業では欠かせない物質となっていますが、WHOの発表では発がん性が高いことが指摘されていて、1950年代にはサンダルを製造する工場で働いていた作業員がベンゼンを吸引し続けて白血病を発症し死亡する事象も発生しました。

 
そしてヒ素についてですが、この物質もかなり有害です。

主に農薬、木材防腐、発光ダイオードのトランジスタにも使われています。

記憶に新しい事件で言えば1998年に発生した和歌山毒物カレー事件で4人が死亡、また1955年に発生した森永ヒ素ミルク中毒事件では粉ミルクにヒ素が混入したことで100名を超える死者も出ました。

このようにヒ素とは人を死に至らしめるほど猛毒で危険な物質です。

それが豊洲の土壌に含まれているらしいのです、因みにベンゼンもヒ素も国の環境基準は0.01mg/lと定められていますが、ベンゼンが79倍、ヒ素が38倍の量を検出しています。

またこれ以外にもヒ素以上に毒性が強いシアンも検出されていて、卸売業者の間ではとてもじゃないけど豊洲には行けない、という声が相次いでいます。




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土壌汚染の原因は?

豊洲市場がある住所は東京都江東区豊洲六丁目ですが、この場所は元をたどれば東京ガスの施設が建っていた場所です。


 
ガス会社ということでガスの製造や供給、冷温水や蒸気の地域供給を主な事業としていて、その関連で化学工場やガス製造工場が今の豊洲には建設されていました。

主に高度経済成長の時期でしたが、この時期に工場用水を川や海に垂れ流していて、熊本の水俣病やイタイイタイ病といった公害による病気が社会問題なったというのは有名ですね。

 
東京湾一帯も例外ではなく汚染区域になったということです。

この時の負の遺産が今でも豊洲の地下に眠っているということですが詳しい土壌調査をしないまま話が進んでいて、今頃になって明るみになったということです。

 
しかも本来汚染対策のために施されるはずだった盛り土もされていないということで、当時の最高責任者だった石原元知事も沈黙を続けたままです。

 
また豊洲という土地自体が埋立地なので地盤が不安定というのも問題です。

2011年の東日本大震災の時も液状化が発生したほどなので、今後再び大きな地震が発生すれば再び液状化し、地下に溜まっていた汚染物質が一気に地上に出てくる恐れがあるのです。

 

移転の判断は?

多くの有害物質が基準値の数十倍の量で検出されたことで、移転はするべきではないという声が相次いでいます。

移転を決めるのは最終的には小池都知事ですが、2016年11月に発表した今後の見通しでは、地下水モニタリングや環境アセスメントの結果次第で、2017年の夏頃に”総合的な判断”を下すということになっています。

地下が空洞になっていることや、今回のモニタリング調査で79倍のベンゼンなどが検出されたことで、卸売業者の間では豊洲は無理、移転はするべきでない、という意見が高くなってきます。

 
仮にもし小池知事が移転OKという判断を下したとしても、果たしてどのくらいの卸売業者が豊洲に移転するかは不透明です。

また2020年の東京五輪に多くの外国人が来日するということを考えると国際的な批判も免れません。

消費者のことを第一に考えれば移転は白紙にしても世論は受け入れてくれると思います。

 

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