古典派音楽を代表する作曲家と言えばご存知ベートーヴェンですね!

言わずと知れた作曲家の中の作曲家で、数多くの名曲を発表しています。その中でも特に交響曲の中の交響曲として評価されて、ベートーベンの創作活動の頂点として位置付けられた作品が、今回紹介する交響曲第5番です。

日本では『運命』という曲名で親しまれていることで有名ですが、これは正式名称ではありません。

正しくは交響曲第5番 ハ短調 作品67という名称です。決して『運命』などという略称では通じません、放送業界でも使用は避けるそうです。

 
改めてなぜ日本で『運命』という名称で浸透していったのか、その経緯について振り返ると同時に、この曲が後世の作曲家に与えた影響や驚異的な作曲術、さらに後に作られた交響曲第6番『田園』との意外な共通点も紹介していきます!




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そもそもなぜ『運命』という名前がついたのか?

日本人なら誰もが『運命』という名称で知っている曲ですが、改めてなぜこの名称が浸透したのでしょうか?

この曲はベートーヴェンが作曲した第5番目の交響曲で、比較的若い頃に作曲された音楽らしいですが、彼の弟子のアントン・シンドラーという人物のインタビューのやり取りがきっかけだそうです。

  • シンドラー:「冒頭の4つの音(ジャジャジャ・ジャーン)は何を示しているのか?」
  • ベートーベン:「このようにして運命は扉をたたく。」

シンドラーの質問に対しての返答が上のような感じになっていますが、確かに冒頭の激しい音の部分が扉を叩いているようにも聞こえます。ただしこのシンドラーの質問は必ずしも作品の本質をついていないことと、シンドラー自身が虚言壁などがある人物として知られているため信憑性に欠くとされています。

そのため欧米では『運命』という名称は使わず、単に『第五』とか『ハ短調交響曲』と呼ぶのが通例だそうです。
 

交響曲第5番は名曲揃い?

初演こそ失敗に終わったという交響曲第5番でしたが、評価はすぐに高まってオーケストラのレパートリーとして確立されてきました。

その後も多くの作曲家に多大な影響を与えて、5番目の交響曲は重要な意味を持つようになり、チャイコフスキー、マーラー、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフなどといった後の作曲家がこぞって名作を残しています。




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『運命』に施された驚異の作曲術とは?

『運命』といえば冒頭の「ジャジャジャ・ジャーン」という音の部分があまりにも有名で、過去にはテレビ朝日で『運命のダダダダーン』という番組名で使われていたほどです。

しかしこの音の部分は冒頭部分だけでなく、40分間近く全楽章で散りばめられています。

例えるなら、プロの料理人が野菜1つだけでメインディッシュからスープ、デザートまで作ったフルコース料理と言ってもいいでしょう。

運命の作曲術

過酷な運命に立ち向かうことがテーマとなっている第1楽章でもこの音は途切れることはありませんが、第2楽章では金管楽器の勇壮なメロディで表現し、第3楽章ではホルンでド派手に表現し、勝利の凱旋がテーマとなっている第4楽章でも早回しのテンポで「タタタター・タタタター」と登場します。

この音だけで暗黒から勝利へという大きな流れを作り出していますが、これこそベートーヴェンのこだわりが生み出した真骨頂だと言えます。

この作曲術は高く評価されて、後の作曲家の間でも理想のモデルとして位置付けられました。
 

正確にはジャジャジャ・ジャーンではない?

楽譜の正確なリズムとしては最初に”ン”が入って「ジャジャジャ・ジャーン」となります。

第1楽章の冒頭の楽譜の部分を見てみると休符記号が入っていますが、この休符の分がオーケストラを演奏する人達にとっては鬼門となっています。

なぜなら音がないということなので、全員の呼吸を合わせて出だしを揃えるのは一苦労だということです、まさに阿吽の呼吸と言えますね。

【ジャーンの長さも違う?】

実は冒頭で2回出てくる”ジャーン”の部分も前後半で微妙に長さが違うようです、お気づきになりましたか?

これも譜面を見てみると明らかなんですが、後半のジャーンの部分だけ1小節分長いことがわかります。今度聴くときは注意して比べてみましょう!

 

【双子の交響曲『田園』との共通点とは?】

交響曲第6番田園

ベートーヴェンのもう一つの代表曲『田園』は、『運命』とほぼ同じ時期に作られた6番目の交響曲です。

実はこの『田園』に関しては、制作時期も一緒で『運命』と初演の日付が一緒(1808年12月22日)という共通点があります。それだけではなく、楽譜を見てみると冒頭に休符が付いていること、「ンタタタ」というリズムが共通しています。

これはベートーヴェンが同時期には同じアイデアでいろいろな作品を生み出す癖があったために起きた現象ですが、まさに二卵性双生児ともいえる両作品です。

因みに『運命』と言う名称は日本でしか通用しませんが、『田園』は正真正銘ベートーヴェンが命名しています。

まとめ

今回はベートーベンの『運命』について深く解説してきました、ベートーヴェンは他にも名曲はいっぱいありますのでこれを機にぜひ聴いてみてはどうでしょうか?

 

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